アイコン 高圧経済とサナエノミクス


高圧経済(High pressure economy)とは、財政・金融政策で意図的に景気を「やや過熱」状態に保つ経済運営を指している。
政府支出の拡大や減税など経済・財政政策により、低金利や量的緩和などを組み合わせ、需要を潜在成長能力より、上回る水準に保つ考え方。

2013年から始まったアベノミクスが極端な例として挙げられるが、賃金増を伴わなかったため、短期では失敗し、長期にデフレのままが続いた。

高圧経済=high pressure economy・・・太平洋戦争・朝鮮戦争後の低経済成長下の1950年代、米エール大学の経済学者 ヘンリー・ウォーリック(Henry Wallich)・・・本人はFRBの理事になっているが、財政・金融論と異なり、インフレ抑制派であったとされる。
現在、一橋大学の先生も高圧経済論者として知られ、サナエノミクスの論客・推奨者のようだ。

高圧経済は、アベノミクス下でも拡大し続ける政府負債を容認させる立場から、政府がマスコミに宣伝させた経済論。露制裁以降、世界の金融市場で円がリスク資産となった現在でも、こうした論を論拠に経済成長をはかったものの、失敗した場合、責任のない更なる円暴落の引き金になる可能性もある。

 

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野村総研によると、
<物価上昇が先行しやすい>
需要を強く刺激すると、供給が追いつかない分だけ値上がりが起きやすいです。特に人手不足や原材料高がある局面では、成長よりインフレが目立ちやすいと指摘されている。
金融政策での物価コントロールは難しく、タイムラグも発生する。

<人手不足の悪化>
需要が増えても働き手が急に増えるわけではないので、企業間の人材争奪が強まりやすいです。結果として、欠員が埋まらずサービス供給が伸びにくくなる。

<賃金上昇が偏る>
一部の業種や大企業では賃上げが進んでも、全体に広がらないと家計の実感改善が弱くなる。すると、物価高だけが重く感じられやすい。 大企業の連合は2025年に続き26年も5パーセントを達成したとしているが、中小企業の賃上げ率は限られている。

<市場の不安定化>
需要刺激を続ける中で、金利上昇や円安への警戒が強まると、債券市場や為替市場が不安定になり、かえって景気の重荷になるおそれがある。

<日本で特に出やすい>
2026年2月の野村総合研究所の解説では、
今の日本は人口減少により供給力が弱く、昔のような高圧経済が効きにくいとしている。需要を押し上げても、供給制約が強いと成長より物価高が先に出やすいとの批判的見解。

☆高圧経済の副作用は、景気を押し上げるはずが、物価高と人手不足を先に悪化させやすく、 今の日本でもこの点が特に大きく生じている。

サナエノミクス
高市首相は国会で経済政策について、責任ある積極財政につき、2040年度までを期限とし、成長分野や国家安全分野の17分野への戦略投資、2040年までの15年間で370兆円の累計官民投資を行い、2040年度の官民の設備投資額の目標を250兆円(うち230兆円は民間投資)とし、2040年度のGDPを1100兆円とする経済政策。
官民研究開発投資額については、2026~2030年度までの合計で180兆円の投資目標を実現するというもの。

政府の「日本成長戦略概要」・・・2026年度の370兆円官民投資計画分・・・サナウノミクス
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/nipponseichosenryaku/pdf/jgs2026gaiyou.pdf
政府の「日本成長戦略」・・・2026年度の370兆円官民投資計画分・・・サナウノミクス
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/nipponseichosenryaku/pdf/jgs2026.pdf

政府の2013年度~2021年度までの成長戦略・・・過去の成長戦略・・・アベノミクス
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/seicho/kettei.html

問題点、
政府負債の増加、国債費などの費用増、結果、国債発行に依存した財政は、GDPの倍以上の政府負債残高もあり、円安を加速させ、物価を上昇させる可能性がある。
それにより長期金利は上昇、インフレ退治に金利を上昇させれば、一方で、経済を低迷させるリスクがある。何れも度を過ぎた円安、長期金利の上昇、政策金利の上昇による弊害が露呈する。

しかし、政府負債を増加させ続け、金利も2%以上には引き上げず、さらなる物価上昇を容認すれば、超円安、スーパーインフレに突入する危険性すらある。

責任ある・・など言葉のまやかし。決して一橋大の先生が救いの神でもなく、その経済政策論がすべてではない。また、政策を発した政治家も官僚も、その政策において責任を100%取らないのも大正時代以降の日本の政治家と官僚たちの体質となっている。

国内の需給面からは供給不足に陥り、物価高になるとしているが、供給を外国からの輸入に依存すれば、これまた円安により、物価高が保証されている。

輸入物価は高騰し、すでに大手メーカーでは日本での製造より海外での製造を拡大させ続け、日本企業製であっても輸入品(部品部材含む)が拡大し続けている。現行のように円安により物価上昇を招き、金利上昇圧力にさらされ、長期金利が上昇し続けることになる。

高圧経済の極端な例がアベノミクスですでに結果が立証され、結果が出ず、デフレ脱却には至らなかった。弊害である人手不足、賃金上昇圧力を労働の流動性=非正規雇用拡大、外国人労働者の大量増加を図り、問題をかわしてきた。そのため、賃金上昇は抑制され続け、国内消費が低迷し、デフレ経済が続いてきた。
アベノミクスとサナエノミクスの違いは、実質の賃上げ派か否かの違い。アベノミクスでは実態では、賃金抑制策が続き、消費が需要を押し上げなかったことから、消費税増税も2回あり、低賃金・外需依存型から抜け出せなかった。企業利益は円安と海外投資の増加による収益向上により、空前の利益を計上したものの、賃金は抑制されたままで、GDPは2013年514兆円から、円安、新コロナ前の2019年までは東京オリンピックの開発景気もあったアベノミクスでありながら571兆円、6年間で11.1%(年平均1.8%/名目)の経済成長に留まった。
経済成長の鍵は消費にあり、国民の消費活動にあり、インバウンド効果に浮かれてもあくまで経済では+αとしてみる必要があったが、メディアも浮かれ、経済成長の本質部分の賃金が抑制されたままがアベノミクスの実態であった。

サナエノミクスは官民投資で経済成長を牽引するとしているが、2026年になり、物価上昇による企業利益の拡大が続き、やっと賃金上昇に向かい、実質賃金がプラスを続けている。消費がGDPを:牽引することから、物価上昇率をサナエノミクスによりコントロールできれば、2040年を待たずして1100兆円の経済規模(GDP)は達成可能とみられる。
ただ、サナエノミクスは、物価や対ドル円、政府負債と経済成長のバランスをコントロールできなければ、市場は黙認せず、金利政策や財政支出の抑制策が必要となり、円リスクを伴う紙一重の経済政策でもあるといえる。

最近の日本は、過大な政府負債下で、露制裁による資源や穀物の輸入依存度が高く、円安は猛スピードで進み、2021年までスイスフランとともに安全資産だった「円」が、今やリスク資産となっている。

これまで政府は、円安による外需や海外投資での利益(経常収支)による企業利益の最大化を図ってきた。企業はアベノミクスで巨額の利益を出しながら、国内投資を行わず、賃金も上げず、、お金は循環せず、低GDP率に甘んじ、実質賃金はマイナス成長を遂げてきた。

ここに来て、燃料高や超円安に伴う物価高により、賃金の上昇率がやっとプラスに超え、少子化の圧力もあるものの好循環経済に移行するかどうかの岐路にある。

ただ、GDPの過半を擁す消費は、証券投資家の増加により富裕層は増加しているが、投資金のない貧困層も拡大しており、総合インフレ率より、生活実態に近い分野での過度な物価上昇が、若年層や過半の国民の生活を圧迫、閉塞感に陥らせている。

エンゲル係数は上昇し続けているが、少子高齢化に伴うものとで問題なしと放置しているが、所帯の平均世代層別のエンゲル係数の推移に着目する段階に入っている。

これまで、何十年も政府主導で経済発展を遂げ続けた国などどこにもない。結局、政府負債が拡大し続け、世界主要国が重要視する財政規律も反故にしたまま、それを拡大させる経済政策に打って出ようとしている。
それより、少子高齢化でもあり、内需を拡大させるため、全労働者の平均賃金を毎年5%以上増加させる必要があるのではなかろうか。

デフレ経済は低賃金によるもので、アベノミクス東京五輪での好景気に沸く企業経済下、利益は内部留保や株主還元中心で、賃金は抑制されたままとなり、デフレ経済が続き、その資源・穀物高、超円安進行による物価上昇により、打破され、現実はスタフグレーションに陥る可能性もあった。超円安により、輸出高が増加、海外投資の見返り部が大幅に増加し、物価高・消費低迷を打ち消す役割を果たしてきた。
とはいえ、賃金を上昇させない限り、経済成長は遂げられず、ましてやドル換算GDPは

責任ある財政は、成長戦略分野に位置づけるAI(人工知能)・半導体やサイバーセキュリティー、量子といったデジタル分野に、2040年度までの15年間で170.2兆円を官民で投資する目標を打ち出している。
特に重要な製品や技術については、戦略17分野(細目64項目)に対して、総投資額はは370兆円を超える。
結果、2040年度のGDPを2025年の663兆円を15年間で65.9%増加させ1100億円にする計画。15年間の平均経済成長率は4.4%となる。

現在のような超円安による水膨れ状態で経済成長は特に食料品の物価高を生じさせ、貧富の差を拡大させるのみとなる。(25年のGDPは前年比4.6%増を実現、一方でドル換算GDPでは2020年比で▲14.5%減となっている)

サナエノミクスの最大の課題は、物価上昇因子に対して、賃金上昇率が高く維持され続けるかどうかだろう。少子高齢化の進行は続き、家計の国民総所得は停滞もしくはマイナスが続く。

政権は長く続いても10年が限度、安倍政権も健康が事由であったとしても8年間だった。2040年に蓋を開けられるかは次期政権担当者が引き続きサナエノミクスを継承し続けるかどうかにも左右される。また、イラン戦争のような伏兵も経済に対して忍んでおり、順風満帆に計画が進むとは到底考えられない。

高圧経済を支持し実施してきたリフレ派、新たに送り込まれたリフレ派も含め、植田氏による少しの修正でさえ、再修正させる動きにある。

市場が「円」を「安全資産」から「リスク資産」に変貌させ、金融市場が、アベノミクスの円とサナエノミクスの円を見る目は、比較できないほど厳しくなっている。

国際金融債権市場も、政治に関係なく財政状況や経済評価により、長期金利を動かし、為替を動かしている。

日本は2000年来25年間で何をしてきたのか・・・。
GDPは、韓国は2000年から4倍に、台湾は2.7倍に、米国は3倍にGDPを増加させている。日本は25年かけて僅か2割しか増加しておらず、ドル換算では▲12%も減少している。これが日本の失態政治が続いた結果、生じた実態だ。

台湾有事ではすべて吹き飛んでしまう可能性もあり、残るは増加し続けた借金だけ(政府負債)のマイナス資産だけの可能性も否定できない。
また、トランプの関税戦争は、第一次大戦後、大恐慌を引き起こしたフーバー関税(大戦前は自由貿易)との類似性も指摘されており、こうした対外リスクにも対応可能なサナエノミクスであることが言葉遊びなしの前提となっている。


スクロール→

経済発展の物差しはGDP

 

 

2000

2010

2015

2020

2024

2025

名目

兆円

543

510

548

554

634

663

 25年比

 

22.1%

30.0%

21.0%

19.7%

4.6%

 

実質

兆円

500

529

562

554

584

591

ドル換算

百億ドル

504

581

453

518

419

443

 25年比

 

-12.1%

-23.8%

-2.2%

-14.5%

5.7%

 

(名目)

実質GDPは物価上昇率を換算したGP。

 

 

 

 

 

 

 

 

韓国名目

兆ウォン

675

1,379

1,740

2,058

2,556

2,663

 25年比

 

294.5%

93.1%

53.0%

29.4%

4.2%

 

台湾名目

百億

103

140

170

200

257

286

 25年比

台湾ドル

177.7%

104.3%

68.2%

43.0%

11.3%

 

米国名目

百億ドル

1,025

1,504

1,829

2,137

2,929

3,076

 25年比

 

200.1%

104.5%

68.2%

43.9%

5.0%

 

 

 

[ 2026年9月16日 ]

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