コメ価格、下落鮮明に 在庫は10年ぶり高水準 「米離れ」加速、後手に回る政策

値上がり基調が続いていたコメの需給バランスが暗転している。生産者や集荷業者を対象にした4月の調査で、向こう3カ月の価格見通しを示す指数は7カ月連続で「下落」の目安となる50を下回った。民間在庫が直近10年で最大水準に積み上がるなか、市場では安売りの動きが加速している。背景にあるのは、昨年の高騰を機に決定定的となった消費者の「コメ離れ」と、需給調整に失敗した政府の構造的な課題だ。
昨年の「令和の米騒動」とも呼ばれた品不足と価格高騰は、家計を直撃した。大手スーパーでは5キロあたり4000円を超える異例の事態となり、消費者はパンや麺類への代替を余儀なくされた。一度離れた食習慣は、価格が下落に転じても容易には戻らない。都内の主婦(45)は「一度値上げを経験すると、特売でもない限り以前のように頻繁には買わなくなる」と漏らす。
政権の対応には厳しさが伴う。昨年の品不足時、政府は「在庫は十分」として備蓄米の放出を拒み続けた。これが市場の不安を煽り、結果として消費者の「米離れ」を招く一因となった。過剰在庫に転じた現在、農林水産省は主食用から飼料用米への転換を農家に促しているが、補助金に頼った生産調整は対症療法に過ぎない。
コメの平均価格は5キロ3700円台まで下がったが、肥料や燃料費の高騰に苦しむ農家にとって、これ以上の価格下落は離農に直結しかねない。消費者の財布を守る「値下げ」と、食料安全保障の要である「生産基盤の維持」。相反する二つの課題に対し、場当たり的ではない、抜本的なビジョンが今こそ問われている。





