営業停止中の"公共案件参加疑惑"浮上(大村市)
〖東京発〗――国土交通省関東地方整備局は、2025年5月9日付で、JFEエンジニアリングに対し、建設業法第28条第3項に基づく営業停止処分を命じた。処分内容は全国における水道施設工事業に係る営業のうち、公共工事分野への営業を2025年5月24日から7月22日までの60日間停止するもの。対象は海底送水管更新工事を巡る入札妨害・談合事件であった。
長崎県大村市が平成7年4月18日に公示した「新ごみ処理施設整備・運営事業(DBO方式)」について、参加資格申請の受付が6月6日に終了し、市との参加事業者面談は7月17日・18日に予定されている。一方、同市が求める資格は清掃施設工事業であり、水道施設工事を内包する構造上、営業停止の対象に抵触する可能性があると関係者から指摘されている。city.omura.nagasaki.jp+2city.omura.nagasaki.jp+2kensetsunews.com+2
民間ニュースサイトJCNでは、「JFE、営業停止中に公共工事応募か 法令遵守に疑念広がる」と題し、同社が停止期間中にも本件参加申請を行った疑いがあると報じられている。n-seikei.jp+1n-seikei.jp+1
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◇ 専門家指摘:営業停止の趣旨は“公共工事排除”
専門家によると、本件は名目上「清掃施設工事」であっても、その中に水道施設工事が含まれる際は、建設業法の処分対象に該当する可能性があるという。また、「参加申請・面談は営業行為に当たる」との見解が一般的であり、営業停止期間中に実施すべきではないとの指摘が多い。
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◇ 地元企業へ波及する“二次被害”の懸念
地元企業関係者は、「JFEとの連携により参加を検討していた地元企業が、制度的なリスクを避けるために辞退を余儀なくされれば、地域経済に打撃となる可能性がある」と懸念を表明。営業停止命令は同社単体の問題にとどまらず、地元事業者に波及する“二次的なコンプライアンス被害”の拡大を招くおそれがある。
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◇ JFE側の立場は未公表
現時点で、JFEエンジニアリングまたは親会社JFEホールディングスは、本件への参加可否や取締役会承認の有無、ガバナンス判断について明確な見解を示していない。両社は内部統制やコンプライアンス体制の強化を表明しているが、今回の疑義に対する具体的回答は未だ取り下ろされている。
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◇ 今後の焦点
関係各所によれば、今後は以下の点が注目される見通しである:
注視点 内訳
① 大村市の対応 参加申請が正式に行われていた場合、市としての対応方針(審査通過・辞退など)
② JFEグループの説明責任 取締役会の判断、営業停止に抵触しない根拠、地元企業支援の対策
③ 地元企業の判断 協業の継続可否、辞退による損失回避策の検討状況
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結語:営業停止処分は公共工事分野からの排除が目的であり、本件のように工事種別が複合される案件では、規制の趣旨に鑑みた慎重な対応が求められる。大村市やJFEグループが透明性の高い情報公開を行うことが、地域社会への信頼維持に不可欠と考えられる。
JC-net・日刊セイケイ編集長・中山洋次