≪第19回≫大村市新庁舎、大林組・西海建設・高瀬建設JVの行方!

『大村市新庁舎「庁舎棟」建設工事』は、5月27日、入札公告が発表され、参加申請書は7月6日に締め切られ、8月7日に開札、同月21日までには入札結果が通知される。
公共工事では、決まって「地元貢献」「地元企業育成」という言葉が登場する。
地元業者を入れる。
地元に仕事を落とす。
地元経済を回す。
耳触りは実にいい。
だが、ここで一度立ち止まって考えなければならない。
その「地元」とは、いったい誰のことなのか。
大村市民全体なのか。
市内の中小建設業者全体なのか。
それとも、毎度おなじみの一握りの有力業者なのか。
この部分を曖昧にしたままでは、「地元貢献」は便利な包装紙にすぎない。中身が何であろうと、きれいな紙で包んでしまえば、それらしく見えてしまうからだ。
3社JVは、本当に地元のためなのか
大村市が公告した新庁舎建設工事は、3社による共同企業体、いわゆる3社JVを参加条件としている。
代表者には、指名停止中だろうが、なかろうが大林組など高い建築工事の評点と、一定規模以上の免震構造を採用した庁舎や銀行、本社ビルなどの施工実績を要求されている。
第1構成員には長崎県内の公共工事の大半を受注してきた西海建設を代表する県内本店業者となっている。第2構成員には大村競艇場の工事を独占している大村の雄、高瀬建設など市内本店業者が求められている。

表面だけを見れば、大林組の技術力と、県内では西海建設の政治力だったり、市内業者では高瀬建設の地域性を組み合わせた、いかにも合理的な条件に見える。
だが、条件が細かくなればなるほど、別の疑問が浮かぶ。
この条件をすべて満たし、現実にJVを組める業者は何社いるのか。
そして、どの大手が、どの県内業者、市内業者と組むのか、公告前から業界内で予想できる状態になっていなかったか。
参加資格は広く見えて、実際の入口は極端に狭い。
そんな設計になっていないかを、市民は厳しく見なければならない。
「参加資格を満たした」だけでは説明にならない
大村市に尋ねれば、おそらく返ってくる答えは決まっている。
「入札公告に基づき適正に行っています」
「各社は参加資格を満たしています」
「審査基準に従って公正に判断します」
もちろん、それは行政として最低限必要な答弁である。
しかし、最低限の答弁と、市民が納得できる説明は別物だ。
形式上、参加資格を満たしている。
書類上、問題がない。
規則上、排除する理由がない。
それだけで、数百億円規模となり得る市民の大型事業を任せてよいのか。
公共工事では、「違反していない」だけでは足りない。
なぜその条件にしたのか。
なぜ3社JVでなければならないのか。
なぜ代表者にその実績を求めるのか。
市内業者には、実際にどこまで仕事が回るのか。
下請けや資材調達は、市内企業へどれほど開放されるのか。
ここまで説明して初めて、「地元貢献」という言葉に中身が入る。
名前だけの地元参加になっていないか
JVに市内業者が入っているから、地元貢献になる。
そんな単純な話ではない。
市内業者がJV構成員として名前を連ねていても、実際の施工管理や主要工事、資材調達、下請け選定を大手ゼネコンが握れば、地元への経済効果は限られる。
市内業者が担当する工事の割合はどれほどか。
出資比率はどうなっているのか。
施工体制上、どのような権限を持つのか。
利益配分はどう決まるのか。
市内下請け業者への発注目標は設定されるのか。
こうした実態が見えなければ、市内業者は単なる“地元枠の看板”になりかねない。
大手ゼネコンが大型工事へ参入するための通行証として、地元業者の名前だけが利用される。
そんな構造であれば、それを地元貢献とは呼べない。
それは地元利用であって、地元貢献ではない。
JC-net・日刊セイケイ編集長・中山洋次





