アイコン 第11大栄丸に関する県議会記事録について

第十一大栄丸転覆沈没事故に係る行方不明者の捜索並びに
大中型まき網漁業等沖合漁業への支援を求める意見書
 
4月14日午前8時過ぎに平戸市上阿値賀島沖合で発生した、平戸市生月町舘浦漁業協同組合所属の大型まき網漁船「第十一大栄丸」の転覆沈没事故は、乗組員22名のうち10名が救出されたものの、国、県、市、地元漁協、消防団等による大規模な捜索・救助活動にもかかわらず、今なお12名が行方不明のままという重大な海難事故となった。

 

 第七管区海上保安本部、水産庁九州漁業調整事務所、海上自衛隊など、国の関係機関には、事故発生直後より、現場海域における長期間の捜索活動や本県等が設置した「第十一大栄丸事故現地合同対策本部」への現地連絡員の派遣など、格別のご協力、ご支援をいただいたことに厚く感謝を申し上げる。
 こうした捜索活動にもかかわらず、いまだ12名の乗組員が発見されず行方不明のままとなっていることは、非常に悲しく残念な状況である。
 大栄水産㈱は、乗組員が第十一大栄丸の船内に取残されている可能性が高いと判断し、乗組員の早期救出の可能性について海中調査を民間サルベージ会社に依頼したが、その結果、深度、漁網の絡まり具合、船の傾斜等の関係からダイバーの脱出経路の確保が難しく、乗組員の救出は困難との報告を家族に対して行なった。
 また、技術的な検討は行われていないが、仮に引き揚げが可能としても莫大な費用が必要と想定される中で、大栄水産㈱による引き揚げの対応は、非常に困難であろうと予想されるところである。
 現在、行方不明の乗組員の家族からは、会社ができないなら国等にお願いしてでも、船内に取り残されているであろう乗組員を一日も早く救出してほしいとの強い要望が寄せられている。一方、水産庁からは、潜水士等による船内の捜索や船体の引き揚げについて、国の装備では技術的に不可能であることを、海上保安庁及び防衛省との情報交換により確認していると、現地で直接説明を受けたが、農林水産副大臣による事故直後の発言に期待を寄せていたことから、家族らは大変落胆しており、県議会としても、これら関係者の心情を察すると慰めの言葉もない気持ちである。
 また、大栄水産㈱は、第二十三大栄丸船団5隻による操業を再開したが、今後、残された第十一大栄丸船団の乗組員の雇用はどうなるのか、会社の維持や地域経済への影響はどうなるのかなど、地元は将来に対して大きな不安を抱いている。
 こうした行方不明乗組員の家族をはじめとする関係者の心中を察していただき、以下のことを国に対して要望する。
  1.  国は、船内に取り残されているであろう行方不明乗組員が早く家族のもと に帰ることができるよう、あらゆる手だてを講じて最大限の支援を行うこと。
  2.  雇用対策に万全を期すとともに、地域経済を支える大中型まき網漁業が今 後も維持できるよう支援を行うこと。
 また、今回のように一旦大きな漁船事故が発生すると、多数の人命が一度に損なわれること、一漁業法人のみならず地域の雇用・経済に大きな影響が生ずることなどを改めて痛感しており、事故が発生した場合に備えた国による十分な支援策や対応策として、以下のことを併せて要望する。
  1.  漁業者に対し、安全航行・安全操業の徹底した指導に取り組むこと。
  2.  漁船保険制度の改善を行うこと(法制度の整備を行うこと)。
  3.  船員の雇用就労対策、大中型まき網漁業振興等の支援に取り組むこと。
  以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
  平成21年5月29日
長 崎 県 議 会
提出先)
内閣総理大臣  麻生太郎様
農林水産大臣  石破 茂様
内閣官房長官  河村建夫様
衆議院議長   河野洋平様
参議院議長   江田五月様
 
以上100%県議会議事録原文である。
<コメント>
 県議会のパフォーマンス
当問題に対し県議会は、県を司る金子県知事をどう動かそうとしているのか、また県がどう当問題を処理しようとしているのか全く見えてこない。
それをはっきりとさせた上で、意見書(残念ながら決議書ではなかった)のとおり国にお願いするならまだしも、何もせずお願いだらけでは誰が真剣に対応しようか、当初から100%国頼りでは、国も形だけは意見書を大人の世界で受け取ろうが実質動くはずがない。近藤副大臣室の秘書官のコメントを当HPで掲載したはずだ。1ヶ月以上経つというのに平戸市長も県知事も県議会議長も「引き揚げの支援要請」をお願いしていないのである。現に今だ引き揚げの見積もりさえ日本サルヴヱージ社に対して大栄水産はじめ、漁協も平戸市も長崎県もどこも依頼していない(県議会は5/29意見書採択、それ以前に副大臣室取材)。
当意見書は遺族の動き世論に押されての単なる県議会のパフォーマンスにしか見えてこない。
前例のない漁船の引き揚げを国に対して支援要請するには、まず県議会が引き揚げを決議し、資金面の不足分を国に対して要請するのが筋であろう。一方で長崎県は全市町村で引き揚げの決議を採択させ、近隣他県や漁業者の多い市町村や県に決議してもらい、政府や国会に働きかけるしかない。議会・世論・マスコミを高揚させなければ国は動かない。引き揚げと同時に漁船保険の法整備まで持ち込むのである。
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[ 2009年6月 3日 ]
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