ウクライナ東部の親ロシア派「マロロシア」として独立宣言
ウクライナ東部の親ロシア派武装勢力は7月18日、現在のウクライナに取って代わり「マロロシア(小ロシア)」という名称の「国家」を樹立すると一方的に宣言した。 ウクライナは、帝政ロシア時代に小ロシアと呼ばれていた。
インタファクス通信によると、ウクライナ東部の親ロ派「ドネツク人民共和国」の幹部は「地域の代表がウクライナの後継国として、新たな国家を樹立することに合意した」と主張している。
現在のウクライナは「破綻している」とした上で、「平和と安定をもたらすことはできない」と決め付けた。
親ロシア派は、ウクライナ東部しか実効支配してないが、国全域を対象とした「新国家」を樹立するとしている。
また、「新国家」に向けて「憲法」に関する住民投票を行い、「首都」は東部のドネツク市に置く方針という。
以上、
2004年の大統領選挙の不正に端を発したオレンジ革命の旗手ティモシェンコは、ロシアからの独立派のユシチェンコ大統領時代に首相となったが、成り上がりの大資産家(ガスエネルギーの女王)でもあり、首相当時、不正蓄財が露見、大統領権限の縮小法案を作成し大統領派とも対立して失脚した。
ウクライナをNATO陣営に引き込もうとした欧米が欲得多感なティモシェンコに肩入れ過ぎて失敗し、その次の大統領選挙で親ロシア派を誕生させてしまった。
その後もティモシェンコは政治に登場するものの、国民の支持は得られず、失脚したままとなっている。
その後、そうした不正を嫌ったウクライナ国民は、親ロシア派のヤヌコーヴィチ大統領政権を誕生させた。しかし、そのヤヌコーヴィチも国民無視の豪遊により、2014年2月のクーデターにより失脚した。
そのクーデターはロシアのプーチンの自由が効かないソチオリンピック開催中に実行され、無血で成功させた。米CIAが深く関与していた。
しかし、その後、親ロシア派による内乱により、クリミア半島(ロシア民族が多数派)をロシア軍が実効支配(ロシアはロシア領に編入)し、ウクライナ東部の親ロシア地域(ロシア民族が多数派)も、実質ロシア兵(ロシア兵の義勇兵)が参戦し、ウクライナ軍を追い払い、現在でも親ロシア派が実効支配している。
米オバマ大統領はCIAをクーデターに関与させたものの、クーデターに対するロシア軍によるクリミア半島占領、東部での戦闘激化に、軍事的な圧力を行使せず、兵器もそれなりの兵器しか供与せず、ウクライナ軍は東部の反乱を鎮圧することもできなかった。
米オバマ大統領はロシアに対して強力な経済制裁を実行し、今日に至っているが、ウラライナの停戦合意では、米国は相手にされず、独メルケル、仏オラント主導でロシアおよび当事者が一堂に会して合意に至った。
オバマ時代の米国は、ウクライナを再度自由主義陣営に引き入れたものの、その後のウクライナの混乱では何の力も発揮できず、蚊帳の外に置かれた。
米国とロシアの対立は、このウクライナ問題から始まっている。この間、経済的に力を持った中国が、漁夫の利を得て、ロシアとの関係を強化、今では米国は、中露と対立する構図になっている(中露はそれまで領土問題などで対立する部分があった)。
今やAIIB、一帯一路戦略などにより、世界を主導しているのは中国・習となっている。それはロシアを完全に味方につけたことも背景にある。
それに比べ、米トランプは、世界の嫌われ者になっている。
保護主義、米国第一主義に嵌り、各国と締結している自由貿易協定の見直しや破棄を目論むなど、嫌われ者になっている。
また、軍事同盟のNATO同盟国間でも、銭を出せ・さもなくば攻撃されても米軍は出さないと迫り、同盟国間に大きな亀裂を生じさせている。
トランプは、NATO問題およびパリ環境協定からの米離脱により独メルケルから嫌われ、仏大統領選挙では、国民戦線のルペンを支持、大勝したマクロン大統領が、先般の仏訪問では話し相手になったが、マクロンにとって余裕から出た単なるポーズに過ぎない。
イギリスのテロ事件で、ムスリムのロンドン市長を直接批判したことからイギリス国民からも嫌われ、今年訪問予定を来年に変更すると報道されている。
トランプでなくとも米国は、ロシアとの関係を修復させる必要性がある。
トランプはロシアとの関係を修復させようとしたが、ロシアゲート事件に遭遇し、手足をもがれ、今では中国に傾注している。しかし、北朝鮮問題で見られるように、その中国習からトランプは完全に弄ばれているのが実情。
今回のウクライナの東部独立宣言は、ウクライナ全域を対象としており、ロシアが米国に仕掛けた網かもしれない。
ウクライナは、クーデターとその後の内乱で経済は低迷、主力の鉄鋼産業も価格低迷、国家財政も軍事費に実質破綻状況、欧米やIMFの支援なくして、財政的に成立しない状況となっている。しかし、停戦合意を逸脱した独立宣言を認めるわけにはいかず、再びきな臭くなる可能性が高い。
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