アイコン 日立製作所 南ア問題・三菱重と和解 3780億円の損金計上 通期下方修正

 

 

<問題の南ア発電所建設工事>
受注額は約5700億円(受注2007年⇒納期2015年・・・設計変更あり/ボイラー12基)
損害金被請求額は約7743億円(南ア電力会社からの遅延損害請求額、いつまでの分かは不明)
現在も工事中

<今後のリスク>
実際の工事の進捗や設備費用によっては、今後、当工事にかかわる損害金が発生するリスク
完成が長引けば長引くほど遅延損害金は今後とも発生し続けるリスク。

<統合会社>
2014年2月、三菱重工と日立製作所は、火力発電事業をそれぞれ会社分割し経営統合して、統合会社は三菱日立パワーシステムズ(MHPS)とし、出資割合は三菱重工が65%、日立製作所が35%。南アの工事も統合会社が引き継いだ。

(日立は南ア工事をできず遅延していた、三菱も工事できず遅延していた。統合する時に日立の当現場のデューデリを三菱は怠った)

<本文>
日立製作所は18日、南アフリカの発電所建設の費用負担を巡り三菱重工業と和解したと発表した。
日立は、
1、 三菱重との間で設立した三菱日立パワーシステムズ(MHPS)の株式35%を三菱重側に譲渡する
2、 和解金として2,000億円を三菱重工に支払う。

実質的には、日立がMHPS(資本金1,000億円/資本剰余金3,840億円)に対して保有する700億円の債権も三菱重に譲渡することで一部が相殺されることから、支払額は1,300億円となる。株式譲渡によりMHPSは三菱重の完全子会社となる。

日立は今期(2020年3月期)の純利益予想を従来の3,600億円から1,700億円に下方修正することも発表し、前期実績比▲24%の減益となる。
三菱重は、合理的な見積もりが可能になった時点で開示するとし、業績予想を据え置いた。

対立の焦点となったのは、
元々は日立が受注した南アでの発電所ボイラーの建設事業。2014年に三菱重と火力発電事業を統合したMHPSが引き継ぎ、三菱重側は、譲渡価格を大幅に引き上げて差額の支払いを求めた。これはMHPSが事業を継承した段階で、すでに問題は生じており、統合前の日立の責任だと主張していたもの。
これに対して、日立側は、三菱重側に譲渡したことから、譲渡後はそれ以前の受注事業に対して瑕疵担保責任は負わないと開き直ったもの。
(MHPSは三菱重ガ65%、日立が35%と三菱重の連結子会社となっている。)

三菱重工は2017年7月、約908億南アフリカランド(約7743億円)の支払いを求める仲裁を日本商事仲裁協会に申し立てた。
以上、

日立が有する35%のMHPSの持株の評価額は不明だが、資本金だけでは350億円、剰余金まで入れた場合は1690億円となる。2000億円(相殺があり実質現金支出額は1300億円)のキャッシュと合わせて3690億円。・・・・日立が公表した南ア費用=損失3780億円とほとんど変わらない。

日立は南ア事業について、業績予想修正で▲3780億円の費用=損金として処理、一方、日立化成の売却で売却益を2780億円計上し、差し引き税引前利益でこれまでより1000億円減少するとしている。

日立の強気の姿勢が窺い知れるが、これまでの決算で全く引き当てもせずにいたことの方が驚きだ。最低でも前期に引き当てるべきだったろう。株主に対してどう説明するのだろうか。

結果、かつて1000社を超えていた連結子会社数は2018年度末時点で840社にまで減少。今後500社まで減らすという。
20以上あった上場子会社も、今や日立金属、日立建機、日立ハイテクノロジーの3社だけとなる。

日立製作所は、LUMADA(社会イノベーション事業拡大のためのIoTプラットフォーム、デジタルイノベーション加速のためのソション事業)に基づく経営へ2021計画を推進中、
同社は、社会イノベーション事業の提供を通じ、顧客の社会価値(社会課題の解決)、環境価値(温室効果ガス削減等)、経済価値(業績向上等)の3つの価値を向上し、人々のクオリティ・オブ・ライフの向上に貢献していくとしている。
1、列車等の交通システム・交通インフラ事業、
2、電力機器&システム事業
3、工場・物流のオートメーション化のためのロボット&ロボットソリューション事業、
の3分野に特化するようだ。

本体の業績しだいでは売り飛ばされる可能性のある連結子会社
日立建機もロボットへ展開しない限りその命も危ない、
日立金属も同様危ない。
日立ヘルスケア・マニュファクチャリングも画像解析機器事業を富士フイルムに売却予定であり分からない。

日立の今後は、経営陣の頭にLUMADAに集約される方針がぐらつかず共有化されているかどうかだろう。また、事業進捗につき、踊り場を作り、検証することも必要だろう。
(日立同様、役員に外人さんたちをいっぱい入れているタケダ薬品も身以上の買収を行った)

 

2012年からの日立製作所の動き
2012年3月
米国Western Digital社へHitachi Global Storage Technologies Inc.等の持株会社であるViviti Technologies Ltd.株式を譲渡することにより、ハードディスクドライブ事業を売却
2012年
㈱日立ディスプレイズ株式譲渡、中小型ディスプレイ事業を売却
2013年4月
㈱日立プラントテクノロジーを吸収合併
2013年7月
日立金属㈱が日立電線㈱を吸収合併
2014年2月
火力発電システム事業を、三菱日立パワーシステムズ㈱に承継 (持分子会社)
2014年3月
㈱日立メディコを株式交換により完全子会社化(2016年4月、当グループのヘルスケア事業の再編に伴い、㈱日立ヘルスケア・マニュファクチャリングに商号変更)
2015年2月
アンサルドSTS(伊、鉄道信号保安機器会社)を1兆数千億円で買収
2015年2月
ペンタホ(米、工場稼働率などビッグデータ解析情報サービス)を650億円程度で買収
2015年4月
中央研究所、日立研究所、横浜研究所、デザイン本部及び海外研究開発拠点を再編し、社会イノベーション協創統括本部、テクノロジーイノベーション統括本部及び基礎研究センタとする顧客起点型のグローバルな研究開発体制を確立
2015年10月
日立アプライアンス㈱の空調システム事業を同社と米国Johnson Controls社との合弁会社に承継
2016年5月
㈱日立物流を株式の一部譲渡により、持分法適用会社化
2016年10月
日立キャピタル㈱を株式の一部譲渡により、持分法適用会社化
2017年3月
日立工機の株式譲渡により、電動工具事業を売却
2017年3月
日立マクセル売却
2017年4月
Sullair(米の空気圧縮機メーカー)1357億円で買収
2018年6月
㈱日立国際電気の半導体製造装置事業を売却するとともに、同社を持分法適用会社化
2018年4月
永大機電工業(台湾の昇降機会社)の39.7%取得(過半数取得失敗)
2018年12月
ABBパワーグリッド(スイス・変電・変圧・ガス開閉の機器とシステム開発)64億ドルで買収
2019年3月
クラリオン㈱株式の譲渡により、車載情報システム事業を売却
2019年4月
日立アプライアンス㈱が日立コンシューマ・マーケティング㈱と合併し、日立グローバルライフソリューションズ㈱に商号変更
2019年4月
JRオートメーション(米、ロボットSI企業)を1582億円で買収
2019年12月
日立化成の持株を昭和電工へ2780億円で売却
2019年12月
MRI等医療用画像診断機器事業を約1700億円で富士フイルムに売却予定の報道

 

日立製作所 2019年3月期 事業別売上高と営業利益 /億円
連結
売上高
営業利益
営業利益率
事業別
億円
前期比
億円
前期比
社会・産業システム
25,398
6.9%
1,513
31.0%
6.0%
情報・通信システム
20,659
2.8%
2,252
19.0%
10.9%
高機能材料
17,044
2.8%
999
-18.0%
5.9%
建設機械
10,337
7.8%
1,157
25.1%
11.2%
オートモティブシステム
9,710
-3.0%
380
-23.2%
3.9%
電子装置・システム
9,512
-12.5%
756
-13.0%
7.9%
生活・エコシステム
4,850
-10.2%
224
-10.8%
4.6%
その他
5,344
-4.2%
268
25.2%
5.0%
調整
-8,048
 
 
 
 
合計
94,806
1.0%
7,549
6.0%
8.0%

 

[ 2019年12月19日 ]

 

 

 


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