軽油暴騰中、各国に広が軽油禁輸措置、湾岸原油は輸出8割回復
海運データ追跡サービス企業のケプラーによると、同海峡を通過する原油と石油製品の流量は先週時点(9月20日~26日の週)で1日平均1310万バレルだった。これは戦争前の1710万バレルの8割弱にあたる。
米海軍から護送支援を受ける湾岸産油国は、イランの目と鼻の先にあるホルムズ海峡を通じて原油を大量に送り出している。
ホルムズ海峡を通過する分と迂回する分を合わせた中東全体の原油流量はさらに目を見張る水準で、JPモルガンによると開戦前の98%にまで戻したという。
ケプラーの商品調査責任者は「これほど大量の原油が海峡を通過していることを踏まえると、イランが海峡への影響力を失いつつあるのは明らかだ」と述べている。
この節目は、米軍の護衛を受けたサウジやクウェートなどが関係する「闇」タンカーが、秘かに海峡を往復するという複雑な作戦の成果によるもの。
当作戦により、ここ数ヶ月で中東産油国からの原油流量は大幅に回復。さらに最近の海峡通航量はサウジアラビア産原油の回帰によって押し上げられているという。
イエメンの親イラン武装組織フーシ派が、9月に入りサウジの主要石油パイプラインを攻撃するまで、サウジ産原油は主に紅海側を迂回していた。
(サウジの2025年の原油産油量は日量1150万バレル/紅海経由では700万バレル(石油製品含む)まで回復させ、ホルムが海峡経由の回復も含めサウジ産原油の輸出量も急増している。)、(サウジは自国の原油タンカーをオマーン湾にピストン輸送させ、輸出国のタンカーに瀬取りさせ輸出している)
中東原油供給量、大幅回復中、だが軽油は暴騰中
①ホルムズ海峡での米海軍の護送による輸出量増、パイプラインが攻撃を受け10日ほど輸出停止、現在は輸出を再開させ、送油量も回復中。
② 紅海側からの輸出、最大700万バレル(原油500万バレル/ナフサなど原油精製品200万バレル)。紅海南端のマンデブ海峡は封鎖されているものの、北のスエズ経由による輸出増。
③UAEはペルシャ湾からの輸出を減らし、オマーン湾側の港湾(フジャイラ港+ファッカン港)からの原油輸出を拡大し、すでにほとんど回復させている。それもUAEはOPECを脱退し、増産により、市場確保を先取りする動きにある。
④米国の原油増産、輸出拡大、中東原油の最大の輸入国のアジア、今では米国産が急増しており、長期契約に基づいているものとみられ、中東産原油の輸出増で、中東産はあぶれ、原油相場が暴落する奇形性を秘めている。
⑤世界の原油備蓄量がこの間大幅に減っており、その回復需要もあるが、備蓄が回復すれば、需給バランスが大幅に悪化する可能性がある。
⑥原油価格、軽油の高騰はウクライナのロシア石油関連施設(北極海の産油施設や原油精製施設への大規模攻撃)へのドローンによる猛攻により、軽油生産量が大幅減少、ロシアでは軽油の輸出を緊急停止したままとなっている。
⑦トランプ政権は11月3日の中間選挙を控え、軽油の高騰につき、軽油の輸出を全面禁止にした。さらに欧州に対して軽油の在庫を放出して輸出するように命令している。
軽油はロシア産、中東産が途絶え、中国産の輸出規制、米国産も輸出禁止により、市場価格は原油相場の流れを離脱し暴騰している。
重要な点は、この現状をいつまで維持できるかにかかっている。
米軍は原油を通過させるためだけに同地域で膨大な軍事資源を投入している。
その一方で、世界の備蓄は操業可能な最低水準に向かって減り続け、燃料価格は過去最高値付近にとどまっている。
一方、追い詰められたイランは反撃に出始めている。
瀬戸際の市場
史上最大の供給ショックにもかかわらず、世界の石油市場には石油を供給するための手段が無限に存在するようだ。
JPモルガンによると、イラン戦争の間に世界の石油備蓄は約20億バレル減少したが、市場は持ちこたえている。
パイプラインを使った迂回や軍の支援を受けたシャトル輸送といった革新的な解決策に加え、湾岸地域以外での増産によって、市場はこの驚くべき状況を実現してきた。
何より重要なのが世界的な需要の大幅な減少。
原因は需要国における備蓄在庫消費優先策
原油価格は不安なほど高い水準にとどまっているが、市場が編み出したこうした解決策によって、原油価格は2008年につけた過去最高値に迫る事態を免れている。それでも、ホルムズ海峡の現状が永遠に続くことはあり得ない。石油は現物商品であり、いずれ市場原理が働く。
石油備蓄の流出が流入を上回り続ければ、最終的に備蓄は需要を満たせなくなる。そうなれば、需給の均衡を保つため、減った備蓄原油の再備蓄もあり、原油価格の急騰は避けられなくなる。
それが正確にいつ起きるのかは誰にも分からない。
JPモルガンの担当者は、対イラン紛争が始まって以降初めて、指針を持っていないとし、最終局面をどうモデル化すればいいか、まったく分からないとしている。鍵となるのはもはや戦争がどれだけ長く続くかではなく、顧客が求める現物の石油を市場がどれだけ長く供給し続けられるかにかかっている。
この2点は関連している可能性がある。ホルムズ海峡の問題が真の解決をみない限り、世界は市場の在庫が持ちこたえることに望みを託さざるを得ない。
戦闘再開により意味をなさず
原油価格は9月ずっと1バレル90ドルを上回り、大半は100ドルを超えている。米国のガソリン価格は戦争開始以降の最高値付近にとどまっている。
トランプが宣言通り、11月にイラン消滅の大規模攻撃を行えば、窮鼠猫噛、ホルムズ海峡を航行するタンカーを含む船舶は、イラン側から攻撃にさらされ、原油価格は即高騰する。
軽油暴騰
イラン戦争とロシア・ウクライナ戦争の影響を受けるディーゼル(軽油)価格は今月、それまでの最高値を大きく上回り、1ガロン(約3.8リットル)6ドルを優に超えている。
<軽油高騰原因>
★トランプによる見境なしのイラン戦争の長期化
★イラン戦争による原油価格の高騰、中東産原油の輸出大幅減少
★中東産軽油の激減、・・・影響大、
★ロシア産軽油の輸出禁止、・・・影響大(ウクライナのドローン攻撃で生産施設大破)
★中国産軽油の輸出規制・・・国内優先策、
★米国産軽油輸出禁止、・・・選挙前対策
トランプは中間選挙を前にして燃料価格の高騰に焦り、ガソリン価格の上昇を上回る軽油の高騰につき、独仏に対して軽油備蓄在庫を放出して世界の相場を押し下げよと命令、従わなければディーゼル(軽油)の輸出を禁止するとしている。しかし、すでにトランプ政権は軽油の輸出を禁止しているのだが・・・。
★ロンドン軽油先物価格推移、(トン当たり相場/USD)
22年1月月初、 796 (ウクライナ戦争前)
22年5月月初、 1,205 (3月露制裁)
26年1月月初、 742 (イラン戦争数前)
26年3月月初 1365 (イラン戦争直後)
26年6月月初、 931 イラン戦争(終戦交渉気運)
26年9月月初、 1,465 (7月はじめ終戦交渉決裂、イラン戦争後最高値)
26年10月月初、 1,421 (現在価格)
★米先物市場でのガソリンの相場は、
イラン戦争前は1ガロン2ドル前後、3月以降は3ドル台で推移している。
1月末、 1.948ドル、
3月末、 3.203ドル
5月18日、3.760ドル
6月末、 2.894ドル
8月末、 3.260ドル
9月23日、3.587ドル
9月末、3.55ドル
原油の流通が正常な状態に戻っても、その効果はまだ石油製品には波及していない。
JPモルガンによると、中東から流出する石油精製品の量は戦争前の58%にとどまり、ガソリンやディーゼルに対する制約がなお相当に大きいことを浮き彫りにしている。
新たな材料がほとんどない中、市場はここ数ヶ月、和平合意の可能性を材料に取引してきた。
トランプ大統領は戦争を通じ、イランとの合意が間もなく成立して海峡が再開されるとたびたび発言する一方、9月には11月の中間選挙後イランを総攻撃して消滅させると豪語、中東戦域に空母をさらに1隻増派し3隻体制に、揚陸艦も3隻配置することを決定している。
備蓄在庫の消費は、原油価格に極めて大きな影響を及ぼしてきた。その影響力は、実際に流通する現物の原油をはるかに上回っている。
この状況は9月、フーシ派がサウジの東西パイプラインを爆撃したことでやや変化した。紅海を通る約700万バレルの原油が一時的に止まった。その半分以上はホルムズ海峡から迂回していた分だった。
原油価格は1バレル110ドル近くに迫ったが、サウジはまたしても新たな手段を見いだした。驚くべき適応力を示し、原油をホルムズ海峡経由に戻した。
一方、9月27日の衛星画像では、サウジアラビア西岸・紅海側のヤンブーなど二つの主要港で、計7ヶ所の係留施設が、すべて利用可能になっていることが確認されている。
ケプラーによると、東西パイプラインの稼働が再び拡大していることを示しているとしている(送油量を改修により順次増加中)。
こうした流量をサウジは維持できるのだろうか。
モルガンの担当者は、通航量の増加を安全性の向上と取り違えてはならない。むしろ、この状況はリスクが続く状況下で操業する業界の能力が高まっていることを反映しているとしている。一方で、保険費用が極めて高額な水準となっている。
新しいタンカーの建造費は1.35億ドルだが、保険会社は現在、船齢5~10年の最大級の石油タンカーを1.5億ドルと評価している。(巨大タンカーは200万バレル輸送)
トランプから兵糧攻めに焦りだしたイラン
米海軍による封鎖のため自国原油を海峡経由で輸送できず、経済面での重要な交渉材料を失いつつあるイランは、湾岸を航行する石油タンカーへの攻撃を強化している。
当然ながら、イランは通航を阻止しようとしており、タンカーへの攻撃頻度は増していると指摘している。
イランが海峡への支配力を取り戻そうとしている中でこうした状況は続くと予想すべきだと述べている。
このため石油市場はリスクを抱え膠着状態のままで、持続不可能な現状を維持する米軍の負担は増し、企業や消費者向けの価格は高止まりしている。
米国はイラン戦争で、アジアの原油市場を車中におさめている。ウクライナ戦争では巨大の原油と天然ガスの欧州市場を手中に収めている。米国産LNGは西欧のLNG市場の4割近くを占めている(それまで0だった)。
産油国のナイジェリアも昨年12月ゲリラを空爆、トランプ政権はナイジェリア政府とも蜜月時代を構築している。
トランプ政権はUAEもOPECから離脱させ、アイアンドームのUAE版構築もあり、イスラエルと急接近している。(UAEとサウジの亀裂はイエメンの原油利権獲得にもある)
米国はユダヤ資本のセキユメジャーのシェブロン(ロックフェラー財閥系)を利用し、ベネズエラを奇襲攻撃して植民地化、原油を増産させている。
トランプ政権は軍事力でベネズエラの原油利権をすべて略奪、中央アジアのガザフもシェブロンに増産させている。
ただ、世界一の原油埋蔵量を誇るベネズエラではすでに鉱区開発も割り当てもなされているが、開発の前提となる電力供給が現状も停電が続く状態で足りず、まったく整備もされておらず、石油メジャーが自力で発電所を作るしかない。米政権が、米国産原油に加えベネズエラ産原油も輸出を采配することになる。
以上、
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