アイコン 中国・奇点汽車 破産か 伊藤忠140億円出資 /出資金調達額3300億円


中国の電気自動車(EV)メーカー「安徽奇点智能新能源汽車」が多額の負債と資金ショートで経営破綻したことを受け、複数の債権者が裁判所に同社の破産審査を申請していることが分かった。同社は「奇点汽車(Singulato)」ブランドで事業展開してきた。

奇点汽車が誕生したのは「中国EV元年」と呼ばれる2014年で、蔚来汽車(NIO)や小鵬汽車(Xpeng Motors)などの有名EVメーカーも同年に設立されている。

創業者の沈海寅氏は、自動車製造の経験はなかったものの、連続起業家として成功した人物として知られる。 沈氏と日本のつながりは深く、日本で複数の会社を設立している。
2000年に設立した検索サービス「JWord」は、2004年にGMOインターネットに売却。
2005年には、中国のソフトウエア大手「金山軟件(Kingsoft)」との合弁でキングソフト設立。
その後、中国に帰国してネットワークセキュリティ大手「360」で副社長を務め、会社の知名度向上に貢献した。

 

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奇点汽車は2014年に設立され、これまでに11回の資金調達で計170億元(約3300億円) 余りを集め、2020年8月には評価額200億元(約4000億円)のユニコーン企業に上り詰めた。
米インテル傘下の投資部門「インテル・キャピタル(Intel Capital)」など約20社が出資に参加するなど、同社に対する期待は大きかった。とくに注目を集めたのは伊藤忠商事との関係で、同社は2018年に推定10億円を奇点汽車に出資したのに続き、19年には1億ドル(約140億円)近くを追加出資し、創業者の沈氏に次ぐ2番目の大株主となった。

当時は、奇点汽車が新規株式公開(IPO)を計画しているのではないかとも報じられた。また2019年4月には、トヨタが奇点汽車に電動化技術で提携することで合意し、さらに事業提携していた。

しかし、奇点汽車が最初のモデル「iS6」を発表したのは2016年、現在に至るまで同モデルは量産化されていない。小型EV-iC3を販売していたようだが詳細不明。

インテル・伊藤忠・トヨタの名が出ただけでも資本市場から資金は未曾有に集まったものと見られる。しかし、その後、業績に不透明感が広がり、新たに出資する企業もなく今回の事態に至ったようだ。

中国のEV市場は、購入補助金制度がなくなり、乱立の群雄割拠時代から、大手汽車に集約されてきている。
トップのBYDは国際戦略に乗り出しており、欧州へ工場進出計画を持ち、東南アジア・タイヘの工場進出を明らかにしている。
同社はEV用バッテリーメーカーとしても中国ではCATLに次ぐ2位であり、米国でも2014年からカルフォルニア州の工場でEVバス生産に着手、ロスやサンフランシスコ等同州の各市の市営バスに供給している。年季が入っており、バイデン政権も追い出すことはできないだろう。最近は米国にもEVバスメーカーが生産しているが、BYDが米国EVバス市場を席巻している。
タイでは小型SUV「ドルフィン」(410キロ)をタイ補助金もつき、280万円で購入できる。
日本勢が構築してきた東南アジア市場は、今後、中国企業に駆逐され淘汰されることになる。

中国では補助金がまだあった2019年までは、EVメーカーは70社以上設立され、EVを製造していたことから、補助金もなくなり、品質とその保証に責任を持つ大手に市場は集約され、現在でも中小メーカーは整理淘汰される時代に入っている。すでに多くが破綻としている。


 

[ 2023年7月18日 ]

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