アイコン ワーナーが「パラマウント案拒否」を株主に要請した本当の理由


――米メディア再編、焦点は「価格」ではなく「成立確率」

米メディア大手のワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)が、パラマウント・グローバルスカイダンス・メディアによる買収提案を「不十分」と断じ、株主に対し応じないよう要請した。表面的には買収価格の比較に見えるが、実際の争点は取引の成立確率と財務リスクにある。

 

■ 最大の懸念は「史上最大級LBO」という構造

パラマウント陣営は1株30ドルでの買収に加え、解約金の引き上げや、実業家のラリー・エリソン氏による約404億ドルの個人保証を提示した。しかしWBD取締役会は、500億ドル超の借り入れを伴うレバレッジド・バイアウト(LBO)になる点を最大のリスクとみている。

金利水準が高止まりする局面で、これほどの借入を前提とした買収は、
・資金調達条件の悪化
・買収後の利払い負担増
・コンテンツ投資余力の低下
といった問題を同時に抱え込む。WBDは「成立しない可能性そのものが高い」と異例の強い言葉で警告した。

 

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■ Netflix案は「価格」より「確実性」を評価

WBDが比較対象として挙げたのが、米動画配信最大手のNetflixとの合意済み取引だ。
同社は、仮に規制などで取引が成立しなかった場合でも、WBD側が解約金を受け取れる仕組みがある点を「確実性」として強調する。

一方、パラマウント案に乗り換えた場合、Netflix側への解約金支払いなど確定的なコストが先行する可能性がある。取締役会の論理は明快だ。「成功すれば得だが、失敗すれば損失だけが残る」取引を、株主価値の最大化とは認めないという判断である。

 

■ メディア再編は「誰が高く買うか」から「誰が耐えられるか」へ

今回の対立は、米メディア業界の再編局面が新たな段階に入ったことを示している。
かつては「いくらで買うか」が最大の争点だったが、現在は
①資本コストに耐えられるか
②長期のコンテンツ投資を続けられるか
③規制・市場変動を乗り切れるか
がより重視される。

その意味で、自己資本とキャッシュフローに余力を持つNetflix型の再編と、巨額の借入に依存するLBO型再編とでは、市場の評価が大きく分かれている。

 

■ 今後の焦点

今後は、
・パラマウント陣営が条件をどこまで上積みできるのか
・株主が「価格」と「確実性」のどちらを選ぶのか
が最大の注目点となる。

ワーナーの拒否要請は、防衛的な姿勢であると同時に、「無理な再編には与しない」という米メディア業界への強いメッセージとも言えそうだ。

 

[ 2026年1月 8日 ]
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