アイコン 中国・韓国、不動産バブル崩壊の行方 共同富裕論が/債権市場の混乱が


中国の不動産バブル崩壊は、

禁断の3期目を狙った習近平国家主席の国民向け殺し文句に設定した「共同富裕論」によるITネット分野に続く、不動産分野の締め付け強化にその原因がある。

2020年1月~22年12月まで3年間続いた新コロナに対する長期ロックダウン政策による内部経済の疲弊、
2021年から米国発の穀物・資源価格の上昇・インフレ→インフレ退治の高金利政策が続き、世界経済の低迷=輸出減少要因。
外貨準備金問題も燻る、2国間で元決済を増加させているが、まだその効果は限定的。

一帯一路覇権戦略に基づく、相手国に対する借金の漬物化も相手国の経済低迷で返済猶予国が急増し、その額も増加の一途となっている(利払いもできず元金に組み込まれ元金が上昇している)。

米国の交易で巨額の利益を手にしてきた中国がプライドの塊の米国に対して軍事的プレゼンスを強めたことにすべてが起因している。

 

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対米問題
2017年のトランプ政権時代から激しさが増し続けている米中貿易安保戦争→最先端半導体関連の輸出規制→組み込み製品の製造不可+半導体製造不=付加価値輸出品目の減少要因。
関税に始まり、中国軍との関係が深い企業に対する制裁、半導体等戦略物資の対中輸出規制。

こうした米国の規制により、中国からもベトナムなどに大量に工場移転しており、経済悪化からの立ち直りにおいては中国経済のボディブローとなっている。

不況対策の公共投資、リーマンショック後の2010年規模から2022年の経済規模は3倍増加しており、並大抵の公共投資ではその効果は限定的となっている。

不動産価格の暴落や建築中物件の建設中断により、国民は大きな被害を受けており、また国民はシャドーバンキング=信託投資銀行に投資し、シャドーバンキング経由で不動産業界に大量に投資していたことから、多くの国民が焦げ付いている。不動産購入・投資に対する信頼感は今回の政府の政策により大きく失し、政府は国民や金融機関に対してはこれまで以上の規制緩和策を行っているものの、肝心の不動産会社に対する融資規制はほとんど変わっておらず、回復が大幅に遅れている。戸建・集合住宅・マンションなど住宅建築は経済波及効果が大きいだけに、不動産業界に対する融資規制を大幅に緩和しない限り、経済回復は厳しい状態が続く。
(比較で安全な不動産開発会社は政府直轄の国務院系ばかりで、地方政府系も多くが疲弊、民間開発企業はそのほとんどが倒産の危機に陥っている)

これらが複合的に絡み合い、内需も外需も経済は低迷し、これまでの地方の公共投資の源泉だった土地の使用権売却による収入が大幅減少、一方で第3セクターによる大量の債権発行による地方行政主体の不動産開発などが頓挫した状態にあり、不動産業界の低迷は地方財政の悪化や簿外の第3セクターの負債増として破綻の危機に瀕している地方政府系の不動産会社もあり、いつでも火を噴く可能性すらある。

社債の利払いほデフォルトし続けている恒大が1年5ヶ月ぶりに香港市場で取引が再開されたという。一時、時価総額は停止前から80%下落している。
恒大は一方で、米国で破産(民事再生)申請している。22年末の負債総額は約48兆円、中国政府は潰すに潰せず、資産整理の時間稼ぎにこうした取引再開を認可したものと見られる。

<韓国>
一方、韓国は、
2017年5月に登場した左巻きの文在寅大統領、不動産業に対して机上でしか知らない左派経済学者たちにその政策を委ねたことにある。
2017年から2022年5月に退任するまで、不動産価格を沈静化させるために幾度(25回前後)となく講じた価格抑制策はそのたびに不動産価格は上昇し、5年間で2倍上昇した。原因は簡単明瞭、再開発を大幅に規制強化し、需給バランスを崩すなかで、抑制策を乱発し続けたことにある(朴政権時代首都圏5万戸供給、文政権3.5万戸供給)。見境のない住民の再開発反対運動に迎合した左派政権特有の現象であろう。
文政権は政権後半、住宅の新規供給に向け、開発公社に対して大規模開発を指示したが、執行する住宅供給公社では多くの職員が開発予定地や開発周辺地を取得するなど、社会問題に発展した。

こうした住宅価格の上昇は、国民の投資もあり、結果、家計負債がGDPに匹敵するほど増加、今回の新コロナ下の需要減による不動産価格の低迷、インフレ対策および為替対策による金利上昇により、家計負担を圧迫、懸念された購買力の低下、消費低迷・内需不振が現実なものとなってきている。

現在は、左派から保守に政権は変わったものの、新コロナによる内需経済の疲弊、世界的なインフレ退治の金利高による内外需の悪化、韓国経済を牽引してきた半導体輸出(輸出の20%→現在12%程度)の悪化(半導体の輸出数量は増加)。
2020年から20201年まで続いた新コロナ下のIT機器・半導体特需、2022年からのウィズコロナ策導入によるその反動、半導体(汎用性メモリ半導体)価格の大幅下落、
ここにきてこれまで35%前後の輸出先である中国+香港経済が悪化、韓国からの対中輸出が減少し、総じて輸出が減少している。

韓国が現在力を入れている兵器輸出も更新需要は限られ、新規国では欧米兵器輸出国との競争が、政治的な関係・宗主国関係やパテント問題もあり、今後も増加するものの、一定以上は困難と見られる。

これまで世界に対して絶対的に有利だった産業が、中国から市場を奪われ、それも残り少なくなってきており、新たな産業の育成が必要となっている。これまで日本から駆逐してきた産業も、今やなくなり、自ら創造すべきだろうが、限りなく難しい。

韓国の3大造船会社は大量受注しているが、相変わらず安値受注で2023年上半期まで鋼材・資材価格や労務費の高騰の影響を受け赤字が続いている。利益が比較的取れる艦船も含めての赤字であり、民間船建造における赤字は大きい。ただ、輸出額には大きく貢献している。

造船業界は、新コロナで荷揚げ作業問題から海運停滞、船舶不足に陥り、海運価格の急上昇、船舶建造の大量受注があったものの、現在は通常状態にあり、海運価格も安値安定(バルチック海運指数による)している。

ただ、地球温暖化で熱帯のパナマ運河沿いの降雨が大幅減少、水不足で運河機能が低下し、通過船舶は大幅減少、大量の通行待ちの滞留船舶が生じている。運搬効率のよい超大型コンテナ船も水深の問題からコンテナを減らして通過させている。こうした状況が続けば、船舶の運航価格上昇から新造船の増加も見込まれる。

造船は中国と韓国で8割以上を受注しているが、韓国は中東・欧州からの受注が多く、中国は自国船と欧州などから受注が多い。当然、世界の大手海運会社や船主は中韓を競わせ、さらに韓国の3社に競わせている。

かつて日本のお家芸だった船舶・半導体・ディスプレイ・ソーラー・・・。それは韓国にとって代られ、今では韓国から中国へ移行してきている。
(米国の対中半導体関連規制は韓国に多くの利益をもたらしているが、米国はCHIPS法により内外半導体メーカーに国産化を図らせており、対中輸出規制もあり、いつまでもは続かない)

結果、
中国は、「共同富裕論」を修正し、IIT分野を牽引していたITネット創業者たちを元に戻し、民間不動産業者に対する融資姿勢も大幅緩和しない限り、共同富裕論の下、現在の不動産価格を1/2以下まで下げるにはバブル崩壊の政策しかない。
このままでは民間企業は淘汰され、今後、不動産開発は国務院系の国有不動産開発企業が行うことになる。

韓国の不動産市場は、持ち前の粘り腰で中国ほどひどくはないが、輸出回復にかかっている。半導体価格が底を打ってきており、回復の兆しか鮮明になる中、今後は対中輸出が大幅に減少しており、難局が続いている。現在好調の対米輸出も今後、バッテリーも半導体も、それぞれのサプライチェーンも対米工場進出することにより、今後、韓国からの輸出は大幅に減少することになる。

中国の場合は、気持ちだけで、計画性もなく、急激な政策変更によるバブル崩壊への道、政策を軌道修正しない限り、バブル崩壊に至る。

韓国の場合も、不動産価格は投機的な水準まで上昇しているが、日本が総量規制と高金利によりバブルを崩壊させた状況とは異なり、バブル崩壊に至る可能性は低い。しかし、今後の購買力や金融機関の内外の問題からの貸し渋りが発生した場合はその限りではない。

韓国の不動産が上昇したのは、2018年初から北朝鮮との和平・開発ムードにより、北朝鮮の開発拠点としてソウル・首都圏が注目され、中国や米国から大量の買い付けが入り、マンション価格が高騰した経緯があり、そのまま半導体好景気もあり、政府の不動産規制策の失敗もあり、高騰し続けてきた(北と橋を隔てた中国の国境都市も当時暴騰していた)。
こうした外国人の投資物件が投売りに入った場合、相場が一気に崩れる可能性がある。
今回、価格が下がった原因は、金利上昇や経済悪化で、(相場の高額代金を前払いし家賃は発生しない)チョンセ屋主が投資に失敗して、入居者が退出時に支払えない事態や、家主の物件が競買にかけられ、チョンセ借主に被害が出てきたため、価格が下落過程に入った。

2022年8月、春川市のレゴランドの第3セクターの不動産開発会社が、発行済み社債の借り変え社債につき、債務保証していた江原道が債務保証しないと宣言、他社のPF=プロジェクト案件社債が暴落した。
超大手企業の子会社でさえ社債を新規発行して国内市場から資金調達しようとしても、高金利から発行を断念する企業も続出した(2022年8月~12月/江原道はその後債務保証に再修正している/韓国銀行が社債市場に緊急資金拠出して難を乗り越え)。
これを契機にマンション等の新規開発のPFも発行できなくなり、不動産市場を一気に悪化させる原因となった。チョンセ問題(家主破綻)もこうした流れにより生じていた。

[ 2023年8月29日 ]

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