≪第4回≫「採らせないなら訴える」葵新建設(出口勇一社長)壱岐の海で始まった"砂戦争"の号砲

昔から言う。「浜の争いは、波より長引く」と。
だが今回の壱岐の騒動は、そんな生やさしいものではない。
浜の揉め事どころか、4,400万円の訴訟にまでエスカレートしている。
まるで昔の東映映画のような話だが、これはれっきとした現実の文書に書かれていた内容である。
令和5年12月。
郷ノ浦町漁業協同組合に届いたのは、葵新建設代理人弁護士からの内容証明郵便だ。
その趣旨は実に明快。「砂を採らせないなら損害賠償請求する」である。
回りくどい法的表現を全部はぎ取れば、ほぼこれだ。
しかも額は、4,400万円、ちょっとした家なら何軒か建つ。
郷ノ浦漁業協同組合 「条件を整理しよう。」
葵新建設(出口勇一社長) 「契約違反だ」

事の発端は、郷ノ浦漁協が海砂採取に関する“同意書”について、「条件なしでは出せません」という姿勢を見せたことらしい。
すると葵新建設(出口勇一社長)は即座に、「それは契約違反」だと反発。
「採れなくなった責任を取れ」となった。
この流れ、なかなかに味わい深い。
普通なら、「条件を調整しましょう」「話し合いましょう」となりそうなものだが、
ここではいきなり
訴訟予告の内容証明である。
交渉というより、ジャブなしのストレートである。
「じゃあ郷ノ浦では採りません」
さらに葵新建設は、郷ノ浦海域で予定していた62,000㎥の採取中止を宣言。
代わりに、石田町で採るという。
ずいぶん切り替えが早いというか、誰か強力な指南役がいるようだ。
「地域との信頼」よりも「採れる場所」が大事なのだろう。実に海砂マフィアーらしい。
本当に守りたいのは契約か、それとも…
ここで見えてくるのは、単なる契約論ではない。
問題の本質はこうだ。
「地元が口を出した途端に揉めた」のである。
長年続いてきた仕組みに対し、地元側が「少し条件を整理したい」
「確認したい」と言い始めた途端、返ってきた答えが、『違反だ』『訴える』『損害賠償だ』である。
……なかなか急展開である。
この争い、表向きは海砂採取問題に見える。
だが実態は違う。
これは「誰が壱岐の海のルールを決めるのか」という主導権争いだ。

壱岐東部漁協組合長、浦田和男の影がチラついている。
JC-net・日刊セイケイ編集長・中山洋次





