【倒産企業続報・東京】(株)いちのやが破産開始 「海苔弁いちのや」運営、むらせHD子会社化から2年
高級海苔弁「海苔弁いちのや」を展開していた(株)いちのや(東京都中央区)が、9月30日に東京地裁から破産手続き開始決定を受けた。
同社は8月4日までに事業を停止し、事後処理を弁護士へ一任していた。JC-NETでも8月6日に事業停止を報じており、今回、法的整理が破産開始決定まで進んだことになる。負債総額は現在確認できていない。
破産管財人には川畑和彦弁護士が選任されており、債権届出期間は10月28日まで。
「海苔弁いちのや」を展開、2024年には19店舗
同社は2021年5月設立。法人設立時の商号は「株式会社本塁打」で、2025年9月に現在の「株式会社いちのや」へ商号を変更している。法人番号は8010001218327。
「海苔弁いちのや」の事業自体は2020年7月にスタート。靖国神社近くの店舗を起点に、高価格帯の海苔弁専門店として店舗展開を進め、百貨店での販売や催事、ロケ弁などにも販路を広げた。
2024年には「第1回 日本ロケ弁大賞」で名物海苔弁が金賞を受賞。公式サイトでは同年、東京都内を中心に19店舗を展開するとしており、知名度を高めながら店舗網を拡大していた。
| 企業名 | 株式会社いちのや |
|---|---|
| 所在地 | 東京都中央区 |
| 法人番号 | 8010001218327 |
| 旧商号 | 株式会社本塁打 |
| 事業内容 | 食品の製造販売、飲食店運営、フランチャイズ展開 |
| 主力ブランド | 海苔弁いちのや |
| 手続き | 破産手続き開始決定 |
| 開始決定日 | 2026年9月30日 |
| 負債総額 | 確認できず |
むらせHDが完全子会社化、その後も出店を継続
大きな転機となったのが2024年9月。米穀卸などを展開する(株)むらせホールディングスが、当時の(株)本塁打の全株式を取得し、完全子会社化した。
子会社化後も「海苔弁いちのや」は出店を続けた。2025年2月にはアトレ吉祥寺店、アトレ大森店を相次いで開業するなど、店舗網の拡大を進めていた。
一方、原材料価格の上昇も表面化していた。2025年3月には、主要原料の急激な値上がりなどを理由として価格を改定し、看板商品の「名物 海苔弁」は税込1,480円となった。
2026年に店舗整理、8月に事業停止
拡大路線から一転し、2026年に入ると店舗整理が目立つようになった。1月28日に新宿甲州街道店、同30日にアトレ大森店とアトレ吉祥寺店が営業を終了。アトレの2店舗は開業から約1年での閉店となった。
その後も経営改善には至らず、一部直営店は7月31日までに閉店。8月4日までに事業を停止し、事後処理を弁護士へ一任した。
事業停止時には、原材料費や人件費の上昇に加え、積極的な出店に伴う費用負担などが収益や資金繰りを圧迫したとされていた。むらせホールディングスによる完全子会社化から約2年で、破産手続き開始決定に至ったことになる。
「海苔弁いちのや」ブランドは一部店舗で営業継続
注意が必要なのは、今回破産開始決定を受けた(株)いちのやと、「海苔弁いちのや」のブランド名を掲げるすべての店舗が同一の営業主体ではない点だ。
事業停止後も、一部のフランチャイズ・加盟店系店舗では「海苔弁いちのや」の営業が確認されている。このため、今回の破産をもってブランド全体が営業終了したものではない。
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