粉ミルクに細胞増殖阻止毒素「セレウリド」混入 ダノン・ネスレ数十ヶ国で回収 中国製ARA油
ヨーロッパを中心に「粉ミルクの毒素混入」が問題になっている。
ロイター通信によると、ネスレやダノン、ラクタリスなどの大手メーカーが販売していた乳児用の粉ミルクに、吐き気や腹痛を引き起こす毒素「セレウリド」混入問題で大回収問題に発展。
これを受け、欧州食品安全機関(EFSA)は2月2日、乳児用粉ミルクに含まれるセレウリドの新たに最大許容値の基準値として、赤ちゃんの体重1キログラムあたり0.014マイクログラムを提案した。これを受け、フランスのポポテなど一部メーカーは製品の追加回収を開始している。
EFSAの新基準値に拘束力はないが、メーカーは遵守している。
なお、フランス農業省は、セレウリドが混入したアラキドン酸(ARA)油は、中国のカビオ・バイオテックが生産したものだと発表した。
★赤ちゃん死亡か
メーカー側は、毒素が混入した可能性のある粉ミルクを数十ヶ国で自主回収しているという。
フランスでは、因果関係は不明ながら、回収対象のミルクを飲んだとみられる乳児3人が死亡したとの報道もあり、保健当局がセレウリドの許容基準を厳格化する事態となっている。
一方、日本では1月、厚労省がヨーロッパで自主回収されている製品の輸入は確認されていないと発表した。
■セレウリドとは
新生児科医で小児科医の「ふらいと先生」こと今西洋介氏によると、「セレウリドは、セレウス菌の一部の株が産生する毒素。赤ちゃんだと症状が激しく出る。摂取後30分〜6時間程度で、吐き気や腹痛を訴え、救急外来に運ばれるケースがある。
かなり少量でも症状が出る。
大人でも症状は出るが、体が小さい子どもは、少しの毒素でも激烈に症状が出る」という。
加工食品業界で長年仕事し、食品の安全管理などに詳しいコンサルタントの川本浩二氏は、「粉ミルクの栄養成分に、アラキドン酸という油の一種が入っている。
ヨーロッパでは、DHAの粉ミルクへの添加が必須と定められ、DHAだけでは油脂のバランスが悪いため、アラキドン酸を入れている。
しかし、その製造工程に不備があり、今回セレウリドの毒素が産生されてしまったと報道されている」と説明している。
国による基準は、「日本ではDHAとアラキドン酸は、任意で入れる栄養素だが、ヨーロッパではDHAが必須だ」という。
「DHAとアラキドン酸を2対1などで調整して入れた方がいいと、ヨーロッパの小児科学会では言われている」という。
以上、アベマ、ロイター、ブルームバーグ等いろいろ
★アラキドン酸油(Arachidonic acid)。
欧州では乳児用粉ミルクの必須アイテムとしてDHA添加が定められている。しかし、DHAだけでは油脂バランスが悪いため、不飽和脂肪酸のアラキドン酸油を入れ、バランスを取っている。そのアラキドン酸油の製造工程において、セレウス菌が混入したものとみられている。
仏農業省の発表では当該アラキドン酸油の製造元は中国企業だという。
★セレウリド=Cereulide
セレウリドはセレウス菌の一部の系統が生産する毒素で、ミトコンドリアを破壊する「サイトトキシン」である。吐き気や嘔吐を引き起こす。
セレウリドはイオノフォアとして作用し、カリウムイオンに対する高い親和性を示す。
セレウリドへの曝露は、ミトコンドリアの膜電位の喪失とミトコンドリアでの酸化的リン酸化の脱共役を引き起こす。
吐き気と嘔吐は、セレウリドが「5-HT3受容体」に結合して活性化することで求心性の迷走神経の刺激が増加することで引き起こされると考えられている。
★セレウス菌(Bacillus cereus)は
Bacillus属に属するグラム陽性大桿菌で芽胞を有する好気性菌。100℃30分の加熱にも耐える芽胞の形で土壌や汚水など自然界に広く分布。酸性域では発育は悪い。野菜や穀物などの農産物を汚染して食中毒の原因となる。土壌や自然界に発胞状態で常在し、成人10%の腸にも菌として常在している。
★サイトトキシン(cytotoxin)=サイトカイン(Cytotoxicity)=細胞毒性
サイトカイン= cytokine(細胞毒性:)とは細胞機能停止、細胞に対して「死」、もしくは「機能障害」、「増殖阻害」の影響を与える物質や物理作用などの性質をいう。ただし、「細胞毒性」は外来物質による傷害の意味に用いる。
細胞毒性の要因としては、
細胞を形作る物質・構造の破壊、
細胞の生存に必須な活動(呼吸、基本的代謝、DNA複製、転写、翻訳等)の阻害、
細胞周期や細胞内シグナル伝達への影響など、
様々なものが考えられている。





