アイコン 国際リニアコライダーとは 経済波及効果1兆円超

国際リニアコライダー2020年代の完成を目指して計画が進む最先端の実験施設・ILC=国際リニアコライダーの設計書が世界の研究者によって完成(完成版)、6月12日夜、東京で建設を推進する組織への譲渡式が開催された。
ILC=国際リニアコライダーは、2020年代半ばの完成を目指して計画が進められている最先端の巨大な実験施設で、日本が建設の有力な候補地となっている。
長さ30キロの直線のトンネルの中で電子と陽電子を光とほぼ同じ速さで衝突させ宇宙が誕生した直後の状態を作りだすことで、宇宙の成り立ちの解明を目指す。

<ILCの概要>
1、万物の質量の起源とされる「ヒッグス粒子」や「超対称性粒子」などの未知の粒子の解明が最初の目的である。
1、ILCは、史上最大で最高エネルギーの電子・陽電子を衝突させる次世代加速器。
1、全長約30km(将来計画は50km)を超える地下の直線トンネル内に、精密な高真空ビームパイプを設置。
1、ビームパイプの一方から電子、もう一方から陽電子ビームを入射し、ほぼ光速まで加速して、中央部で正面衝突させ、ビックバン直後と同じ高エネルギー状態を実現。
1、この瞬間発生する素粒子を測定・解析し、謎に包まれている宇宙の起源の解明に挑戦する。
1、現在、世界中の300あまりの研究機関が関与して、加速器設計・開発に約700名、測定器の設計・開発に約900名の研究者・技術者・大学院生等が関わっている。

<ILC誘致の経済効果>
九州大学経済学研究院・髙田仁准教授の経済効果試算
ILCは建設期間が10年弱、8年ぐらいはかかり、その間のトータルの経済波及効
果が約1兆1,000億円。そのうち、地元への経済波及効果は約3,400億円。
稼動期間中は、1年あたり日本国内で約600数十億円。そのうちの地元へは460~490億円。年間約500億円が直接的な経済波及効果となると試算している。
また、間接的な経済波及効果として、完成後、外国人研究者とその家族など約5000人が、施設の周辺に住むことが予想され、間接的な経済効果も大きいとしている。

<<国内の誘致合戦>> 岩手北上山地と佐賀背振山地
 岩手北上山地が有力候補として先行していたが、最近は佐賀県の背振山地へ誘致に福岡県も加わり、追い上げを見せている。
 長期復興事業の面からは岩手北上に歩があるが、近隣は地震の多発地帯であり、測定に影響を及ぼす可能性もある。
金を自由に使える政権担当者の色合いから見れば、佐賀背振案が俄然有利となる。
最終的には7月、世界の物理学者が設置場所を決定するとしているが、政治の裏の世界はわからない。

<北上山地への誘致>東北大学+地元
6月9日、世界最先端の実験施設、ILC=国際リニアコライダーの建設を、岩手県が誘致を進めている北上山地に決まった場合、どのような研究生活が送れるのか見てもらおうと、海外の研究者に岩手県一関市の候補地を訪れてもらう催しが行われた。
これは東北大学が企画したもので、8日まで行われていた素粒子研究の国際会議に参加していた物理学の研究者たち21人が、ILCの候補地になっている一関市東山町を訪れた。
参加者たちは、東北大学の担当者から北上山地の地形やその地質が施設の建設に適していることなどの説明を受けていたという。以上、参照:NHK
国への働きかけも、東北市長会の奥山恵美子会長(仙台市長)らが6月4日、文科省を訪れ、丹羽秀樹政務官に岩手県北上山地への誘致を求めている。

<九州背振山系への誘致>九州大学+佐賀大学+地元
九州大学は、昨年5月、国際リニアコライダー(ILC)の測定器グループILD の国際会合「ILD Workshop 2012」を開催、関係者を予定地へ案内するなど、佐賀大学とともに、それまで先行していた東北からの巻き返しを図っている。
佐賀の古川知事は今年5月、わざわざスイスまで行き、欧州合同原子核研究機関(CERN)のロルフ・ホイヤー所長と面談、ILC誘致をアピールした。
福岡や佐賀県はILC誘致に向け、地元選出の国会議員も文科省に対して積極的に動かしている。
お断り:前回掲載した分に加筆して再編成記事としています。
 

[ 2013年6月14日 ]
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