アイコン 特装車業界にカルテル摘発 極東開発など2社に59億円の課徴金命令へ


― 公正取引委が価格調整認定、業界の競争環境に重大な懸念 ―

特装車(ごみ収集車やダンプカーなど)に取り付ける「架装物」の販売をめぐり、独占禁止法に違反する価格調整(カルテル)を行っていたとして、公正取引委員会が極東開発工業(兵庫県西宮市)とその子会社日本トレクス(愛知県豊川市)に対し、排除措置命令および課徴金納付命令を出す方針であることが6月30日までに分かった。

課徴金の総額は59億円(極東開発 約26億円、日本トレクス 約33億円)に上る見通しで、企業のガバナンスと業界の競争倫理が改めて問われている。

 

スポンサーリンク
 
 

競合4社で談合か 業界構造に疑念

公取委は、極東開発と日本トレクスに加え、**新明和工業**とその子会社東邦車輛にも立ち入り検査を実施。関係者によれば、少なくとも2021年9月以降、これら4社の間で、ダンプカーやごみ収集車などの架装物の販売価格を引き上げる合意が複数回行われていたという。

特に、日本トレクスと東邦車輛の間では、**トレーラーの価格調整が行われていた**とされる。

ただし、新明和と東邦車輛については、公取委の調査前に\*\*自主申告(リニエンシー制度)\*\*を行ったため、課徴金の減免または免除が適用される見込みだ。

 

極東開発「厳粛に受け止める」 今後の対応注視

極東開発と日本トレクスは、同日付で公取委から処分案に関する意見聴取通知書を受領。両社は「内容を精査し、公取委からの説明を踏まえて今後の対応を検討する」とし、極東開発は公式サイトで「厳粛に受け止め、コンプライアンスの強化・徹底に努める」とコメントした。

なお、極東開発は、2026年3月期の連結業績見通しへの影響について「現在精査中」とし、判明次第開示するとしている。

 

 編集部の視点:透明性なき価格調整がもたらす社会的損失

談合は最終的に自治体や建設会社などの発注者に対し、不要なコスト転嫁を招く構造的問題だ。特に特装車業界は、災害対応や廃棄物処理など、社会インフラを支える重要分野だけに、その影響は大きい。

今回の摘発は、「公正な競争を取り戻す契機」となるべきであり、単なる罰則にとどまらず、企業のコンプライアンス体制の実効性が問われている。

 

[ 2025年7月 2日 ]
スポンサーリンク
  

 

 


HTML Comment Box is loading comments...



※記事の削除等は問合せにて。

スポンサーリンク
 

 

関連記事

 

 



PICK UP


破産・小口倒産一覧