【高知】209億円の新県民体育館、日建設計CM・上田建築事務所JVが9636万円で受託 3者競争で17点差、審査内容が判明
高知県が進める新県民体育館整備事業で、建設プロジェクトの工程やコストを管理するコンストラクション・マネジメント(CM)業務を、日建設計CM・上田建築事務所共同企業体が9,636万円で受託した。契約日は2026年10月9日で、委託期間は2028年9月30日まで。
県が公表した公募型プロポーザルの審査結果報告書によると、審査には3者が参加。500点満点の総合評価で、同共同企業体が430点を獲得し、413点の次点者を17点差で上回った。3位は382点だった。
今回の選定では、建設工事の施工者確保や経費見積で次点者の方が高い評価を受けた一方、受注した共同企業体は発注者への支援体制やリスク対応策で得点を伸ばした。
審査は3者で実施、発注者支援で18点差
審査委員会は9月17日に開催され、5人の委員が各100点、合計500点満点で評価した。主な審査結果は次のとおり。
| 審査項目 | 配点 | 受注JV | 次点A社 |
|---|---|---|---|
| 発注者支援 | 75 | 72 | 54 |
| 品質管理 | 50 | 44 | 40 |
| コスト管理 | 125 | 107 | 103 |
| 工程管理 | 75 | 69 | 64 |
| 施工者確保 | 75 | 59 | 69 |
| 業務実施体制 | 50 | 44 | 43 |
| 地理的条件 | 25 | 15 | 15 |
| 経費見積 | 25 | 20 | 25 |
| 合計 | 500 | 430 | 413 |
受注JVが次点者に対して最も大きな得点差をつけたのは「発注者支援」で、75点満点中72点を獲得。次点者の54点を18点上回った。一方、施工者確保では10点、経費見積では5点、それぞれ次点者が上回った。
審査委員会は、受注JVが想定される事業リスクへの具体的な対応を提示したことを評価。基本・実施設計の受託者が決まる前の期間を活用する「Phase0」の取り組みや、建設費が予算を超過する場合の対応策も評価理由に挙げた。
また、プールとサブアリーナの先行完成を検討し、建設費だけでなく、施設の休館に伴う影響や維持管理費を含めて比較する提案も評価された。
施工者確保と見積では次点者が上回る
次点となったA社は、施工者確保で75点満点中69点を獲得し、受注JVの59点を上回った。経費見積も25点満点を獲得している。
審査委員会は、A社が提案した工程の前倒しや、施工者を確保するための2段階のサウンディング調査を評価した。ただし、提案内容や質疑への回答について具体性が不足していたと講評している。
3位のB社は、事業リスクを数値化して管理する提案が評価された一方、県内事業者の活用について、共同企業体ではなく協力会社としての参加を計画していた点が講評で言及された。
審査結果では、受注JVとA社がともに地理的条件で15点、B社は0点となっている。ただし、公表資料だけでは地理的条件の個別採点理由までは明らかになっていない。
日建グループと上田建築事務所、高知市新庁舎でも協業
日建設計CMは、東京都港区に本拠を置く日建設計コンストラクション・マネジメント株式会社で、2005年に設立された。建設事業の計画、設計、発注、施工などの各段階で発注者を支援する業務を展開している。
共同企業体の構成員である上田建築事務所は、高知市を拠点とする建築設計事務所。高知県内の公共建築などに設計実績を持つ。
両社に関連する過去の事業として、高知市役所新庁舎がある。同庁舎は2020年に竣工し、日建グループの株式会社日建設計と上田建築事務所の共同企業体が設計を担当した。
ただし、過去の設計JVの構成員は日建設計であり、今回のCM業務を受託した日建設計CMとは別法人。今回の契約は、過去の設計JVと同一の共同企業体による受注ではない。
総整備費約209億円、建設費の管理が課題
高知県が2026年6月に策定した新県民体育館整備等基本計画では、施設整備費を約208億9,000万円と試算している。県は既存施設の老朽化への対応に加え、武道館などの機能を集約し、スポーツ大会やコンサート、展示会などにも利用できる施設を目指す。
県は2028年度の着工、2031年度半ばの供用開始を目標としている。物価上昇などによる建設費の変動も想定されており、事業費をどう管理するかが重要になる。
今回の9,636万円は建設工事費ではなく、発注者を支援するCM業務の委託額。基本・実施設計や施工工事は別の契約となる。
県は公募型プロポーザルで事業者を選定したため、地方自治法施行令に基づく随意契約を締結した。審査は3者による競争で実施され、得点と講評も公表している。
今後は基本・実施設計の進展に伴い、総事業費の精査、建設費の上振れへの対応、施工者の確保、県内事業者の参画などが焦点となる。





