【山形】1855年創業「漬物の梨屋」が10月31日閉店 庄内の在来野菜不足、171年の歴史に幕
山形県酒田市で漬物の製造・販売を手がける老舗「漬物の梨屋」が、2026年10月31日をもって店舗を閉店する。江戸時代末期の1855年(安政2年)に創業し、171年にわたって庄内地方の伝統野菜を使った漬物を提供してきた。
閉店の背景には、原料となる在来野菜の生産農家の減少や高齢化、天候不順による不作などがある。経営者は地域情報媒体の取材に対し、民田茄子などの原材料が確保しにくくなっていることに加え、重い漬物樽を扱う作業が身体的な負担となっていることを明らかにしている。
民田茄子などの原料調達難 50~60kgの漬物樽も負担に
梨屋は、庄内地方に伝わる民田茄子や温海かぶなど、地域特産の在来野菜を使った漬物を主力商品としてきた。原料の下漬けから手作業による製造を続け、奈良漬や庄内小茄子漬、赤かぶ漬などを販売していた。
しかし、近年は生産農家の減少や高齢化が進み、原料野菜の確保が難しくなっていた。経営者が地域情報媒体の直接取材で説明したところでは、気象条件による不作も重なり、民田茄子などの在来野菜が入手できないことや、確保できても価格が高くなっていることが閉店の大きな理由となった。
さらに、漬物製造に使う樽は50~60kgに達するものもあり、経営者自身の高齢化によって運搬作業が難しくなっていたという。原材料の調達問題だけでなく、長年続けてきた手作業による製造を維持することも負担となっていた。
在来野菜の供給状況と漬物製造の担い手の問題が、老舗店舗の営業終了につながった事例といえる。ただし、今回の閉店理由を山形県内の漬物業者全体に当てはめることはできない。
1855年に酒田で創業 酒粕を使った奈良漬から発展
漬物の梨屋は1855年、現在の酒田市中町に当たる寺町で創業した。酒田の酒蔵から出る酒粕を使った奈良漬を起点に、庄内地方の農産物を生かした漬物づくりを続けてきた。
その後、民田茄子を使った小茄子漬や、温海かぶを使った赤かぶ漬、山形青菜の漬物など商品を広げ、地元住民だけでなく観光客向けの土産品や贈答品としても展開。鮭とイクラを酒粕で漬けた「最上川漬」など、野菜以外の粕漬商品も取り扱っていた。
同店は2025年に創業170周年を迎え、同年3月には記念キャンペーンを実施。温海かぶや山形青菜を使った商品の割引販売を行うなど、節目の年を迎えていた。
しかし、翌2026年には商品構成の縮小が進み、7月13日に「庄内小茄子からし漬」、9月4日に「切大根」、9月21日に「最上川漬」の終売を公式サイトで案内。9月24日には閉店セールを告知していた。
10月31日で営業終了 長年の店舗販売に幕
酒田市中心部の中町にある店舗では、閉店に向けて在庫商品の販売が続けられ、10月25日からは最終処分セールが行われている。10月31日を最終営業日として、171年続いた老舗漬物店の営業に幕を下ろす予定だ。
運営会社は株式会社梨屋で、山形県漬物協同組合の会員企業としても登録されている。店舗の閉店は確認されているものの、法人の解散や破産などの法的手続きが行われたという情報は確認できていない。
また、閉店後の事業・ブランドの取り扱いや、公式ネットショップの継続についても確認できておらず、店舗の営業終了と法人全体の事業停止は区別する必要がある。
運営会社・店舗概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 店舗名 | 漬物の梨屋 |
| 運営法人 | 株式会社梨屋 |
| 法人番号 | 8390001006470 |
| 所在地 | 山形県酒田市 |
| 創業 | 1855年(安政2年) |
| 事業内容 | 漬物の製造・販売 |
| 主な商品 | 奈良漬、庄内小茄子漬、赤かぶ漬、山形青菜漬など |
| 閉店予定日 | 2026年10月31日 |
※2026年10月29日時点の確認情報。創業年は店舗の歴史を示しており、現在の法人の設立年月日とは異なる。閉店は店舗の営業終了を指し、法人の破産・解散を意味しない。





