(第5回)海をしゃぶり尽くす「有明商事海賊グループ」
玄界灘の水平線に、あの“灰色の影”がまた現れた。朝焼けの海を切り裂くように響くドリルの唸り。採取船が海底をえぐり、泥煙を上げながら境界線を越えていく。GPSの航跡は、まるで挑発するように協定線を踏み越え、佐賀県の海をしゃぶり尽くしている。
彼らの名は――「有明商事海賊グループ」。
表向きは県の認可を受けた真っ当な業者。だがその実態は、公共資源を私物化し、行政の黙認をバックに“海のゴールドラッシュ”を繰り広げる現代の略奪者、海賊だ。
「境界線? そんなもん曖昧にしとけ」
平成13・14年度、まだ協定線の協議中だったにもかかわらず、長崎県が越境区域に採取許可を出していた――。この一件が、後の“採取マフィア時代”の幕開けとなっている。

有明商事、葵新建設、長崎県海砂生産組合。肩書きは違えど、やってることは同じだ。海を掘り、金を吸い上げ、証拠は波に流す。
「県が許可したんだから問題ない」、その一言が、彼らの免罪符ともなっている。
合法の皮を被った違法、公共の名を借りた私腹肥やし。その構図は、まるで行政が操舵する“官製海賊船”のようである。

漁場を壊して、補償金は“他人の漁協”へ
掘り返された海底は、まるで虫食い跡のように凸凹だらけ。ソナー映像には、削られた海の傷跡がくっきりと映っている。
漁師が網を下ろしても魚は寄りつかず、生活はじりじりと追い詰められる。だが、補償金はどこへ?
答えは――壱岐市東部漁協、浦田和男組合長の銀行口座、博多に購入している高級マンション、高級車。
本来、佐賀玄界灘の漁師に支払われるべき迷惑補償料が、なぜか海を隔てた長崎側の壱岐の東部漁協浦田和男へ流れている。
「領収書は佐賀県名義、入金は長崎県口座」――これが現代版“海のマネーロンダリング”と呼ばれている。

黙認の県庁、沈黙の砂防課
「証拠は揃っている」――そう言っても、県庁の反応はいつも同じ。「調査中です」「確認します」「担当が不在で」…
まるで、行政と業者が同じ船に乗っているような一体感。違法採取の舵を切るのは誰だ?
窓の外には穏やかな海。だが、その海の底では**“公有財産の略奪”**が続いている。
見て見ぬふりをする役所は、もう共犯だ。
玄界灘の声を、聞け
これは単なる漁業問題じゃない。佐賀県、長崎県民全体の財産問題でもある。
海砂は誰のものでもない。けれど、“誰のものでもない”からこそ、守る責任がある。
いま、有明商事海賊グループは海を喰い荒らし、行政は沈黙を貪る。だが、この海は黙ってはいない。
潮が満ちれば、必ず引く。腐敗もまた、いつまでも隠せはしない。
終わりに――次の波が来る
スーツを着たままドリルを握り、笑顔で記念写真を撮る彼ら。書類上では“合法”、だが現場では“略奪”。
そんな欺瞞の構図は、もう潮時だ。
潮目は確実に変わりつつある。次に押し寄せるのは、告発の大波。
そしてその波の名は――「玄界灘を守り育てる会」。

「海は、黙ってはいない。」
JC-net・日刊セイケイ編集長・中山洋次





