アイコン 「国内アパレルの砦」崩れる 阪神服装の破綻が示す"拡大の罠"


兵庫県西宮市の老舗縫製会社・阪神服装(株)が10月24日付で事業を停止し、自己破産申請の準備に入った。1973年創業、婦人服のプレタポルテを中心に発展し、2025年5月期には年商232億円超まで成長していた企業の突然の幕引きは、アパレル業界に重い衝撃を与えている。

同社は、長年培ったプレス加工や縫製の技術を武器に、スポーツウエアや制服など新分野に進出。急速に業容を拡大したが、その裏で必要な運転資金も膨張。借入による資金繰りに頼る構造のもと、不明瞭な取引が表面化し、資金調達が行き詰まったとみられる。負債は約62億円に上る。

 

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業界関係者の間では「技術力は高くても、資金管理やリスク統制のノウハウが追いつかなかった」との声が上がる。近年のアパレル業界は、国内縫製の縮小に加え、円安や人手不足、原材料高といった逆風に直面しており、下請け構造のまま事業拡大を図る企業ほど資金繰りに脆弱さを抱える。

コロナ禍を経て、消費者の嗜好は小ロット・多品種へと急速に移行。大手ブランドの内製化も進むなか、縫製業者は「高付加価値化」か「低コスト量産」かの選択を迫られている。阪神服装の破綻は、その狭間で苦闘する国内縫製業の現実を象徴している。

拡大を成長と誤認したツケは、ついに表面化した。いま問われているのは、規模ではなく「持続可能なものづくり」への転換だ。

アパレル不況

[ 2025年10月29日 ]
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