【神奈川】中小企業8社が103億円再投資 東邦製作所28.9億円、PXP26.6億円など工場新設
神奈川県は2026年10月29日、企業誘致施策「セレクト神奈川NEXT」により、企業9社の立地計画を認定したと発表した。このうち県内再投資に該当する中小企業8社の投資総額は103億1,500万円に上る。
最大の投資案件は横浜市戸塚区に工場を新設する東邦製作所の28億9,000万円。次いで、相模原市南区で次世代型太陽電池の量産工場を整備するPXPの26億6,400万円、大久保歯車工業の16億4,500万円、三和エレクトロニクスの16億3,900万円となっている。
8社による県内再投資とは別に、ITサービス関連のハイシンクジャパンが川崎市幸区に本社を新設する計画も認定された。県内の製造業を中心とする設備投資に加え、県外企業の進出も予定されている。
県が認定した県内再投資8社の計画は、工場、本社、研究所の新設に分かれる。工場の新設を含む計画は6社で、このうち2社は本社機能も併設する。
企業別の投資額と稼働開始予定は次のとおり。
※神奈川県の認定事業計画資料から作成。金額は各社の計画投資額。ハイシンクジャパンの県内初進出計画は含まない。
最大の投資案件となる東邦製作所は、横浜市戸塚区の戸塚工業団地内に工場を新設する。投資額は28億9,000万円で、2028年8月の稼働開始を予定している。
同社は大型金属部品の製造・販売を手がけ、石油輸送などで使用されるマリンホース用口金具などを製造している。
今回の計画では製造スペースを拡大し、工程の効率化と生産能力の増強を進める。県の認定資料では、操業開始時の常用雇用人数を12人、非常用雇用人数を2人としている。
次世代型太陽電池を開発するPXPは、相模原市南区にマザー工場を新設する。投資額は26億6,400万円で、2027年5月の稼働開始を予定している。
新工場では、次世代型カルコパイライト太陽電池の量産技術開発と製造を行う。量産技術の確立と商用化を進め、収益基盤の拡大を目指す。
同社も10月29日、神奈川県の立地支援事業に認定されたと発表した。県から約1億6,000万円の支援を受ける予定で、工場では外装・内装の改修が進められている。今後、周辺設備を整備し、量産装置を順次搬入する計画という。
同社は原材料や量産設備の調達などで県内企業との連携を強化する方針も示している。
大久保歯車工業は、厚木市の内陸工業団地内に本社を新設する。投資額は16億4,500万円で、2027年8月の稼働開始を予定している。
同社は建設機械、農業機械、工作機械、大型車両などに使われる歯車や動力伝達装置の開発・製造を手がけている。新本社では老朽化した建物設備を更新し、分散している機能を集約することで、生産効率と能力の向上を図る。
三和エレクトロニクスは、川崎市高津区の民間賃貸施設内に本社と工場を新設する。投資額は16億3,900万円、稼働開始は2028年9月を予定している。
同社は航空管制、電波通信、超音波応用、宇宙通信機器などの開発・製造を手がける。新拠点では分散している製造機能を集約し、製造スペースを拡張する計画となっている。
新精機工業は、横浜市都筑区に歯科用サクションシステムや空気浄化装置などを開発する研究所を新設する。投資額は5億1,600万円。製品の企画、設計、試作、評価試験などの工程を集約し、生産性向上と安定供給体制の確立を図る。
オースズは横浜市港北区で、賃借中の本社工場を購入して新たな拠点とする。投資額は4億3,500万円。ノートパソコンなどに使われる角度調整機構部品「トルクヒンジ」を中心とした精密機構部品を製造し、生産可能面積を拡大する。
日下レアメタル研究所は藤沢市に工場を新設する。投資額は2億7,100万円で、リチウムイオン電池や燃料電池向けの複合酸化物粉末の受託製造に対応する。製造設備を増強し、新たな顧客開拓と受注拡大を図る。
三陽製作所は横浜市金沢区の金沢産業団地内に工場を新設する。投資額は2億5,500万円。高速鉄道や特殊車両などの部品製造に使用される金型の生産能力を増強する計画となっている。
今回認定された9社のうち、県外からの新規進出はハイシンクジャパンの1社となる。
同社はソフトウェア開発やITサービスを手がけ、川崎市幸区の複合オフィスビル「ソリッドスクエア」内に本社を新設する計画。2027年4月の稼働開始を予定している。
県の認定資料によると、オフィス面積を拡大して社員の増員や社内開発プロジェクトの強化を図る。操業開始時の雇用人数は757人を予定している。
同社については、工場などへの設備投資を支援する企業立地支援事業ではなく、賃料の一部を補助する企業誘致促進賃料補助事業の認定となっている。
神奈川県の「セレクト神奈川NEXT」は、県内経済の活性化と雇用創出を目的に、企業の新規立地や再投資を支援する制度。
主な支援策の企業立地促進補助金では、一定の要件を満たす中小企業に対し、土地・建物・設備への対象投資額の6%を上限5億円の範囲で補助する。このほか、不動産取得税の2分の1軽減や、企業立地促進融資なども設けられている。
今回の認定8社でも企業立地促進補助金を活用する予定で、個別企業によって税制措置や融資制度を組み合わせる計画となっている。
県内では、次世代太陽電池、電子機器、医療関連機器、精密金属加工などの分野で新たな設備投資が進むことになる。一方、認定された103億1,500万円は設備投資計画の合計額であり、建設工事費だけを示すものではない。
各社の稼働開始予定は2027年から2028年にかけて分散しており、今後の施設整備や設備導入の進展が注目される。
※記事中の投資額、立地場所、稼働予定時期は神奈川県の認定事業計画資料に基づく。各計画は今後変更される場合がある。
中小企業8社が103億1,500万円を再投資 企業別の投資額一覧
企業名
投資額
立地場所・内容
稼働予定
東邦製作所
28億9,000万円
横浜市戸塚区・工場
2028年8月
PXP
26億6,400万円
相模原市南区・工場
2027年5月
大久保歯車工業
16億4,500万円
厚木市・本社
2027年8月
三和エレクトロニクス
16億3,900万円
川崎市高津区・本社、工場
2028年9月
新精機工業
5億1,600万円
横浜市都筑区・研究所
2027年10月
オースズ
4億3,500万円
横浜市港北区・本社、工場
2028年9月
日下レアメタル研究所
2億7,100万円
藤沢市・工場
2027年7月
三陽製作所
2億5,500万円
横浜市金沢区・工場
2028年1月
合計(8社)
103億1,500万円
県内再投資計画
東邦製作所が28.9億円投資 横浜市にマリンホース用金具の新工場
PXPは26.6億円投資 次世代型太陽電池の量産工場を相模原市に新設
大久保歯車工業と三和エレクトロニクスも16億円超の設備投資
横浜では医療機器研究所や精密部品工場、藤沢では電池材料の製造設備を整備
ハイシンクジャパンは川崎市に初進出 2027年4月稼働予定
県は設備投資額の6%を補助 不動産取得税の軽減や融資制度も
神奈川県(2026年10月29日)
企業誘致施策「セレクト神奈川NEXT」により合計103億円の立地計画を認定
認定企業及び事業計画の内容(PDF)
「セレクト神奈川NEXT」の支援制度概要(PDF)
PXP・次世代型太陽電池工場の認定について





