アイコン ISバクダディ自爆死  トランプとシリア情勢・クルド民族・トルコ

 

 

トランプ米大統領は27日、米軍がシリア北西部で過激派組織「イスラム国」の最高指導者であるバグダディ容疑者を標的にした軍事作戦を実施したと発表し、米軍に追い詰められたバグダディ容疑者は逃げ込んだトンネルの中で3人の子どもと一緒に現場で自爆したという。
また、米軍は「イスラム国」の作戦計画、組織に関する情報を入手したという。
以上、
情報は所詮、金次第。

ところで、シリアやイラクの戦線でISを追い詰め、シリアで崩壊させたクルド民族、イラン北部からイラク~シリアからトルコに居住する3~4千万人ともされる世界最大の国家を持たない民族として知られる。
これは欧州の列強諸国が、中東各国が独立するに当たり、欧州諸国の利害から、国境の線引きにおいて、独立させなかった列強のエゴによる政策の悲劇にある。

そして今、クルド族は、米トランプ政権からIS退治お役御免とされ、もとから居住していたシリア北部から追い出され、1000キロあまり離れた砂漠地帯、それもアラブ人たちが支配する地へ移住するように命じられている。
これは、シリアに進駐したトルコは、クルド人たちやアラブ人たちを追い出し、一帯を解放区にして勢力化に置いている。そこにトルコに避難している350万人ともされるシリア難民を強制的に移住させる計画であり、米トランプ政権がその計画を了承したことにある。

トルコは、米国の了承に基づき欧州に承認するように求めたが、欧州からは断られている。
クルド族は元々米オバマCIA政権が仕掛けたアラブの春以前から、シリアで居住、それを米国から追い出されるとは微塵も思っていなかったと見られる。

そうした米国に愛想つかし、クルド族はシリア政府と手を結んだ。シリア政府としては、まだ国内に反政府軍事勢力が活動しており、イスラエルからも攻撃されており、軍事力は目いっぱい。
トルコに軍事面で直接対峙することはできず、今ではシリアばかりかトルコにも関係しているロシアの動きが注目される。トランプとプーチンは元々近く、裏取引をしている可能性もある。

しかし、肝心なシリア政府は、トルコへの避難民に対して、反政府勢力の民主革命軍がまぎれている可能性も高く、すんなり受け入れられる状況にはなく、クルド人たちも居住区を失うことになり、抵抗すると見られ、シリアへ送り返される避難民たちと、紛争状態に突入する可能性も高い。

安定してきたイラクからの避難民たちを、イラクに送還する動きもないまま、トルコや欧州諸国で抱えているイラク・シリア難民たちであり、まずは政治的に安定しているイラクへ送還させるべきだろう。
シリアも国が安定すれば、シリア人の避難民たちの強制帰国を受け入れることになろう。
トルコが抱えるシリア・イラクの避難民たちは、欧州が金銭的に面倒を見ている。今日の状況下、送り返せば、シリア政府は産業もなく、政治的にも財政的にも行き詰まることから、許容しないものと見られる。シリア政府からしてみれば、民主革命軍とシリア政府との戦いの中で、逃げ出した国民との見方もできる。

IS(スンニ派の原理主義)が活動拠点をイラクからシリアへ拡大させ、三つ巴の内戦状態に突入していたのがシリアであった。当然、戦争状態から大量の難民がトルコや地中海経由で欧州へ逃れた。

共和党のブッシュ政権が2003年に仕掛けたイラク攻撃、米民主党オバマ政権は2010年までに米軍15万人を撤退させた。撤退するに当たり、武器弾薬をイラク軍にそのまま提供した。
イラク第2都市モスルにISが進行、現地のイラク軍はそのまま霧散霧消して崩壊、モスルにあった膨大な兵器や弾薬がISに渡ってしまったことに、ISがイラクやシリアに勢力を拡大する大きな原因となった。
米国はそうしたISに対して、米アラバマ州の基地から、無人機に対して指令を出し、空爆を続け、サウジアラビアが主導するアラブ連合軍も続き、シリアに侵攻したISに対して大空襲。また、シリアと関係の深いロシアも参戦してISに対して空爆し続けた。
ISのイラク拠点モスルには、米オバマ政権が裏取引してイラン軍(革命防衛隊)を参戦させ、米軍も空爆で支援した長期戦で陥落させ、ISの勢いは完全に止まった。やっとのことで、IS支配地の奪回に、これまで成功させてきた。

(これは宗教を理解できなかった米国=オバマの問題でもある。シリア西部はスンニ派が多く、イラン寄りの東部はシーア派が多く、全体ではシーア派が多いのがイラク。米国から攻撃され処刑されたフセインはスンニ派で、力でシーア派を抑え込んでいた。当然、軍事面はスンニ派が握っていた。米軍は撤退時に、多数派のシーア派に政権を握らせ、シーア派のイランもそれを支援した。こうしたことから不満のスンニ派の兵士たちが、ISに流れたことも一時IS支配地を急拡大させる大きな原因として上げられている。)

シリアでの三つ巴の戦いは、反政府勢力と政府軍の戦いとなり、シリア政府軍は元々友好関係にあったロシア(IS攻撃が目的)とイラン(レバノン・ヒズボラ含む)から軍隊を派遣させ、反政府勢力に対して劣勢を取り戻し、現在では圧倒的優位に展開している。

シリアの反政府組織には、米国の支援のほか、アラブ連合国が空爆で支援し、イスラエルも独自にシリアに対して空爆やミサイル攻撃で支援している。しかし、いずれも陸上戦は参戦しておらず、反政府勢力は支配地を次第に失っていった。

そのアラブ連合軍(スンニ派)は、その勢いをイスラムシーア派のフーシー派が支配している旧北イエメン地域に集中させ空爆を続け、フーシー派支配の港湾都市へ進駐、そうした流れの中で、サウジの石油精製施設へのドローン攻撃がなされ炎上した。

米トランプは、オバマ政権がクルド人に武器を与えてISを退治させたが、今では砂漠地帯への移住の犠牲を強いている。
イランにしても、オバマからモスル攻撃を依頼され、陥落させたものの、トランプ政権になり、イスラエルとの関係から、イランとの核合意を離脱し、強力な貿易制裁を行っている。

米国も政権が変われば、発展途上国並みに軍事力を伴う国際政治の政策も変わり、米国との同盟国は日本を除き、付き合う国も限りなく少なくなっている。また、お友達の金正恩坊ちゃまも最近機嫌が悪くなってきている。
以上、

なお、クルド人の武装組織「シリア民主軍(SDF)」などは(2019年)10月27日までに、米軍の軍用車両約18台がイラク北部からシリアのルメイラン町に入ったことを確認した。イラクのクルディスタン地域政府(KRG)も米軍車両の越境を認めた。車列は今後、シリアのカミシリを通過し、シリア東部のデリゾール地方の油田地帯に向かうものと見られる。
米政権は、ISが油田施設を制圧するのを阻止し、拠点強化を図るため、米軍の機甲部隊をはじめ大型の車列17台を進駐させた。
ISが復活してきている話はあるが、何かの口実だろう。
 

[ 2019年10月28日 ]

 

 

 


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