アイコン 「メッカ共同防衛協定」と米×イラン戦争 フーシ派のイエメン複雑怪奇 戦後原油暴落か


サウジアラビアはイラン戦争では、イランからサウジの米軍基地や米施設、米企業関係の原油施設などを攻撃されても、報復攻撃はしなかった。
 しかし、イエメンのフーシ派が紅海海上のサウジタンカーを攻撃したことより、サウジはフーシ派へ報復、現在は報復合戦となっている。

 サウジはサウジ主導のアラブ連合軍によるフーシ派攻撃となっている(ただ、UAEやクエート、カタールなどはイランに対して兵器による報復をしないものの、イランからの攻撃に対峙しており、サウジのフーシ派との戦争に、サウジと連合軍を組む力は以前に比し大きく削がれている。連合軍とは名ばかりが実態。

イエメン政府内の対立激化、イエメンに降って沸いた原油埋蔵、
南イエメンでは暫定政権と南部暫定評議会が対立
2025年12月、イエメンでは、フーシ派(北イエメン)と暫定政府軍に分かれ内戦状態だが、暫定政権内でも、イエメン南北分離派の「南部暫定評議会」(イエメン南部5県参加)が対立してきている。

イエメン東部のハドラマウト地方(オマーン側)で、原油埋の蔵量が確認され、「南部暫定評議会」が同地を支配したことに政府内の対立がはじまった。
「南部暫定評議会」にUAEが武器や軍用車両などを大量供与、サウジが支援するイエメン暫定政権は怒り、UAEと断交している。

対立している暫定政権と南部暫定評議会の本部もともにアデン湾に面する港湾都市アデンにあり対立激化、アデンの治安悪化により、暫定政権は2025年にサウジ・リャドに政府機能を移転させている。
こうしたサウジが支援する政府軍にしても、内部対立する「南部暫定評議会」の軍とは対立関係にあり、アデンの治安をさらに悪化させている。

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アラブ連合軍の実態
サウジはすでにアラブ連合軍を主導する立場ではなくなっている。イエメン原油でUAEと対立、UAEはサウジが主導するOPECからも脱退、カタールもアラブ連合の加盟国であるが、数年前までサウジとUAEが国交を断絶し、最近、国交を回復させている。カタールは天然ガスを主力としており、OPECからも脱退している。

残りはクウェートとバーレーン、ヨルダンなどとなるが非力、クウェートには多くの米軍基地があり、イランから多くの弾道ミサイルやドローン攻撃を受けている。ペルシャ湾内に浮かぶバーレーンは米海軍第5艦隊の指令部があるが、米軍施設などはイランから度重なる猛攻撃を受け、ホルムズ海峡の封鎖もあり、実質機能していない。

フーシ派とサウジの戦争は2015年にさかのぼる
2015年1月、イエメンではフーシ派がクーデターを起こし、大統領は辞意を表明した。しかし、2月になるとサウジが支援し大統領が辞意を撤回、南イエメンの暫定政府の大統領となった。

暫定政権側に対してサウジやアラブ連合国が資金や武器を供与、フーシ派にはイランが支援、スンニ派とシーア派の宗教戦争の様相もあり、内戦状態に突入した。

2015年10月には、内戦も激しくなり、怒ったフーシ派がサウジへ弾道ミサイルを撃ち込み、サウジと戦争状態に突入、2022年6月に停戦するまで、サウジはアラブ連合軍を率いてフーシ派の攻撃を続け、報復合戦となっていた。

 フーシ派が7月20日、サウジとの停戦を終了させ、イラン戦争に参戦、フーシ派は、紅海南端のマンデブ海峡を封鎖した。

米とイランがホルムズ海峡の封鎖をともに行っており、ペルシャ湾側からの原油輸出はほとんど不可能となっている。

サウジは、その代替の原油輸出ルートとして、紅海側のヤンブー市まで東西パイプライン(最大送油量は700万バレル/日)を敷設している。
紅海側のヤンブーに原油の積み出し施設もあり、また、原油精製施設、石油化学施設なども所在させている。

サウジ、原油輸出がイエメン・フーシ派に握られている
イラン戦争前は、日量200万バレルほどをヤンブーへ送油していたものの、イラン戦争により、現在はMAX700万バレルを送油、うち500万バレルは原油として輸出、200万バレルは石油精製・石油化学施設向けに送油している。その200万バレルもナフサなどに精製され、輸出されている。

サウジの昨年の輸出量は日1150万バレルであり、石油類を700万バレル輸出したとしても4割減という厳しい収入となっている。
ただ、ドバイ原油の相場は、戦争前は65ドル前後、トランプ戦争勃発より以降は平均して100ドル前後、輸出減での損失を価格高騰により35%ほど取り戻している。

しかし、フーシ派との戦争は、フーシ派のサウジに対する弾道ミサイルやドローン攻撃が続く一方、サウジ側は、空爆を主体としたフーシ派攻撃、また、南イエメン政権軍と政権構成の氏族部族の武装勢力とがフーシ派と対峙させ、フーシ派がすでに制圧したモカ等紅海南部地域を奪還すべく、領地としていた副大統領軍がフーシ派と戦闘状態にある。

そうした中、9月に入り、フーシ派はサウジの首都リャドを弾道ミサイル攻撃、ほとんど迎撃されたが、空港の燃料貯蔵所が攻撃され炎上、ヤンブー他サウジの各地にある石油精製所や石油貯蔵所を攻撃、パイプラインも攻撃を受け、タンカーも攻撃を受け、原油の輸出を停止、1週間後に主裕福させ、送油を再開させたものの、送油量はMAXより大幅に少ないようだ。こうした事態がエスカレートし続けた場合、パイプラインも原油精製所も再び攻撃される可能性は高い。

7月29日にトランプの要請に応え、サウジのムハンマド皇太子はゲーム感覚でイラクの民部組織へのサウジ+米軍の奇襲攻撃。イラク民兵と同じシーア派のフーシ派を怒らせる原因の種を撒いていた。ムハンマド皇太子はトランプに対して2度に渡り、フーシ派攻撃に軍事的支援を要請したが、トランプから2度とも断られている。
米国はサウジに軍事顧問団を送っており、早期警戒機や偵察衛星画像、無人機による偵察情報などを提供しているものとみられる。
こうした協力は22年の停戦までも行っており、米軍の地図情報が古いのか、イエメンでもサウジ軍は民間施設を誤爆をしていた。(米軍の)

「メッカ共同防衛協定」・・・サウジ・トルコ・パキスタンの3ヶ国間の安保条約
サウジアラビア国防省およびパキスタン軍の声明によると、サウジ、パキスタン、トルコの各軍最高司令官は25日、サウジの首都リヤドで開催された「メッカ共同防衛協定」の会合で、情報共有、軍事協力、お⁠よび能力統合の強化について協議した。
声明によると、各国の国防軍司令官および参謀総長は、サウジアラビアが直面する安全保障情勢と脅威について検討し、イエメンの親イラン武装組織⁠フーシ派による聖地メッカやサウジの民間・経済インフラを標的とした攻撃を非難した。

サウジ⁠アラビア、パキスタン、トルコは8月7日、集団的抑止力と軍事協力の強化⁠を目的とする「メッカ共同防衛協定」に署名した。協⁠定では、3ヶ国のいずれかに対する武力攻撃は3ヶ国全てに対する攻撃と見なされると定めている。

フーシ派、イラン戦に参戦
親イランのイエメン・フーシ派は7月20日、米軍がイラン攻撃を再開させたことから、予告通り、紅海封鎖の実力行使に入った。
フーシ派は、紅海中北部に位置する原油積出港がある港湾都市ヤンブー沖のサウジタンカー2隻を攻撃し、1隻を炎上させた。残る1隻は報道なく不明。その後も複数のサウジタンカーを攻撃している。
サウジ軍(連合軍)は、フーシ派に対し報復攻撃(主に爆撃)、サウジが支援する南イエメン政府の軍や政府系の部族氏族の武装勢力とフーシ派の内戦も南部の紅海側や各地で激しくなっており、報復合戦となっている。

9月には、フーシ派はイエメン紅海側南部の港湾都市モカ、紅海南端のマンデブ海峡内のプリマ島を制圧し、フーシ派は紅海側沿岸の全域を制圧し、紅海封鎖を確実なものとしている。
それまでモカ市などイエメン南西部は政府軍でも副大統領軍が支配していた。ただ、モカの東側のタイズは政府軍が支配しており、現在も戦闘が繰り広げられている。こうした戦闘地域でもサウジ軍がフーシ派陣地を空爆している。北イエメンの首都サヌアの東に位置するマリブも部族が支配しており、フーシ派の攻撃にさらされながら、強固な結束および抵抗により、陥落している。

「メッカ共同防衛協定」
今回のサウジ、トルコ、パキスタンの安保条約において、3ヶ国連合軍はフーシ派がサウジを攻撃した場合、パキスタンやトルコもサウジへ軍事支援することになっている。
仲介する米×イランの停戦交渉に、何等か影響が出る可能性がある。

ただ、イランにとってもパキスタンに停戦を依存しているところも大きく、パキスタンを袖にすることはできない。イランにはパキスタンのほかカタールやオマーンも交渉仲介している。
イランも立場上、フーシ派のサウジ攻撃に関し、関与していないとの立場をとっている。

米トランプは、昨年フーシ派と停戦しており、各種ミサイルの不足もあり、9月のサウジへの米軍派遣要請を2度にわたって拒否している。

サウジはフーシ派の攻撃に対してサウジが主導するアラブ連合軍で報復攻撃しているが、アラブ連合軍は加盟各国がイランからの攻撃やホルムズ海峡の封鎖により原油やLNGの輸出が制限され、戦力をアラブ連合軍にさくことも限定的となっている。
サウジの盟友UAEはすでにサウジ主導のOPECから脱退、イエメンの原油埋蔵遅滞の利権を巡り、サウジとUAEは対立関係にある。
カタールも以前から天然ガスが生産主体であり、OPECから脱退している。

今では部族・氏族により構成されている中東各国にあり、利害関係が絡み、2022年までのような結束力はない。

なお、サウジの東西パイプラインへの攻撃は、イラクから飛来したドローンによるものとされている。
7月29日、サウジのムハンマド皇太子はトランプに乗せられ、米軍+サウジ軍が共同して、イラクの親イラン派民兵組織を奇襲攻撃して大成功、民兵組織は幹部含む20数名が爆殺した。しかし、当民兵組織はイラク政府やイランの革命防衛隊との関係は深いものの、イランに対し積極的な支援は行っていなかった。

こうしたことから、サウジのパイプラインに対するドローン攻撃・炎上をイランの民兵組織が実行したとすれば、米+サウジ軍の奇襲攻撃に対する報復とも受け取れるが、イラク民兵組織側から犯行声明は出ていない。

イラクとの関係
イラクはイランと同じくシーア派が人口の過半を占め、親イラン武装組織もいくつもある。米ブッシュ政権は、イラクのフセイン大統領(スンニ派)を大量破壊兵器所有の虚偽情報をデッチあげ、攻撃し、政権を崩壊させ、米主導でシーア派勢力から新政府を樹立させた。当初、新政府は脆弱で、イラク第2の都市モスルでは、米軍が撤退に伴い政府軍に大量に残した兵器(兵器のほか装甲車等も)を、ISがモスルを急襲して占領して奪い台頭、IS戦争を長期化させる原因ともなった。

オバマ大統領時代には、IS(スンニ派原理主義/スンニ派の旧イラク軍も大量参加)に支配されたモスルを奪回する作戦を立て、イラン政府に諮り、イラクのシーア派武装組織に加え、イラン革命防衛隊を民兵として参戦させ、空からは米軍がIS陣地を攻撃、そうした総攻撃により2ヶ月余りで陥落させた経緯がある。(アルカイダもスンニ派原理主義の組織)

モスル奪還戦争は2016年3月開始、1年後の2017年3月にISのモスルを陥落させた。2017年1月からはトランプ1政権が誕生していた。

イラクは、シーア派主体の政権だが、イラクはアラブ人、イランはペルシャ人と微妙に異なる。
サウジやUAEなどほとんどはスンニ派であるが、トルコもパキスタンもスンニ派が2/3以上を占める。(エジプトも9割はスンニ派)。

イエメン内戦は宗教戦争の様相も
一方、イエメンのフーシ派はシーア派系のザイド派(首都:サヌアを擁しイエメン北西部の高原地帯が支配地域)と、
サウジや西側が支援するイエメン政府(南イエメン政権)はスンニ派の氏族・部族支配地が県となり、暫定政府を構成している。

フーシ派(北イエメン政権)とザイド派は同一氏族(フーシ氏族)であるのに対し、政府は8氏族が参加した政府であり、政府軍の統一性は、政府軍、大統領軍、副大統領軍、各氏族の軍など約12組織に分かれ、それぞれが行動し、統一性に乏しいとされる。そのため、サウジの支援も氏族間の利益により、共同作戦における氏族間の参加度合いも異なるという。
南イエメン政権は安定しておらず、首都のアデン(アデン湾に面する港湾都市)でも不穏な動きもあり、2025年から政府機関はサウジのリャドに臨時政府を設け移転している。

このように、中東間の戦争の構図は、スンニ派とシーア派(イラン・イラク・北イエメン・レバノンヒズボラ)に分かれる。

★★戦闘中
★米+イスラエル × イラン…イラン戦争 2年28日に米イスラエルが奇襲攻撃し開戦
イスラエル × レバノンヒズボラ…戦争
☆米+サウジ・・・イラク民兵を奇襲攻撃 7月29日
★サウジ連合軍+イエメン暫定政権軍 × フーシ派・・・7月20日フーシ派がサウジタンカーを攻撃して開戦
☆今後の可能性
メッカ共同防衛協定(サウジ+トルコ+パキスタン) 対 イラン+フーシ派

★★宗教戦争
スンニ派・・・・サウジ+UAE+クウェート+カタール+ヨルダン+レバノン+イエメン暫定政府側
         +トルコ+パキスタン
シーア派・・・イラン+イエメンフーシ派+レバノンヒズラ+イラクの親イラン武装民兵
+サウジ連合軍側のバーレーン
+イラク政府は中立
★★原油戦争
 サウジ主導のOPEC・・・・UAE脱退
カタールは以前脱退(サウジとUAEは以前国交断絶、現在回復)
 イエメン原油戦争・・・サウジ×UAE対立
サウジが(南)イエメン暫定政権を支援(2015年から継続して支援)
        UAEが南部暫定評議会を支援・・・評議会が原油埋蔵地帯のハドラマウト
県を制圧、サウジとUAEが犬猿の仲に。そして今年4月、UAEはOPEC
脱退。

★★トランプ米原油 × 中東原油
☆イラン戦争は米国の思惑通りイランがホルムズ海峡封鎖、原油需要国の日韓はじめアジアの大市場を米国が獲得。
  
☆ウクライナ戦争では露制裁により、米国が巨大欧州市場の原油と天然ガス市場を0から現在4割程度獲得
☆トランプ米原油・・・ユダヤ原油メジャ-(ロックフェラーのシェブロンなど)
       世界一原油埋蔵量が大きいベネズエラの原油利権…トランプが軍事力で軍事政治を制圧(筆頭:シェブロン)

★★イラン戦争後の原油市場・・・
OPECプラスのガザフスタンも産油利権と産油施設の多くをシェブロンが所有、イラン戦争前にトランプが、増産させ、原油価格の下落阻止のため減産を主導していたOPECプラスを空中分解させ・形骸化させ、今日がある。
べネズエラの原油利権もシェブロンが大きく、トランプが掌握しており、増産が拡大し続ければ、OPECを脱退させる可能性も大きい。(昨年12月、OPEC加盟国のアフリカ・ナイジェリアでも、トランプ軍は、ナイジェリア政府軍を支援してゲリラ掃討の空爆を実施していた)

UAEも今年4月OPEC脱退、アメリカは最初からOPECに参加しておらず、中東産原油の販売先のアジア市場は今では米国産原油にとって代わられている。
イラン戦争後は、中東産は今後、販売先がなくなり(大きく減少)、原油市場はスポット価格が主導して大暴落する可能性が高い。
トランプのイラン戦争は米産原油主導へのOPEC破壊戦争でもあり、ウクライナ戦争では、バイデンが欧州の巨大市場をロシア産から米産原油とLNGに置き換え大成功、ベネズエラ制圧、イラン戦争後は世界のエネルギー戦争に君臨するトランプとなっている。
ただ、トランプにはイラン戦後、ウクライナ戦争後の原油市場についての計略は全く見えてこない。
トランプと原油ユダヤメジャーとの関係は深いが、投資ファンドが巨額投資するシェールオイル軍団はトランプの言うことは聞かず、軍団には規制なしの共和保守派も多く減増産の命令もできず、コントロールできない。

 

 

 

2025年世界の原油生産量1億バレル/中東3100万バレル

2025年原油生産量

 

2025年

2023年

 

MT

万バレル

米国

865

1,935

サウジ

529

1,138

ロシア

518

1,107

カナダ

314

565

中国

216

419

UAE

209

392

イラク

200

435

ブラジル

193

350

イラン

164

466

クウェート

137

290

カザフスタン

100

 

ノルウェー

100

 

メキシコ

87

 

ナイジェリア

74

 

ベネズエラ

未掲載

 

アルジェリア

65

 

アルゼンチン

46

 

インドネシア

32

 

英国

31

 

インド 

31

 

エジプト

28

 

マレーシア

24

 

豪州

15

 

タイ

15

 

MTは世界エネルギーデータ版

バレルは外務省版

 

[ 2026年9月28日 ]

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