【東京】MOYAIが破産 売上15.5億円から3.5億円、東京モノレール全車両にAIカメラ 破産約6週間前まで西武線で新展開
AIカメラやIoT機器を開発する(株)MOYAI(東京都港区)が9月28日、東京地裁へ破産を申請し、同日、破産手続開始決定を受けた。
負債総額は債権者約100名に対して約10億円。
同社は鉄道車両向けのAIカメラ「IoTube(アイオーチューブ)」を主力に事業を拡大し、大手企業から相次いで出資を受けていた。2024年10月期には売上高15億円を超えたが、翌期には約3億5800万円まで急減。一方、破産申請の約6週間前まで西武線沿線で新たなデジタルメディア事業を展開していた。
| 法人名 | 株式会社MOYAI |
|---|---|
| 所在地 | 東京都港区 |
| 法人番号 | 3010001196214 |
| 設立 | 2018年11月 |
| 資本金 | 4億415万5000円 |
| 主な事業 | AI・IoT機器、ネットワークカメラ、デジタルメディア事業 |
| 破産申請・開始決定 | 2026年9月28日 |
| 負債 | 約10億円 |
鉄道向けAIカメラ「IoTube」で成長
MOYAIの主力製品「IoTube」は、LED照明とカメラ、通信機能、各種センサーを一体化したIoTデバイス。既存の照明設備を活用して設置でき、車内映像のリアルタイム確認や録画、AIによる解析などに対応する。
同社によると、2020年には鉄道会社向けに初期モデル1万台を納品。その後も首都圏を中心に鉄道各社への導入を拡大した。
2025年3月には東京モノレールが全車両への防犯カメラシステム導入を発表し、MOYAIのIoTubeとリアルタイム映像・音声確認システムが採用された。
大手各社から資金調達、上場を見据え組織拡大
事業拡大に伴い、外部企業からの資金調達も相次いだ。
2024年にはUbicomホールディングス、識学系ファンド、JA三井リース、エアトリなどから資金を調達し、あいおいニッセイ同和損保とも資本業務提携。2025年6月には西武ホールディングス傘下のブルーインキュベーションとも資本業務提携を結んだ。
企業公式サイトでは、これら企業のほか伊藤忠テクノソリューションズなども主要株主として掲載されている。
2026年4月に掲載された経営者インタビューでは、上場を目標として組織を拡張した一方、従業員を増やした後に売上が落ち込んだ経験について会社側が説明していた。
売上15.5億円から3.5億円へ急減
2024年10月期の売上高は15億5619万円まで拡大したものの、最終損益は1億6683万円の赤字となった。
東京商工リサーチの調査では、棚卸資産評価損の発生に加え、固定費の増加や取引先への納品遅れなどが経営を圧迫したとされる。
2025年10月期の売上高は約3億5800万円にとどまり、前期から約77%減少。最終赤字は7億353万円まで拡大し、債務超過に陥っていた。
急速に拡大してきた売上規模が大きく縮小する一方、赤字幅はさらに拡大し、資金繰りも限界に達した。
破産約6週間前まで西武線30駅で新展開
財務面が悪化する一方で、MOYAIは新規事業への展開を続けていた。
2025年6月の投資家向け資料では、自動販売機の上部空間を活用したデジタルサイネージ「INFODIA STAND」を同年8月から事業化し、5年間で3000台まで拡大する計画を掲げていた。
同年7月には西武グループと駅構内で実証実験を開始。AIカメラや通信機能などを組み合わせ、広告だけでなく災害情報や地域情報などを配信する新たなメディア事業として展開を進めた。
さらに2026年8月17日には、西武線沿線30駅に設置した約60台のINFODIA STANDを使い、埼玉西武ライオンズの栗山巧選手の引退企画を展開すると発表している。
これは破産申請の約6週間前にあたり、外部向けには新規事業の展開が続いていた。その一方で、財務面では売上の急減と赤字拡大が進んでおり、9月28日の破産申請・開始決定に至った。
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