岡山県吉備中央町の円城浄水場の水から発がん性が指摘される「有機フッ素化合物(PFAS)」が高濃度で検出された問題で、取水源となる河平ダム(旭川水系宇甘川左支川日山谷川)の上流に使用済みの活性炭を多数保管していた地元企業に対し、町が損害賠償を請求していたことが16日、町への取材で分かったと報じられている。町は活性炭が汚染源の可能性が極めて高いとみている。
地元企業は活性炭を大型の袋「フレコンバッグ」に入れて屋外で保管していた。
県の調査では保管場の土壌からPFASが検出され、町の原因究明委員会は活性炭から周囲に漏れ出しているとの見方を示した。
企業は取材に「(請求書の)内容を精査中で、今後の対応を検討している」とした。
町によると、2日に請求書を企業に送付。取水源の切り替えにかかった経費や委員会運営費用などを求めた。
町は請求額や支払期限を明らかにしていないが、現時点で入金されていないという。
山本雅則町長は町議会で、原因者が特定されれば賠償を請求する方針を表明。
町は水への流入との関連を調べるボーリング調査に着手した。
まだ結果はまとめられていないが、町は県の調査も踏まえ、活性炭が汚染源となったことが「ほぼ確実だ」としている。
以上、報道参照
2023年12月、日本国内の各地の河川や水道水から高い濃度の検出が相次ぎ、有害性が指摘されている有機フッ素化合物「PFAS」の一部の物質について、WHO=世界保健機関のがん研究機関が発がん性の評価の引き上げを公表した(それまでも発がん性物質として評価していた)。欧米では以前からPFASは規制されているが、産業優先の日本では当局が無視してきた。PFASは冷媒や精密機器などの洗浄剤に利用されている。
有機フッ素化合物の「PFAS」は1万種以上が存在し、うち「PFOA」と「PFOS」の2種類は有害性が指摘されている。
この2種類について、WHOのがんの研究機関IARCは
▽PFOAについて、4段階ある分類のうち最も高い「発がん性がある」に2段階引き上げ、
▽PFOSについては、上から3番目の「発がん性がある可能性がある」に初めて位置づけたと公表した。
PFOAはアスベストやタバコの発がん性レベルと同じクラスに今回認定されている。発ガンはこれまで動物主体だったが、IARCは人でも確認されたとしている。
活性炭は日本全国の河川の水質汚染の浄化用に沈められている。日本は何も規制していなかったため、当然、PFASのチェックなど行っていない。
米軍横田基地周辺の広範囲の井戸水から高濃度のPFASが検出され、問題となっている。米国では規制されているが、日本では規制されていないため、米軍基地では軍機や兵器などの洗浄用に大量使用されていたがチェックされなかった。
なお、国内の米軍基地は米国で規制されたため、それ以降は使用していないが、それまでの使用分が基地内の貯水池や地下水へ浸透・周辺へ流れ出ていた。
↓問題の活性炭は屋外でフレコンバッグに保管されていた。
<各種活性炭>
右端下の5FUがフッ素化合物
活性炭は木質系や石炭類から製造されている。