再び半導体不足の危機 自動車業界震撼 ネクスペリア製半導体の輸出停止 中蘭戦争
オランダのカレマンス経済相は21日、中国の王文濤商務相と、オランダに本社を置く中国系半導体メーカー、ネクスペリアを巡る対立について協議したが、解決策は見いだせなかったという。
オランダ政府は9月30日、経済安全保障上のリスクを理由に、一時的に中国企業傘下のネクスペリアの経営権を掌握している。裁判所により財産保全命令が出され、製品の移動は認可制となる。実質支配者の張学政氏の役職や権限も凍結、期間は1年間としている。
オランダ政府は、オランダのネクスペリア社の親会社である中国の電子機器大手の聞泰科技(ウィングテック)が、重要技術を移転している可能性があるとして、オランダ政府が一時的にネクスペリアを管理下に置くと発表した。
これを受け、中国政府は同社の半導体をパッケージングした完成品の輸出を禁止した。
・・・これにより世界の自動車メーカー各社や家電メーカーなどは、製品輸入ができなくなり、在庫が尽きれば、生産ストップに陥る。
GMや米トヨタなど加盟している米自動車工業団体「AAI」は、ストック分は限られ、早ければ11月にも影響を受ける工場が出てくる可能性があると表明している。
オランダ政府が強行した場合、Nexperia Semiconductorを強制して第3者に売却させる可能性もある。
レアアース問題を抱えるトランプが虎視眈々と睨んでおり、オランダ政府は落としどころに苦戦するかもしれない。オランダの電子産業は中国のレアアースに支配されており、どっかで和解するしかないのが現実だろう。
2010年、日本がレアアースの規制を受けた時、米オバマ政権は何も動かなかったが、今回、両国関係がこじれ、中国がオランダに経済報復した場合、米トランプ政権はオランダのため動くのだろうか。
ネクスペリア製の半導体は、高度な製品とはみなされていないものの、自動車や家電などに広く使用され、中国で用途ごとにパッケージングされ、中国から各国の大手自動車メーカーの工場へ輸出されている。
中国側は、完成品の輸出を規制する形で対抗している。同社製半導体に依存する欧州や米国の自動車メーカーの間に懸念が広がっている。
カレマンス経済相は、全ての当事者に受け入れ可能な「解決に向けたさらなる措置」について協議したと述べた。
ただ、中国商務省は声明で、カレマンス経済相の要請で協議したと表明し、王商務相が「国家安全保障」という概念を拡大解釈することに反対すると伝えたことを明らかにした。
同省は「オランダ政府がネクスペリアに関して取った措置は、世界の産業とサプライチェーンの安定性に深刻な影響を与えている」とし、「中国はオランダ側に対し、世界の産業とサプライチェーンの安全と安定を維持するという全体的な観点から行動するよう強く求める」とした。
ドイツ自動車工業会(VDA)は21日、ネクスペリアを巡る中国とオランダの対立について、自動車生産に大きな混乱をもたらす恐れがあると警告した。「供給中断が短期間で解消されなければ生産停止に至る恐れもある」と述べた。
VWでは主力2車を1週間生産を停止すると発表したが、ネクスペリア問題ではないとしたものの、理由を生産調整としたものの年末商戦を控え違和感があり、具体的には明らかにしていない。
ネクスペリアを巡る対立は、米国の対中関税引き上げや、中国のレアアース(希土類)輸出規制などとあわせて、欧米韓日の自動車業界にとって供給網の新たなリスクとなっている。
以上、ロイター・ブルームバーグ、日経等多数参照
NexperiaセミコンダクターおよびNexperiaセミコンダクター・ホールディング(2社を総称してNexperia)は、聞泰科技の半導体部門の位置づけがなされている。
<格力電器と聞泰科技の関係>
格力電器(Gree Electric Appliances)は聞泰科技株を3,076万株保有、格力電器が関係する珠海融林(Zhuhai Ronglin)は7,893万株保有(2社計で13.22%)しており、今回の聞泰科技問題が経営に関係してくれば、株価は下がり、格力電器らの評価も下がってくる可能性がある。
すでに聞泰科技の株は下落している。
9月25日 48.20元
9月30日-10月10日 46.48元
10月16日 36.92元
10月22日 40.31元
2025年は7月までは30元台、8月から上昇して9月25日49.40元を付けていた。
格力電器(珠海格力电器股份有限公司)は、中国の大手家電メーカー。世界最大級の住宅家電メーカーで特にエアコン等住宅空調に強い。同社は半導体事業に進出するとしたものの、実態は聞泰科技の大株主になり、傘下のNexperia Semiconductorに間接出資することで関与を強める作戦のようだ。
<Nexperia Semiconductor社>
2006年8月、フィリップス社が半導体部門のフィリップス・セミコンダクターを投資家グループに売却、KASLION Acquisition B.V.の名称で法人化。
2010年5月、 社名を現在のNXPセミコンダクターズN.V.に変更
2016年10月、米クアルコムがNXP社を買収、
2018年7月、当買収を中国政府が独禁法で認めずクアルコムの買収失敗。
2016年、NXP社は、傘下企業のNexperia Semiconductorを中国の投資家グループに売却。
2018年10月、Nexperia Semiconductorを聞泰科技(拠点:西安市)が252億元で買収。
(聞泰科技は欧米にとってそれまで無名の企業、欧米の半導体企業を買収し、国内で半導体技術を蓄積し欧米と同等になることを計画していた中国政府がバックで資金を手当てしたものと見られる)
(米国では、聞泰科技のネクスペリア買収は、安全保障に絡んだ投資案件を審査する米政府機関の対米外国投資委員会(CFIUS)の承認事項、結果、トランプ1政権が承認していたようだ)
同社は分離・パワーチップのIDMメーカーであり、元フィリップス・セミコンダクターの標準製品事業部門だった。
本社はオランダ・ナイメーヘンに所在し、ドイツと英国にウェハー製造工場、中国東莞市・フィリピン・マレーシアに封裝テスト工場を有している。
2024年のNexperia Semiconductorの売上高は約147億元(1元20円)で、世界のパワー・ディスクリートデバイス収益ランキングで第3位に入っている。
<聞泰科技>
聞泰科技(ウィングテック)は中国を拠点とする、AI、IoT、スマートフォン、タブレット、スマートデバイス、ノートPC、自動車用電子機器などの開発・生産を手がけるODM(Original Design Manufacturer/委託者のブランドで製品を設計・製造)の大手企業。
設計から開発、部品調達、製造まで一貫したサービスを提供し、多くのブランドメーカーを支えている。
聞泰科技は2006年に中興通訊(ZTE)の元幹部が設立したEMSの鴻海のようなODMメーカー。
なお、クアルコムがNXP社を買収するにあたり、Nexperia SemiconductorをNXP社に切り離させた可能性もある。
Nexperia Semiconductorを2016年に中国の投資家グループが購入した際にすでに中国政府が資金面で絡んでいた可能性が高い。
以上、





