≪大村市新庁舎・第二弾≫「再発防止に努める」で幕引きか、9月28日、総務委員会は何を確認し、何を市民に示すのか。

「安全管理を徹底する」
「再発防止に努める」
その言葉を聞くだけなら、委員会を開くまでもない。
9月28日の大村市議会・総務委員会で問われるのは、その約束を裏付ける仕組みが、新庁舎建設の現場に用意されているかどうかである。
2023年9月、東京・八重洲の建設現場で起きた鉄骨崩落事故。作業員2人が死亡し、3人が重傷を負った。そして今年9月18日、大林組の社員2人が業務上過失致死傷の疑いで書類送検された。大林組自身も、同日付の発表で書類送検を認め、謝罪している。

書類送検は有罪の確定ではない。しかし、刑事責任の結論を待つことと、これから始まる公共工事の安全を確認することは、別の問題だ。
大村市新庁舎建設工事を落札した共同企業体の代表構成員は、大林組である。市も議会も、八重洲の事故を「別の現場の出来事」として片付けるわけにはいかない。
今回の再審査で、まず求めるべきは「誰が確認するのか」が分かる資料だ。
仮設設備の強度計算は誰が担当し、その計算を別の誰が検証するのか。現場の施工が計画どおりかを誰が確かめ、変更が生じた場合には、誰の承認を経て作業を再開するのか。
「社内基準に従って適切に対応する」という説明だけでは、その中身が見えない。
担当者の役割、確認の手順、記録の残し方。少なくとも、この三つを新庁舎工事に即して示してもらう必要がある。
詳細な施工計画がまだ作成されていないのであれば、いつまでに提出させ、誰が確認し、どの段階で議会に報告するのかを決めるべきだ。「これから検討する」で終わらせては、再審査の意味が薄れる。
そして、確認する権限とともに、「止める権限」も問うべきである。
計算と現場の状況が違う。必要な確認が終わっていない。作業員から危険だという声が上がる。
そのとき、誰が作業を止められるのか。工期が迫っていても、安全確認を優先できるのか。下請けの作業員が声を上げ、その指摘が責任者に届く仕組みはあるのか。
安全管理の実効性は、立派な方針書だけでは測れない。危険を発見したとき、実際に作業を止め、是正できる体制があってこそである。

大林組だけでなく、共同企業体全体の責任分担も明らかにしてほしい。「代表企業に任せている」では、共同で工事を担う体制の説明にならない。
発注者である大村市にも、確認すべきことがある。
本紙が問い続けてきた、他自治体の指名停止措置と入札資格審査との関係だ。
市は、落札決定までに何を把握していたのか。どの規定に照らし、誰が参加資格を認めたのか。その判断に至る記録は残っているのか。
「入札参加を認めた理由」と「工事の安全を確認した根拠」は、それぞれ説明してもらわなければならない。
資格審査について説明しただけで、安全管理への疑問まで解消したことにはならない。逆に、再発防止策の説明を受けたからといって、過去の審査経緯を示す必要がなくなるわけでもない。
総務委員会には、この二つを曖昧にしたまま話を終わらせないよう求めたい。
そして、市民にとって大切なのは、委員会が開かれたという事実だけではない。
どの資料が提出され、どの議員が何を質問し、市側がどう答えたのか。何が確認でき、何が未確認のまま残ったのか。そのうえで、どのような判断をしたのか。
公開できない部分があるなら、その範囲と理由を説明すればよい。少なくとも、判断の根拠まで市民に見えない審査にしてはならない。
資料が足りなければ追加提出を求める。答えが曖昧なら、具体的な回答を求める。確認できない点は、確認できていないと記録に残す。
それが、今回の再審査で議会に求められる仕事ではないか。
新庁舎は、完成すれば市民の暮らしを支える拠点となる。その建設に携わる人たちにも、毎日、無事に帰るべき家がある。
「大手だから大丈夫」
「説明を受けたから問題ない」
そんな言葉で、市民も作業員も守れない。
9月28日の総務委員会が示すべきなのは、安心してほしいという気持ちではなく、安心できると判断した具体的な根拠である。
「再審査した」で終わるのか。「ここまで確かめた」と市民に示せるのか。
大村市議会の仕事が、今、問われている。
JC-net・日刊セイケイ編集長・中山洋次





