韓国の貿易も岐路に立っている。中国経済の低迷で中国向けが大幅に減少しており、変わって米国への輸出が好調をキープしている。
しかし、米国のChips法、IRA法は保護貿易主義の極みであり、2016年からの中国のEV政策および中国製造2025計画となんら変わらず、現在は、米国が圧倒的パワーで中国を押さえ込んでいる形となっている。
中国経済の低迷は、米国の高い関税徴収やエンティティ制裁により、中国進出の外資企業や中国企業も大挙してベトナムなど工場移転させており、こうした中国の産業構造の変化、共同富裕論によるネット企業・不動産開発企業・ゲームや塾市場もめった突きにされ、昨年11月までの新コロナロックダウン政策で疲弊している内需に追い討ちをかけている。
欧米経済もインフレ退治の高金利に苦戦してきている。・・・苦戦しなければ、購買力が強く残り、インフレ圧力となる。
立ち直らない地方財政の悪化もあり、回復への前途は厳しくなっている。
韓国はそうした中国に対して香港も含めて輸出全体の35%あまりを依存していたことからその影響は大きく、米国への輸出が好調でも全体では低空飛行を続けている。
スクロール→
韓国
|
輸出
|
輸入
|
貿易収支
|
/百万ドル
|
前年比
|
/百万ドル
|
前年比
|
/百万ドル
|
21/1~9月
|
467,656
|
26.2
|
442,374
|
28.6
|
25,282
|
21/10月
|
55,662
|
|
53,841
|
|
1,821
|
21/11月
|
59,650
|
27.1
|
53,700
|
45.3
|
5,950
|
21/12月
|
60,740
|
18.3
|
61,320
|
37.4
|
-580
|
2021年計
|
644,439
|
25.7
|
615,037
|
31.5
|
29,402
|
22/1月
|
55,458
|
19.8
|
60,399
|
34.4
|
-4,941
|
22/2月
|
54,156
|
19.1
|
53,357
|
25.9
|
799
|
22/3月
|
63,480
|
18.2
|
63,620
|
27.9
|
-140
|
22/4月
|
57,850
|
11.2
|
60,326
|
37.8
|
-2,476
|
22/5月
|
61,586
|
20.5
|
63,192
|
32.4
|
-1,606
|
22/6月
|
57,683
|
9.1
|
60,180
|
18.9
|
-2,497
|
22/7月
|
60,251
|
6.9
|
65,340
|
35.5
|
-5,089
|
22/8月
|
56,673
|
6.6
|
66,067
|
28.2
|
-9,394
|
22/9月
|
57,447
|
2.8
|
61,226
|
18.6
|
-3,779
|
22/10月
|
52,482
|
-5.7
|
59,178
|
9.9
|
-6,696
|
22/11月
|
51,910
|
-13.0
|
58,925
|
9.7
|
-7,015
|
22/12月
|
54,990
|
-8.8
|
59,676
|
1.9
|
-4,686
|
22年計
|
683,966
|
6.2
|
731,486
|
18.9
|
-47,520
|
23/1月
|
46,270
|
-16.6
|
58,960
|
-2.4
|
-12,690
|
23/2月
|
50,100
|
-7.5
|
55,404
|
3.8
|
-5,304
|
23/3月
|
55,130
|
-13.6
|
59,750
|
-6.4
|
-4,620
|
23/4月
|
49,620
|
-14.2
|
52,230
|
-13.3
|
-2,610
|
23/5月
|
52,240
|
-15.2
|
54,343
|
-14.0
|
-2,103
|
23/6月
|
54,237
|
-6.0
|
53,091
|
-11.8
|
1,146
|
23/7月
|
50,347
|
-16.4
|
48,695
|
-25.5
|
1,652
|
23/8月
|
51,870
|
-8.4
|
51,001
|
-22.8
|
869
|
|
|
|
|
|
|
1~8月
|
409,814
|
-12.3
|
433,474
|
-12.0
|
-23,660
|
石油関係の減少は原油価格の下落により製品価格が下がっているもの。船舶は2~3ヶ年前の受注額とその後の鋼材価格等の上昇でまだ赤字が続いている。
半導体は下がり続けているが、主力とするメモリ半導体は各社在庫調整に入っており、2023年下半期にも在庫調整が終了し、価格は反転すると予想されたが、中国経済の悪化で遅れている。
世界を席巻している韓国勢3社の3元系EV用バッテリーは、すでに韓国からの輸出が限定されてきている。今年から始まった米国のEV購入補助金制度もバッテリーも車体も米国製を前提に設定され、韓国勢はすでに米国工場を稼動させ対応している。車体に限らず、今後も自動車メーカーと合弁によるEVバッテリー生産工場の完成が目白押しとなっている。
結果、数年後には韓国からの米国向け輸出量は減ってくる。サムスンのシステム半導体は米国で2ヶ所目の工場建設に入っている。メモリ半導体は韓国から輸出されようが、景気の波に翻弄される。
韓国は、中国のほか、ロシアにも強かっただけに露制裁による輸出国問題に直面している。ただ、国内市場が限られる韓国企業は、日本企業と異なり、その活動力は日本企業より数倍高く、新たな市場を形成してくるものと見られる。・・・それができなければ、米国で生産させる米主導の保護貿易体制に翻弄されることになる。
スクロール→
十五大品目の輸出
|
2023年8月/前年同月比
|
自動車
|
29.0%
|
自動車部品
|
6.0%
|
船舶
|
35.0%
|
一般機械
|
8.0%
|
ディスプレイ
|
4.0%
|
家電
|
12.0%
|
半導体
|
-21.0%
|
石油製品
|
-35.0%
|
石油化学
|
-12.0%
|
鉄鋼
|
-11.0%
|