イオン純利益600〜700億円へ上方修正 ツルハ子会社化で何が起きているのか
イオンは7日、2026年2月期の連結純利益予想を、従来の400億円から600〜700億円に引き上げると発表した。背景にあるのは、ドラッグストア大手のツルハホールディングスを連結子会社化することだ。
一見すると「本業が好調で利益が急増した」ようにも見えるが、今回の上方修正は通常の業績改善とは少し性格が異なる。
■ 利益押し上げの正体は「子会社化による会計効果」
イオンはツルハに対する株式公開買い付け(TOB)を6日に終了し、議決権比率を50.11%まで引き上げた。14日付でツルハはイオンの連結子会社となる。
この「連結子会社化」によって、イオンはこれまで段階的に取得してきたツルハ株の評価を見直す必要が生じる。その結果、帳簿上の差益が発生する可能性があり、これが純利益を大きく押し上げる要因となる。
会社側が利益予想を600〜700億円と幅を持たせて開示しているのは、この差益の金額を精査している途中だからだ。
■ 重要なのは「一過性の利益」である点
ここで注意したいのは、今回の利益増の多くが毎年続くタイプの収益ではないという点だ。
商品がよく売れた、コスト削減が進んだ、といった実力による増益ではなく、子会社化というタイミングで生じる会計上の利益が中心とみられる。そのため、数字のインパクトだけでイオンの収益力が急に高まったと判断するのは早計だ。
■ それでもツルハ子会社化の戦略的意味は大きい
もっとも、ツルハを連結子会社にした意義は小さくない。
ドラッグストアは、食品や日用品に加え、調剤薬局を通じて来店頻度が高い業態だ。イオンにとっては、
・食品スーパー
・総合スーパー
・ドラッグストア
を組み合わせた「生活インフラ型ビジネス」を強化できる。
今後は、仕入れや物流の共通化、プライベートブランド商品の拡充など、中長期的な収益改善余地が広がる可能性がある。
■ 50.11%という「薄い過半数」が示す今後の課題
一方で、議決権比率は50.11%と、ぎりぎりの過半数にとどまった。イオンは今後、市場から株式を追加取得する方針だが、ツルハは上場を維持したままの連結子会社となる。
このため、
・経営の独立性をどこまで尊重するのか
・グループ内取引の透明性をどう確保するのか
といった点が、投資家のチェックポイントになる。
■ 見るべきは「次の決算」
今回の上方修正は、ツルハ子会社化のインパクトを端的に示したものだ。ただし、市場が本当に注目するのは次の段階だろう。
一過性の会計効果が一巡した後、
「ドラッグ事業を取り込んだイオンが、安定的に稼げる体質に変われるのか」
ここが、今後の評価を左右するポイントとなりそうだ。





