アイコン 日本の長期金利30年振り3%の大台に乗る 米国も一時4.8%越え


長期金利の指標となる日本の10年債の国債の利回り金利が節目の3%を30年振りに突破した。9月2日現在3.011%。
(25年末は2.079%、26年6月末は2.26%、7月末2.796%)

国債利回りの上昇は、
①海外金利の上昇
・・・イラン戦争による原油高に伴うインフレ、インフレ退治の金利高。
 日本はそれに加え、超円安による物価上昇によるインフレ

②日銀の利上げ観測の高まり
・・・金利上昇の抵抗勢力の政権の圧力に屈してきた日銀総裁、米ベッセン財
務長官の後押しもあり、今月の日銀会合で利上げ必至

③財政政策に対する反応、
・・・日本は過度な政府負債残、財政規律、PBの実質放棄
・・・食料消費税減税の財源問題、
・・・過去最高の予算編成(140兆円)の財源の裏付け問題
・・・インフレ抑制のガソリン等燃料に対する補助金問題と財源問題
  ・・・170兆円官民投資の経済政策に伴う財源問題
これら3つの要素に大別される。

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日本を含めた世界のインフレ
海外金利は米国のみならずドイツなどでも上昇。米国の10年物国債の利回り金利は9月1日4.8%を付け、2023年に付けた4.99%の更新もあり得る状況、2日現在は4.782%まで少し下落している。
トランプ戦争=イラン戦争による原油高、ガソリン等物価大幅上昇。
米国のガソリン先物取引価格は、戦前の2月25日は1ガロン1.991ドル/ピークは4月30日の3.771ドル、終戦交渉入りで7月12日には2.872ドルまで下落、その後交渉は決裂し、9月2日現在3.110ドル。

値上げ=物価上昇=インフレ 
日本では9月1日から4000品目を超える商品の値上げが発表されている(ほとんど食料品)。
日本はエネルギーが教育関係などで補助金政策により総合インフレ率を低下させているが、貧富に関係なく国民全員が享受する食料品の値上げ=物価上昇は目も当てられない、生鮮食料品より非生鮮食料品の物価上昇率が大きい(2026年6月の物価指数は、2020年を100として生鮮食品は125.0ポイント、非生鮮は129.3ポイント)。
日本の食料自給率は37%、海外輸入依存率は63%、
牛肉の輸入依存率は60%、豚肉は50%、 鶏肉は40%、
政府の失策から暴騰させたコメの実質自給率は100%。

米国債の残高と利息等国債費の上昇問題
8月18日現在の米政府の債務総額は40兆0470億ドル(約6300兆円)。内訳は、市場保有の米国債が32兆2660億ドル、借入等政府内債務が7兆7820億ドル。
米政府の債務残高は10年足らずで倍以上に膨らんでいる(うち新コロナ対策もあり増加分の1/3はバイデン政権)。残る6.6兆ドルの増加分はトランプ1・2政権の5年と7ヶ月での増加分、トランプ政権では毎年平均して1兆ドル増加した計算、今年はイラン戦争ですでに1兆ドル増加している。
ヴッセント財務長官は米政府が米国債を買い戻すことで長期国債金利の利回りの上昇を鎮静化させる動きをしているが、これまでの経過から、市場の金利上昇圧力に対して、政府の買い戻しは長くは続けられず、一時的な効果しかないことが立証されている。国債利回りの上昇は、上昇圧力の根本問題を解決しない限り上昇する。 
10年物米国債利回りは、
2025年末4.163%、
26年3月末4.311%(イラン戦争勃発)
6月末4.418%(終戦交渉難航/小衝突相次ぐ)
7月末4.745%(7月7日トランプ政権議会にイラン戦争再開を通告) 
9月2日終値4.778%、一時4.816%/9月1日は4.796%

米政府債務はイラン戦争後だけを見ても今年3月からの5ヶ月間で1兆ドル増加。金利上昇で国債費は年1兆ドルに増加、金利上昇や発行残高の増加に伴いさらに増加することなる。

金利上昇を沈静化させるためにトランプは金利を下げるように要請、しかし、長期金利は上昇、インフレ圧力に、自らがリフレ派として任命したウォーシュFRB議長でさえインフレ退治のため金利を引き上げる意向を表明している。
トランプはインフレになるイラン戦争を自らおっぱじめ、長期化させ、一方で、金利を下げろと辻褄が合わない独り相撲を取っている。

外国で一番米国債を所有する日本、日本円の過度な為替安に対する日本の是正措置での米国債売りとその消化問題もある。
日本が一度に大量の米国債を売却すれば、即日買い付けが不足し、いっきに利回り金利が上昇するリスク、一時的に米国債事態に信用不安をもたらす。その子気兼ねが日本の為替安にあると見たヴッセント財務長官が7月31日から8月第一週にかけ、日本に同調して米国も為替市場に共同介入し、163円台を157円台まで押し上げた。

日本の政策金利上昇
日本の経済の構造が、世界の資源や穀物高および超円安により、デフレ経済からインフレ経済に切り替わった現在、長期金利が上昇するのは必然。
デフレ下の超低金利という異常な世界に長くいたことで、インフレ下で金利のある正常な世界への回帰を「異常」であると捉えてしまう側面があることこそが異常。

日本の財政問題
2027年度予算の概算要求額が143兆円になると報じられている。もっとも当初予算が膨らむことは予め想定されており、また規模感は事前予想対比で必ずしも大きくはない。しかし、高市政権では、ここ数年常態化しつつあった10~20兆円規模の補正予算を止め、緊急性の高い対象に絞ることが明確化した。その分だけ当初予算が膨らんだものと理解でき、事実、前年度当初予算と補正予算との合計でみれば、純増分は大きくない。
ただ、地震や異常気象による災害対策により補正予算が本当に縮小するかは判然としない。金利上昇の「主因」が財政政策であるかは議論の余地があるが、22年3月の露制裁により、資源に脆弱な日本、経済低迷もあり、スイスフランとも乖離して超円安に、日本の債権・証券市場も2023年4月からのバフェット効果以来、極端に国際化しており、財政規律問題も日本だけは別格としての取り扱いは撤廃され、結果、超円安となっている。2025年度(2026年3月末)の日本株の外国人保有比率は34.7%と3年連続で過去最高を更新している。
政策を誤ると、ハゲタカが日本売りに入り、いっきに国債利回りが急上昇、さらなる超円安になるリスクが増加することになる。
また、上述の通り、食品の消費税減税問題や170兆円官民投資ですら財源問題が問われている。

長期金利上昇の弊害
住宅ローンの上昇、日本経済をけん引している不動産バブルの沈静化、自動車ローンやクレジットのローン金利上昇で購入・消費活動がセーブされ、事業者の借入コストの上昇により利益圧迫などにより、金利上昇はインフレ退治同様、脆弱な日本経済の景気まで退治するリスクを抱えている。

国債利回りの上昇は金融機関にとって大きなリスク
2023年3月に米国でシリコンバレー銀行が破たん。原因は銀行が保有する米国債の流動性が含み損から喪失したことにあった。
FRBはこの含み損の問題を繰り返し警告している。
2024年末時点で、途中売却もありうるとして時価で評価する売却可能有価証券(AFS)は、時価が簿価を1820億ドル下回っていた(約29兆円)。
満期まで持ち切る前提の満期保有目的有価証券(HTM)は、2970億ドル(約47兆円)簿価を下回っていた。
AFSの含み損はその後に縮んだが、それでも小さくはない。
FRBは2025年末時点で、AFSの含み損がおよそ980億ドル(約15.5兆円)あったと報告している。
2026年に10年物米国の利回りが上昇すれば、この含み損は再び膨らむ。
10年物米国債利回りは
21年末は1.464%
22年末は3.865%、
23年末は3.909%
24年末は4.573%、
25年末は4.130%、
26年9月2日4.780%
と再び大きく上昇している。・・・膨らんでいることになる。

日本の農林中金も米国債の運用に失敗して2兆円余りの損害を出し、2025年3月期の最終利益は▲1.5兆円の赤字に転落した。
以上。


 

 

[ 2026年9月 3日 ]

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