≪第21回≫大村市新庁舎、大林組・西海建設・高瀬建設JVの行方!

JVの組み合わせには、業界の力関係が出る。
当然だが発注者との距離感も大きく作用する。
八代市のドスコイ入札ほではなくても、地域の有力業者の位置づけが出る。
そして、大手ゼネコンがその地域で仕事を進めるために、誰と手を組むのかという『読み』が出る。

つまり、JVは単なる施工体制ではない。
公共工事の裏側にある力学を映す鏡でもある。
例えば『ノダ建築設計事務所』、中々、一癖も二癖もある設計事務所だが、地元業者を入れること自体は、悪いことではない。
むしろ、大規模公共工事に地元業者が参加することは必要である。
市内の下請け、資材、労務、関連業務に仕事が広がれば、地域経済にとってプラスになるからだ。
だが、それはあくまで、広く、公平に、透明に、地元へ還元される場合の話である。
もし、地元参加、地産地消という美名のもとに、いつも同じような友好業者だけが不条理に富を貪るようなことがあったら。
もし、市民には見えないところで、不条理な差配や組み合わせが固まっているようだったら。
そうであるなら、「地産地消」「地元貢献」という言葉は、もはや市民のための言葉ではない。
限られた業者のための合言葉になってしまう。
公共工事における地元貢献とは、本来、市民全体への還元でなければならない。
一部の業者だけが潤うことではない。
特定の企業グループだけが大型案件の果実を受け取ることでもない。
市民の税金で造る新庁舎である。
ならば、市民に対して、どのように地元経済へ還元されるのかを説明する責任がある。
どの工種を地元業者が担うのか。
下請けはどこまで市内業者に開かれるのか。
資材や労務の発注は、どの程度地元に回るのか。
市内の中小業者にも機会があるのか。
それとも、JVの構成員となった一部業者を通じて、仕事の流れが固定化されるのか。
ここを曖昧にしたまま、「地元貢献です」と言われても、市民は納得できない。
さらに、大林組をめぐっては、中央新幹線第四南巨摩トンネル新設工事における労災後の説明問題で、会社及び社員2名が労働安全衛生法違反により罰金刑の略式命令を受け、岐阜県から入札参加資格停止措置を受けている。
また、東京・八重洲のビル建設現場では、鉄骨落下により作業員5人が死傷する重大事故も発生している。
もちろん、これらをもって、ただちに大村市新庁舎工事を任せられないと断じるものではない。
しかし、少なくとも発注者である大村市は、これらの事実をどう評価するのか、市民に説明する責任がある。
「大手だから安心」
「実績があるから問題ない」
「参加資格を満たしているからよい」
それだけで済ませてよいのか。
むしろ、過去に重大事故や行政処分がある企業だからこそ、発注者は安全管理体制、再発防止策、現場のチェック機能、説明責任を厳しく確認しなければならない。
そのうえで、地元業者とのJVがどう機能するのかも問われるのである。
JC-net・日刊セイケイ編集長・中山洋次





