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アイコン 北海道・奥尻島観光協会が機能不全 職員1人、レンタカー休止・給与遅配 町は観光再生へ28億円規模


北海道奥尻町で観光案内や情報発信を担う一般社団法人奥尻島観光協会が、人員不足と資金難により事実上の機能不全に陥っている。

職員の相次ぐ退職によって2026年5月から実働1人体制となり、観光シーズンを迎えた7月以降は案内所の窓口や電話対応に支障が発生。奥尻町には「案内所が開いていない」「電話がつながらない」といった観光客からの苦情が約20件寄せられた。

8月からは観光協会が運営するレンタカー事業も休止。さらに給与の遅配や決算の不備、不適切な会計処理も明らかとなり、町が協会に事実関係の調査と業務正常化を求める事態となっている。

一方、奥尻町はホテル建設、観光コンテンツ開発、観光プロモーションを柱に、2025年度から2027年度まで総事業費28億2448万円を投じる観光再生プロジェクトを進めている。大型ホテル開業を2027年に控える中、島の「観光の窓口」をどう立て直すかが新たな課題として浮上している。

 

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奥尻島観光協会、職員は実質1人に

奥尻島観光協会は、島を訪れる観光客への案内、観光情報の発信、レンタカーなどを担っている。

しかし2026年3月から4月にかけて職員が相次いで退職し、5月からは職員1人で業務を担う状態となった。

観光客が増える7月以降は、1人の職員が外出すると案内所が無人になるなど業務に支障が生じ、町には窓口が閉まっている、電話がつながらないといった苦情が約20件寄せられた。

協会は新たな職員の募集を行っているものの、9月上旬時点では採用に至っていないと報じられている。

法人名 一般社団法人奥尻島観光協会
法人番号 3440005002655
所在地 北海道奥尻郡奥尻町字奥尻309番地2
職員体制 2026年5月から実質1人体制
観光客からの苦情 約20件
レンタカー 2026年8月から休止
前年度の予算規模 約1300万円
町からの人件費補助 上限600万円

給与遅配、決算不備も 資金管理に問題

人員不足の背景には、協会の資金問題もある。

報道によると、前年度の協会予算は約1300万円で、このうち約600万円を町の補助金で賄っていた。奥尻町は人件費として上限600万円を補助している。

一方、2026年には職員への給与支払いが遅延。協会内で人件費として確保していた資金が別の支払いに使用されたとみられ、銀行口座の残高が不足する状況となった。

協会の代表理事も、銀行口座の残高確認が不十分だったことを認めている。

町側は決算の不備に加え、「ずさんな会計処理」「不適切な会計処理」が見受けられるとして問題視。使途が明確になっていない資金がある疑いも報じられている。

注意
現時点で横領や不正流用などの刑事事件が認定された事実は確認できていない。「使途不明金の疑い」や「不適切な会計処理」と報じられている段階であり、原因や責任関係の断定は避ける必要がある。

「うにまるレンタカー」休止 島内交通にも影響

8月から休止しているのが、観光協会が運営する「うにまるレンタカー」

協会公式サイトでは、軽自動車3台を用意し、3時間5000円、24時間1万1000円などの料金で貸し出していた。

奥尻島は路線バスの運行本数が限られており、観光協会自身も「路線バスの便が少ないためレンタカーが便利」と案内している。

島内には他のレンタカー事業者も存在するため、今回の休止によって奥尻島のレンタカーサービスそのものがなくなったわけではない。しかし、観光案内所と一体で運営していた交通サービスが繁忙期に休止した影響は小さくない。

北海道開発局などの地域づくり会議でも、奥尻島ではタクシー事業者が1社、運転手1人という状況や、レンタカー・乗合タクシーの台数に限りがあることが課題として指摘されている。

奥尻町は観光再生へ28億2448万円規模

観光協会が厳しい状況にある一方、奥尻町は観光産業の再生へ大型投資を進めている。

国の「第2世代交付金」を活用する「奥尻島の未来を変える新しい共創観光プロジェクト」は、2025年度から2027年度までの3年間を計画期間とし、総事業費は28億2448万円

事業は主に、

  • ホテル建設
  • 観光コンテンツ創出
  • 観光プロモーション

の3本柱で構成され、観光客の受け入れ体制強化と誘客促進を目指している。

奥尻町は夏季に集中する観光需要を春・秋・冬にも広げるほか、アジア圏のインバウンド誘客、観光人材の育成、観光消費額の増加などを進める方針だ。

28億円はホテル建設費だけではない
28億2448万円は、2025~2027年度に実施するホテル建設、観光コンテンツ創出、観光プロモーションなどを含めたプロジェクト全体の総事業費。新ホテル単体の建設費ではない。

旧役場跡地に130室の新ホテル、2027年11月開業予定

観光再生策の中心となるのが、大型ホテルの新設だ。

計画では旧奥尻町役場庁舎跡地に7階建て、130室のホテルを整備。1階には町民も利用できる温浴施設やレストランを設ける計画で、2027年11月の開業を予定している。

建設計画では延べ床面積約5045平方メートルで、レストランやサウナ付き大浴場などを備える方針が示されている。

町は島内で宿泊施設の廃業が進んでいることも課題として認識しており、新ホテルによって宿泊受け入れ能力を拡大し、日帰り中心となっている観光構造を改善したい考えだ。

奥尻町の観光客、2024年度は2万5400人

観光再生が急がれる背景には、奥尻町の観光客数の減少がある。

北海道檜山振興局によると、2024年度の奥尻町の観光入込客数は2万5400人で、前年度の3万200人から4800人減少し、前年度比15.9%減となった。

内訳では道外客が6800人から6100人へ減少し、宿泊客も2万8000人から2万4600人へ減少した。

道は減少要因として、観光需要の落ち込み、島内宿泊施設で宿泊可能な日の減少、公共工事終了に伴う工事関係者の減少などを挙げている。

大型投資の一方で「観光の窓口」が機能不全

奥尻町は観光客数を回復させるため、大型ホテルの建設から新たな観光コンテンツ、海外向けプロモーションまで大規模な観光再生策を動かしている。

その一方で、実際に島を訪れた観光客への案内や情報提供を担う観光協会では、職員1人という体制やレンタカー事業の休止、給与遅配、会計処理の問題が表面化した。

新ホテルの開業によって来島者が増えれば、観光案内、島内交通、宿泊・飲食施設への送客など、現地での受け入れ機能はこれまで以上に重要になる。

28億円を超える観光再生事業の効果を地域経済へ波及させるためにも、施設整備だけではなく、奥尻島観光協会を含む「観光客を受け入れる現場の体制再構築」が避けて通れない課題となっている。

公式サイトと実際の営業状況に差

なお、奥尻島観光協会の公式サイトでは現在も、観光案内所について「5月~10月は無休」「9時~17時」と掲載され、「うにまるレンタカー」の料金・車両情報も表示されている。

しかし、9月の報道では窓口対応に支障が生じ、レンタカー事業は8月から休止しているとされている。

公式サイトの掲載情報が実際の運営状況に追いついていない可能性があるため、奥尻島を訪れる際には観光案内所やレンタカーの最新営業状況を事前に確認する必要がある。

[ 2026年9月14日 ]
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