アイコン クルーズ船問題のすべては検査体制の未整備あった

 

 

3711人のクルーズ船が3日の夜に横浜の大黒ふ頭沖に帰港した。しかし、1日深夜の香港で1月25日に下船した香港人が感染していたことが発表され、同船でも感染が疑われる人がいることが判明し、着眼させなかった。具合の悪い人をまず検査対象にし、4日にも検体を採取、5日に10人の感染が確認され、その後毎日感染者数が発表された。

感染者が乗船していることから、5日になり、同クルーズ船に対して防疫体制の強化を図らせた。1日には那覇港にも寄港していた。
一度に大量に検査できる体制はまったく日本には、少なくとも首都圏にはなかった。10日に発表された検査人数は336人分だった。4日~9日の6日間で検査は1日あたり60人にも満たなかったことが分かる。
 
感染しても発症せず感染させる武漢コロナウイルス、クルーズ船全体の隔離は、乗船客を部屋で隔離したものの、そうした客にも対応する乗組員も感染しており、それも熱が出ない限り検査もされず、感染は広がっていった。
 
米CDCの検査施設は、COVID-19は感染力が強いためP3施設(最高P4施設で致死率が高いエボラなど扱う)で行っている。

日本の大学病院や民間病院でそうした施設で感染を検査している施設は限られている。P3施設水準の対応がない研究施設や病院では、ウイルスを流出させる可能性もある。

日本に3711人の検査体制がないにもかかわらず、クルーズ船全体を隔離したところに問題の根がある。
 
外紙ロイターは次のように取材記事を掲載している。
 
政府は、新型コロナウイルスへの感染の有無を調べるPCR検査について、18日から1日3000件以上の検査が可能になったとしているが、検査を依頼された大学病院や民間検査会社からは、早急な対応は難しいとの声も聞かれる。
国民が広くPCR検査で感染の有無を確認できるような状況には程遠いとの見方が示されるなか、行政側からも、感染が蔓延した場合、無限に対象を広げる必要はないという考え方もある、との声も聞かれる。
 
「PCR検査拡大の依頼は今月12日に厚労省から来たが、1日の検査件数は確定的には答えられない」・・・連結子会社などを通じ臨床検査・試薬を展開する、みらかホールディングスでは、他の検査も通常業務として行っており、その合間にできる分を行う方針だという。
 
みらかグループは感染リスクが低いとされる検体についての検査を依頼されたが、特に件数の割り当てを受けたわけではないという。
検査ラインを新設するわけではなく、既存の検査設備での日々の業務との兼ね合いで検査件数も変動するため、確定的な件数を明示できないとしている。
 
加藤厚労相は、国立感染症研究所で400件、全国の検疫所で580件、地方衛生研究所で1800件、さらに18日からは民間の検査所5ヶ所で900件、大学で150件の、あわせて最大で1日あたり3830件の検査が可能になったと発表している。
しかし、同グループのように通常業務でウィルス検査を実施している企業でさえ、追加検査能力を確定できない状況にあり、実験ではなく業務として新たにウィルス検査を依頼された大学病院では対応しきれないケースも想定される。
山梨大学医学部付属病院では、PCR検査の依頼は受けており、準備はしたいと考えているが、方針は何も決まっていない状況だという。
 
このため、検査開始時期も明示できないとしている。
 
一方、首都圏の国立大学法人附属病院では、今週から検査を開始する予定だという。しかし検査を手掛ける医師の1人は「おそらく多くの大学病院では対応が難しいだろう」との見方を示している。
 
新型コロナウィルスのような危険ウィルスの取り扱いには様々な手順の整備と施設条件をクリアする必要があるためだ。
痰や唾液などの生の検体の輸送は誰が行うのか、密室で、ある程度の広さを確保した施設の用意、外気への漏れを防ぐ大量の喚起フィルターの準備、検体後の処理をどうするか、といったマニュアルの準備が必要となる。
 
こうした状況に関して、厚労省では「3000件以上の検査能力は確保している」(健康局結核感染症課)と認識しているが、「各検査機関や大学病院での検査がどの程度可能かは実は聞いてもよくわからない。検体がきたら優先的な検査を期待するしかない」(同課)としている。
 
感染がまん延してきた場合の検査体制については「治療薬のないウイルスだけに、隔離しか方法がない。検査結果が分かってもあまり意味がなく、誰でも無限に検査対象を広げるわけではない、という考え方もある」(同課)としている。
 
インフルエンザのように、全国5千ヶ所程度の病院に絞ったり、地域を限定して検査を実施する方法もあるが、同省では国民の不安を踏まえれば、そうした一部の医療機関に人が殺到する状況も考えられ、現実的な対応ではないとしている。
前述の大学病院医師も「感染が広がり、不安に思う国民が誰でもPCR検査を受けられるような体制ではない」と指摘する。
簡易キットによる検査を全国のクリニックで行う方法もあるが、そうしたキットの開発に着手している東京のデンカ生研では、まだ今回のウイルス検体の入手ができていない状況で、開発時期のめどはたっていないという。キットが完成すれば、15分程度で感染の有無が判明するとしているが、それでも、確定診断のためにはPCR検査が必要だという。
以上、
韓国は6時間で判明するキットを完成させ利用している。韓国当局は厚労相にも技術を提供したという。
 
北里大学では、3人の担当者がいて日に60人分が限界だとしている。人を増やしたら増やせるというものではなく、増員するにも経験者が必要だとし、全国の感染症を扱う病院でも同じように2~3人体制だとしている。
 
上述のように国立感染症研究所でさえ、9日までは検査数からして日に60人程度しかないことが逆算される。
19日の下船に対しては、12日から検体採取を行い、感染有無の検査を行っている。日本の現在のRCU法では、感染の有無が確認されるまでに1日~数日間かかるという。韓国の同じRCU法の新式では6時間で判明する。
技術提供まで受けているが、厚労相がその技術を使うかどうかはまったくの不明。
 
クルーズ船は21日までに陰性者は下船する。残るのは乗組員と、同室者が感染して入院、同室の発症していない人が対象となり、感染が確認されてから、14日間まだ乗船を続ける。
 
早期に2回検査を行い、2回とも陰性者は下船させるべきではないだろうか。乗組員も下船させるべきだろう。当然感染者は上陸させ入院させるか隔離することになる。
 
未達研究施設や病院でCOVID-19のウイルス検査を行い、ウイルスが漏れ出た場合、どうするのだろうか。
今もって実態を知らないデタラメな検査体制を大臣たるものが発言している。

 

クルーズ船 ダイヤモンド・プリンセス号パニック
武漢コロナウイルス COVID19感染
 
感染者
備考
1月20日
 
クルーズ船横浜出航
1月25日
 
香港人乗客、体調悪で香港下船
2月1日
 
那覇港寄港、
 
深夜、香港当局乗船下船客、感染発表
2月3日
 
夜、横浜帰港、大黒ふ頭沖に停泊
2月4日
 
体調不良者など優先検査開始・採取
2月5日
10
検査で感染確認
2月6日
10
 
2月7日
41
 
2月8日
3
 
2月9日
6
検査対象者累積数323人
2月10日
65
 
2月11日
 
2月12日
39
 
2月13日
44
 
2月14日
0
 
2月15日
67
 
2月16日
70
 
2月17日
99
米国、米国人325人引取り、初の引き取り
うち当日感染判明者14人も搭乗
2月18日
88
 
2月19日
79
韓国14人引き取り
合計
621
 
乗船者数
3711人 
乗船客2666人、乗組員1045人
・乗船客の各国が引取開始、各国は全員帰国後14日間隔離
・日本は19日から陰性者の下船を開始、自由の身に。

 

[ 2020年2月20日 ]

 

 

 


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