アイコン 第2四半期赤字続く 韓国・大宇造船海洋=ハンファオーシャン 韓国造船


韓国の造船大手3社の一角で政府系銀行傘下からハンファに買い取られた大宇造船海洋、商号もハンファオーシャンに変更、今年第2四半期(4~6月)の連結決算が公表され、売上高は前年同期比34.0%増の3兆2,605億ウォン、営業損失▲2,218億ウォン、当期純損失▲3,576億ウォン(社名変更は2023年5月)と赤度が続いた。

営業損失は前年同期の▲4,073億ウォンより減ったが、前四半期(1~3月)の▲628億ウォンに比べると損失額は大幅に増えた。
以上、

ハンファオーシャン社は、生産日程を合わせるために、協力企業への生産委託部材を増加させたことにより、加工費および外注費などの原価が、コストを押し上げ赤字が続いたと説明している。

また、人員リストラ=人事制度改編による一回性費用が発生した点も影響を及ぼしたと付け加えた。
ただ、ハンファオーシャンは今年6月末基準の負債比率が485%で、昨年末の1542%より大幅に減少するなど財務状況が改善されていると説明した。
以上、

 

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同社はそれまで政府系銀行傘下(産業銀行系)にありながら巨額粉飾決算を発生させ、資金的な融通性は限られてきた。
しかし、ハンファ傘下になり、極力、遊休不動産や流動性資金を減らすことができ、借入金の返済、遊休資産の売却を負債の圧縮を図っている。
ただ、財務内容が改善したとしても、それまでにも改善を積み重ねており、それも赤字の中で執行され、造船の大きな波に対応できるかは不明な点も大きくなっている。

一方、ウクライナ戦争特需を享受している親会社のハンファは、韓国だけでも155ミリ砲弾を110万発以上米国から受注し、ほかにポーランドや豪州・中東向けなどの兵器や砲弾を合わせ、主要プレーヤーとして順風満帆状態ともいえる。
2022年期(12月期・通年)は、資材高、工場占拠のスト、労働力不足に陥り▲1兆6135億ウォンという大きな赤字を露呈していた。

韓国の造船業は、リーマンショック前に発注された分やその後船舶価格が急減したことから、海運大手が大量発注したものの、世界経済は米国を除きリーマンショックからの回復が遅れ、2014・15年には過剰船腹問題を発生させた。日本のコンテナ船も価格低迷に海運会社は窮地に陥り、2016年8月、韓国№1海運会社の韓進海運が倒産、日本でも海運会社の経営が不振に陥り、2017年10月にコンテナ部分を切り離し統合させたONEジャパンを統合させた。

こうした海運・造船不況に見回れ、韓国特有の韓国企業どうしによる安値受注競争激化もあり、採算性も悪化、海運業界の不景気から完成船舶の引き取り拒否なども続出して、韓国造船大手3社は、挙って大赤度を露呈させ(大宇は+粉飾)、金融機関の監視対象となった。

2017年5月に誕生した文前政権は造船業における失業問題から、金融機関の監視を止めさせ、造船会社は選別受注から再び中国企業も含めた安値受注合戦を展開、取り巻くっており、そうした受注分が2021年ころから完成期=引渡し期を迎え、売上高は増加するものの、米バイデン政権発の資源高・材料高もあり、また、昨年はベトナムからの溶接工の派遣停止問題もあり、韓国の造船業界は労働者不足に陥っていた(ベトナム停止は昨年12月までに解消/派遣機関の大規模不正により停止されていた)。

新コロナ事態では、世界の港湾の荷揚げが停滞し、船舶ニーズが高まり、海運指数も4800ドルまで急上昇、これまで韓国造船企業は世界からLNGやタンカー・コンテナ船を大量受注している。

しかしこん日、港湾の荷揚げ停滞はなくなり、一部でウクライナ戦争による北極海航路の停止による船腹増加はあるものの、大幅な過剰船腹状態となっている。世界経済が大幅に回復しない限り、再び、過剰船腹状態に陥る可能性もある。

海運指数も、欧米経済の回復にかかっている。
現状、バイデン米政権発の資源・穀物高のインフレ、金利引き上げによる事態収拾、その沈静化、一方で世界的な新コロナ経済からの経済回復、ウクライナ戦などにより船舶需要増の環境下にある。

↓バルチック海運指数(穀物や鉱物などのバラ積み船の価格指数)
最近では中国経済の低迷も海運需要に大きく影響してきている。
欧米+中国経済という世界三大経済圏の回復が海運市況・造船市況回復の鍵となる。


スクロール→

バルチック海運指数

1990/1.

1,644

日本バブル

2000/1.

1,319

 

2007/10.

10,656

世界好景気

2008/5.

11,440

世界好景気

2008/12.

774

リーマン・ショック

2016/2.

329

景気低迷

2021/10.

4,854

新コロナ物流遅滞

2022/5.

3,344

ウクライナ戦争突入

2023/2.

538

ウィズコロナ策

8/15

1,116

インフレ退治から回復へ

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[ 2023年8月16日 ]

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