【第2話】「漁協長会というブラックボックス」--誰が同意を決めているのか。
海砂採取の許可を取るとき、必ず出てくる言葉がある。
「漁業関係者の同意」
ここまでは分かる。
海を使うのだから、漁業者の同意が必要なのは当然だ。
問題は、その次に出てくる組織だ。
……漁協長会?
これ、会社でもなければ、法人でもない。
法律に明確に出てくる組織でもない。
それなのに、壱岐沖の海砂採取ではなぜか、この“漁協長会”が同意のカギを握っている。
今回は、この正体不明の怪しい組織の話だ。
■ 漁協の上に、漁協長会?
普通に考えてみてほしい。
漁業権を持っているのは誰か。
答えは明確だ。
各漁業協同組合(単協)である。
つまり、本来同意権を持つのは、それぞれの漁協であり、そこで働く組合員のはずだ。
ところが実際にはこうなっている。
• 各漁協がある
• その上に「漁協長会」という欲に溺れた怪しげな集まりがある
• そして海砂採取の同意は、なぜか“漁協長会”が仕切る
構造としてはこうだ。
漁業者 → 漁協 → 漁協長会 → 同意を決める
……あれ?
漁業者の意思、どこにある?
■ しかもこの「漁協長会」、法人じゃない

ここ、かなり重要なポイントだ。
漁協は法人だ。
法律に基づいて設立され、総会があり、決算があり、責任の所在もある。
でも「漁協長会」は違う。
• 法人格なし
• 法律上の明確な位置付けなし
• 代表権の法的根拠も曖昧
• 責任の所在も曖昧
要するに何かというとだ、“任意団体”
ものすごく簡単に言うと、「会長たちの集まり」だ。
その“会長たちの集まり”が、海砂採取の同意を実質的にコントロールしている。
これ、冷静に考えると、かなりすごい構造だ。
■ 誰が反対したのか分からない世界
さらに問題なのはここからだ。
要領にはこう書いてある。
「漁協長会の同意にあたっては、同意に至った経緯のわかる議事録を添付するものとする。」
一見、ちゃんとしているように見える。
議事録があるなら透明性があるように見える。
でも本当に重要なのはそこじゃない。
誰が決めたのか?
誰が反対したのか?
その漁協の組合員は本当に賛成しているのか?
そこが見えない。
つまりこういうことが起きる。
• 漁協長会で話が決まる
• 各漁協は「上で決まったから」と言う
• 県は「同意が出ていますね」と言う
• でも現場の漁業者は「そんな話聞いてない」となる
この構造、何に似ているか。
責任の所在がどこにもないシステム
だ。
■ ブラックボックスが権限を持つと何が起きるか
権限には、本来セットで必要なものがある。
それは何か。
責任と法的根拠
• 権限を持つ
• だから責任を負う
• だから法律に位置付けられる
これが普通だ。
ところが「漁協長会」は、
• 強い影響力を持つ
• しかし法人ではない
• 法律上の明確な権限規定も曖昧
• しかし同意の可否を左右する
これを一言で言うと、
「責任を負わない権力」一番危ないやつだ。
■ 見えない“関所”
第1話では「参入資格」で入口を絞っていた。
そして第2話のここで出てくるのが、もう一つの入口。
漁協長会の同意である。つまり海砂採取に入るためには、こうなる。
1. 協会に入っているか
2. 実績があるか
3. 船を持っているか
4. そして最後に——漁協長会の同意
ここまで来ると、もう分かると思う。
これは許可制度というより、関所だ。
しかも関所の番人は、法律に名前がはっきり書いてある役所でも法人でもない。
“漁協長会”というブラックボックスである。

その漁協長会を裏で仕切っているのが壱岐市東部組合の浦田和男である。
有明商事の壱岐市支店長とも呼ばれている。
JC-net・日刊セイケイ編集長・中山洋次





