円安161円台、ウォン安も進行 アジア通貨を揺らすドル高と為替介入警戒
円相場が一時1ドル=161円93銭まで下落し、約40年ぶり安値に接近。韓国ウォンなどアジア通貨にもドル高圧力が広がり、為替介入への警戒感が強まっている。
連休明け22日のニューヨーク外国為替市場で、円相場は対ドルで下落し、一時1ドル=161円93銭を付けた。2024年7月以来、約2年ぶりの円安ドル高水準で、1986年12月以来約39年半ぶりとなる安値にも再び迫った。午後5時時点では、連休前の18日比24銭円安ドル高の1ドル=161円56~66銭で取引された。
円安の主因は、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ観測が再び強まったことにある。米景気の底堅さやインフレ警戒を背景に、米金利が高止まりするとの見方が広がり、日米金利差を意識した円売り・ドル買いが続いた。日銀が金融正常化を進めても、米国との金利差はなお大きく、円を売ってドルを買う流れは簡単には止まっていない。
市場が神経をとがらせたのは、161円台後半という水準そのものだ。過去に日本当局が円買い介入に動いた水準に近づいたことで、投機筋の円売りと当局のけん制がぶつかる局面となった。片山さつき財務相がベセント米財務長官とオンラインで協議したと伝わると、為替介入への警戒感から円は一時161円近辺まで急伸した。
ただ、今回の通貨安は日本だけの問題ではない。韓国ウォンも対ドルで下落し、ウォン・ドル相場は23日の寄り付きで前営業日比2.4ウォン安の1ドル=1539.4ウォンとなった。アジアの輸入国では、米金利上昇によるドル高に加え、原油や資源価格の変動が通貨の重荷となりやすい。日本円、韓国ウォン、インドルピーなどに売り圧力が広がれば、アジア全体で輸入インフレへの警戒が強まる。
特に日本と韓国は、エネルギーや原材料の輸入依存度が高い。通貨安は輸出企業の採算改善や訪日・訪韓需要の追い風となる一方、食品、燃料、建材、物流、外食など幅広い分野でコスト上昇を招く。価格転嫁が難しい中小企業にとっては、売上増よりも利益圧迫として表れやすい。
アジア通貨安の背景には、中国経済の不透明感もある。中国景気の回復力が弱ければ、アジア域内の貿易や素材需要にも影響し、周辺国通貨の重荷となる。米国の高金利、ドル高、中国景気の鈍さ、中東情勢による原油価格の振れが重なり、アジア市場は複数の外部要因に揺さぶられている。
今後の焦点は、まず米国の物価指標と雇用統計だ。FRBの利上げ観測がさらに強まれば、ドル高は続き、円やウォンなどアジア通貨は一段と下押しされる可能性がある。次に、日本政府・日銀が162円前後の円安局面で実弾介入に踏み切るかどうかが注目される。口先介入だけでは市場の円売りを止めにくく、当局の本気度が試される局面に入っている。
円安161円台は、日本国内の物価問題にとどまらない。ウォン安やアジア通貨安を伴うドル高は、域内経済全体に輸入コスト上昇と金融市場の不安定化をもたらす。株高の陰で進む通貨安は、企業収益と家計負担の両面から、アジア経済の新たなリスクとして意識され始めている。





