アイコン 工作機械 過去最高・空前の活況 内需20%増、外需65%増

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中国勢のスマホ生産が急増、また、国家政策として国産製品向けの部品・部材は国内生産するという目標下、半導体工場や液晶・ディスプレイ工場に対して空前の投資(優先融資)を行い17・18・19年に本格完成してくる。
それに中国政府による外国投資抑制策(外資流出防止策)もあり、労務費高騰を自動化=生産機械で乗り越える動きが顕著となっている。
低迷していた欧州経済も回復基調に転化、ここでも工作機械が大幅に伸びている。当然、そうした海外向け製品製造機械を製造する部品部材製造する工作機械は、日本企業の海外工場のほか日本国内でも生産されており、国内生産拡大の内需も急展開している。
特に、半導体の需要環境は、今後、自動車のEV化・自動運転車化、家電などのIOT化・AI化が進み、さらに半導体製造装置等の需要は技術を進化させながら増加していく。

空前の活況・納期待ち
 工作機械や半導体製造装置などの生産設備の需要が空前の活況にある。
日本工作機械工業会によると2017年の工作機械の受注額は過去最高を更新する見通し。
想定を上回る需要の急増は、精密な位置決めに使われる直動案内機器など要素部品の調達が追いつかず、一部では、部品が手に入らず、工作機械の納期が1年と言われたとの声も聞かれる。

日本トムソンは、直動案内機器を手がけ、「全体的に直動案内機器の需給が逼迫しており、納期が1年を超える製品もある」と説明。
直動案内機器と同様に精密な位置決めに使われるボールネジも引き合いが多い。

日本精工では、定期供給するボールネジは、追加発注分を含めて通常の1~2ヶ月の納期で対応する一方、「新たに設計が必要な製品は納期が6ヶ月~1年未満に伸びる」という。

<スマホ>
需要急増の背景には複合的な要因がある。
2016年秋頃に従来の“シリコンサイクル”では下降局面に向かうはずの半導体製造装置向けの需要が、中国勢の生産拡大で増加。

2016年・17年と中国勢のスマホ生産の急拡大が続いており、17年Q2のファーウェイは前年同期比20%増、OPPOは63%増・シャオミ・vivoなども大増させている。

2017年5月以降は自動車関連とみられる設備投資が活発化し、日本精工は、特に工作機械向けの需要が月を追うごとに強くなっていき、急きょ増産体制を構築。

切迫する需要に対応するため部品各社は人員の拡充や操業時間の延長などにより供給体制を強化している。

日本精工はボールネジや直動案内機器などの精機製品の生産量を17年度に前年度比約4割増やした。日本精工は日本と中国で数十億円を投じてボールネジなどの精機製品の設備を増強。両拠点で生産能力を現状比約1割増やし、2018年12月のフル稼働状態。また韓国では直動案内機器、日本では工作機械の主軸向けの精密軸受なども増産する。

THKは2017年7月までに直動案内機器などの生産量を2016年秋と比べ約5割増加。
THKは2017~18年の2年間に500億円を投じて直動案内機器などの生産を拡大。日本とベトナムで新工場を建設し、中国では能力増強を前倒しする。中国では早ければ2017年内に直動案内機器の増産を予定する。

日本トムソンは、直動案内機器の2017年度下期(2017年10月~18年3月)の生産量を金額ベースで2017年度上期比2割以上引き上げる。

工作機械業界は記録的な活況。
今年の受注額は過去最高がほぼ間違いない。日本工作機械工業会(日工会)がまとめた最新データは1~11月が1兆4796億円。2007年の1兆5899億円を超えれば10年ぶり過去最高を塗り替える。初めての1兆6000億円台も見えてきている。

単月1000億円のラインが好不調の目安とされる中、月平均1345億円の進捗は異常とも言える高水準。
11月には外需だけで1000億円を超えた。現在の活況についても、来年、大きく伸びることはなくても、維持はしそうとの見方が多い。

前例のない旺盛な設備需要は要素部品の不足を生んだ。
工作機械各社は現状を打開すべく奔走する。
ジェイテクは、発注の内示を早め早めにしっかり出す、
東芝機械はリスクを抱えて早く発注する、
DMG森精機は、先行発注で生産枠を確保すると早期発注が基本。
その上で、生産工程を前後させる取り組みも目立つ。
オークマは通常、全部品をそろえ組み立てている。これを、そろった部品を使う箇所を先に組み立てるように変えた。さらに東芝機械などで他社製品に置き換える転注の動きもある。

一方、要素部品以外にも調達に時間を要するものがある。
DMG森精機は中小協力会社からの部品の品質と納期を確保するため、加工機の貸し出しに加え、生産技術部・製造部の社員が出向して支援する体制を整えた。さらに2018年1月4~5日を働き方改革の一環で休業日とし、生産が滞っている協力会社に「この期間を利用してキャッチアップしてもらう。

業界関係者の間でも 好況時に要素部品が不足するのはこの10年、20年のことではなく、古くからある現象だという。
直近では工作機械受注が過去最高を記録した、2007年が記憶に新しい。当時は軸受不足となり、日本精工、NTN、ジェイテクトなどが設備投資に動いた。しかし、翌年にはリーマン・ショックが起きた苦い経験がある。設備投資後の需要の急減もまた繰り返されてきた歴史であり、構造上の大きな課題となっている。

工作機械受注状況
 
内需
外需
合計
/百万円
金額
前年比
金額
前年比
金額
前年比
2014
496,391
23.8%
1,013,006
41.4%
1,509,397
35.1%
2015
586,240
18.1%
894,352
-11.7%
1,480,592
-1.9%
2016
530,545
-9.5%
719,458
-19.6%
1,250,003
-15.6%
2017年1月
37,750
-4.6%
65,994
8.7%
103,744
3.5%
2017年2月
40,539
4.2%
70,679
12.1%
111,218
9.1%
2017年3月
52,460
2.3%
90,238
39.0%
142,698
22.8%
2017年4月
50,459
29.5%
83,242
38.1%
133,701
34.7%
2017年5月
51,059
31.4%
78,828
20.3%
129,887
24.5%
2017年6月
54,694
7.8%
88,273
51.4%
142,967
31.1%
2017年7月
55,218
7.6%
78,438
47.7%
133,656
28.0%
2017年8月
51,779
20.1%
81,757
48.8%
133,536
36.2%
2017年9月
61,014
34.0%
88,074
53.6%
149,088
45.0%
2017年10月
56,698
37.1%
83,963
59.8%
140,661
48.9%
2017年11月
54,326
20.8%
104,199
65.5%
158,525
46.8%
2017年1~11月累計
 
鉄鋼・非鉄
15,808
-5.7%
金属製品
23,148
9.8%
自動車
182,695
15.1%
うちカー部品
126,731
20.4%
電気機械
32,798
43.2%
精密機械
22,969
30.1%
航空・造船等
21,355
-25.7%
その他製造
14,904
31.0%
官公庁・学校
2,630
29.7%
その他
10,165
15.2%
商社・代理店
7,631
14.9%
以上、内需
565,992
26.8%
以上、外需
913,660
39.8%
受注総計
1,479,652
30.0%
うちNC機
1,453,200
30.1%
 
世界スマホランキング(出荷台数)
 
17年Q2
17年Q1
Q2前年比
 
百万台
シェア
百万台
シェア
サムスン
79.5
22.1%
80.1
26.1%
2.4%
アップル
41.0
11.4%
51.9
16.9%
1.5%
華為科技
38.4
10.7%
35.0
11.4%
20.0%
OPPO
29.5
8.2%
24.9
8.1%
63.9%
Xiaomi
23.2
6.4%
 
 
57.8%
vivo
 
 
19.0
6.2%
 
その他
148.8
41.3%
82.0
26.7%
-6.3%
合計
360.4
100.0%
307.0
100.0%
5.5%

 

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[ 2018年1月 5日 ]

 

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