長崎の求人に異変 有効求人倍率63カ月ぶり1倍割れ それでも人手不足、外国人労働者は1.2万人超
長崎県の求人市場に異変が起きている。
長崎労働局によると、2026年5月の有効求人倍率(季節調整値)は0.99倍となり、前月から0.03ポイント低下した。0.9倍台となるのは63カ月ぶり。新規求人数も前年同月比16.6%減と16カ月連続で前年を下回った。
仕事が減っているのか。それとも、企業が求める仕事と働き手がかみ合わなくなっているのか。
県全体の求人は明らかに減少している。その一方、介護などでは慢性的な人手不足が続き、外国人労働者は1万2000人を超えた。
長崎の労働市場ではいま、「求人が減る一方で、人が集まらない職場が残る」という二つの現象が同時に進んでいる。
新規求人、2年で約23%減
2026年5月の新規求人数は7428人。前年同月の8910人から1482人減少した。
月間有効求人数も2万2820人で、前年同月を2475人、9.8%下回った。前年割れは31カ月連続となっている。
雇用形態別でもフルタイム求人が15.0%減、パート求人が19.8%減と、ともに大きく落ち込んだ。
| 2026年5月 | 数値 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 有効求人倍率 | 0.99倍 | - |
| 新規求人数 | 7,428人 | ▲16.6% |
| 月間有効求人数 | 22,820人 | ▲9.8% |
| フルタイム求人 | - | ▲15.0% |
| パート求人 | - | ▲19.8% |
同じ5月でみると、2024年の新規求人数は9704人だった。2026年までの2年間で2276人、約23%減少している。
さらに5月は、有効求人数が前月比2.3%減少する一方、有効求職者数は0.7%増加した。この結果、有効求人倍率は1倍を割り込んだ。
数字だけを見れば、長崎の「売り手市場」は後退しつつある。
それでも介護は人が足りない
ところが、現場では別の景色が広がっている。
長崎県は介護業界について、慢性的な人材不足が続いているとしている。
県は2026年度、介護事業者が求める身体介助以外の業務と、空き時間を活用して働きたい地域住民らをWEBで結ぶ「介護サポーターマッチング事業」を開始した。
潜在的な介護人材を掘り起こし、スポット的な人手不足を補う狙いだ。
県は高齢化の進展や生産年齢人口の減少を背景に、介護人材の確保・定着を「喫緊の課題」と位置付けている。
求人総数が減れば、通常は人手不足も和らぐようにみえる。しかし介護のように、人材が集まりにくい職場ではそう単純ではない。
外国人労働者、4年で2.2倍
人手不足が続く長崎で存在感を増しているのが外国人労働者だ。
長崎労働局によると、2025年10月末時点の県内外国人労働者は1万2807人。
2021年の5782人から4年間で7025人増え、約2.2倍となった。
| 年 | 外国人労働者数 |
|---|---|
| 2021年 | 5,782人 |
| 2022年 | 6,951人 |
| 2023年 | 8,663人 |
| 2024年 | 11,096人 |
| 2025年 | 12,807人 |
増加しているのは製造業だけではない。
2025年には製造業3481人のほか、卸売・小売業1804人、医療・福祉1400人、宿泊・飲食サービス業1162人、建設業1084人、農林業1031人が外国人材を雇用している。
介護分野でも外国人材の受け入れは進んでおり、県内の人手不足業種で外国人労働者の存在感は年々高まっている。
外国人労働者は、もはや一部の製造現場だけを支える存在ではない。介護、建設、観光、小売など、県民生活に近い産業へと広がっている。
「仕事がない」と「人がいない」の間で
長崎の雇用情勢は、有効求人倍率だけでは読み切れなくなっている。
県全体では求人が減り、2026年5月には63カ月ぶりに1倍を割った。
それでも介護では慢性的な人材不足が続き、県が新たな人材確保策を打ち出している。外国人労働者も4年間で約2.2倍まで増えた。
「仕事がない」と「人がいない」は、必ずしも反対の現象ではない。
必要な場所に、必要な働き手が集まらなければ、求人総数が減っても人手不足は残る。
人口減少が続く長崎で起きているのは、単純な求人不足でも、単純な人手不足でもない。
求人市場が縮小する一方、人が集まりにくい業種では外国人材を含む新たな働き手への依存が強まっている。
有効求人倍率0.99倍という数字の裏側で、長崎の雇用構造そのものが変わり始めている。





