「みんなで大家さん」運営会社が2881億円の債務超過 土地を2681億円減損、大阪府が法令違反を調査
不動産投資商品「みんなで大家さん」を運営する都市綜研インベストファンド(株)が、2026年3月期決算で約2881億円の債務超過に転落したことが分かった。同社が8月5日に公表した決算公告で明らかになったもので、出資者への分配金停止や集団返還訴訟が続くなか、財務内容の深刻な悪化が表面化した。
営業損失65億円、最終赤字は2983億円
決算公告によると、2026年3月期は不動産・賃貸事業などの売上高が約225億7600万円となった一方、営業損失約65億4200万円、経常損失約195億7400万円を計上した。さらに、保有不動産の減損損失約2785億7000万円を特別損失として処理した結果、当期純損失は約2983億5600万円に膨らんだ。
2026年3月末時点の資産総額は約390億7500万円に対し、負債総額は約3272億700万円。純資産はマイナス約2881億3200万円となり、大幅な債務超過に陥った。現金・預金は約3億1000万円にとどまる一方、短期借入金や未払金、出資者から受け入れた資金などを含む流動負債は約1500億7300万円に達している。
土地に2681億円の減損を計上
財務悪化の最大の要因は、保有資産の価値を大幅に引き下げた減損処理である。貸借対照表では、取得原価約2938億7400万円の土地に対し、約2681億6700万円の減損損失累計額を計上。建物についても約104億円の減損処理が行われた。
また、約202億8600万円の売掛金に対し、ほぼ同額となる約202億8500万円の貸倒引当金を計上している。会社側は、賃料収入の入金遅延によって継続的な営業損失と営業キャッシュフローのマイナスが発生していると説明し、「継続企業の前提に関する重要な不確実性」があることを認めた。
約2500人が232億円の返還求め提訴
「みんなで大家さん」は、想定利回り年7%前後を掲げ、全国の3万7000人以上から総額2000億円を超える出資を集めたとされる。しかし、2025年7月以降、主力商品「ゲートウェイ成田」を含む多数の商品で分配金の支払いが停止。出資者約2500人が、総額約232億円の返還を求めて集団提訴している。
今回の決算公告にも、2026年4月以降に提起された不動産特定共同事業受入出資金の返還請求訴訟が97件あると記載された。分配金だけでなく、解約した出資者に対する元本返還をめぐる訴訟が多数進行していることが、会社自身の開示資料からも確認された。
大阪府が法令違反として調査
都市綜研インベストファンドは、大阪府知事から不動産特定共同事業者の許可を受けている。同法では、資産から負債を差し引いた純資産額について、資本金の90%以上を維持することが求められ、許可後に要件を満たさなくなった場合は許可取り消しの対象となる。
大阪府は今回の債務超過について、「事業者が債務超過というのは不動産特定共同事業法の違反である」との認識を示し、詳しい調査を進めている。都市綜研インベストファンドは2024年6月にも、大阪府から不動産特定共同事業に関する30日間の一部業務停止命令と指示処分を受けていた。
資産売却で債務超過を解消できるか
会社側は、経費削減に加え、保有不動産の市場価格での売却、グループ会社に対する債権回収、グループ保有不動産の売却、新たな資金調達などによって資金繰りを改善し、債務超過を是正する方針を示している。
一方、同社自身も、債権回収や不動産売却は相手方の財務状況や市場環境に左右され、現時点で実現が確定したものではないと説明している。約2881億円に上る債務超過をどの資産の売却益や外部資金で解消するのか、具体的な道筋は決算公告からは明らかになっていない。
債務超過は直ちに破産手続きへ移行したことを意味するものではない。しかし、巨額の資産減損、分配金と元本返還の停滞、集団訴訟、許可要件をめぐる行政調査が同時に進んでいる。今後は、大阪府が業務停止や許可取り消しなどの処分に踏み切るか、会社側が示す資産売却と資金調達が実現するかが最大の焦点となる。





