【東京】高尾山トリックアート美術館が11月末閉館 累計200万人超来館、30年の歴史に幕
東京都八王子市の「高尾山トリックアート美術館」が、2026年11月30日をもって閉館する。同館が9月8日に公式サイトで発表した。1996年4月の開館から30年間にわたり営業し、これまでに延べ200万人以上が訪れた観光施設が歴史に幕を下ろす。
同館は京王線高尾山口駅から徒歩約1分に位置し、錯視を利用した立体的な絵画や体験型展示を特徴としてきた。高尾山登山と組み合わせて訪れる観光客に加え、家族連れや学校行事などでも利用されてきた。
閉館の背景について、9月の朝日新聞や10月27日のタウンニュースは、館長自身の体調面を報道している。朝日新聞は後継者がいないことも閉館理由として伝えており、30年間続いた施設は運営の継承ができないまま営業を終了することとなった。
1996年開館、延べ200万人以上が来館
高尾山トリックアート美術館は、1996年4月に開館した。目の錯覚や遠近感を利用し、平面に描かれた絵が立体的に見えるトリックアートを中心とした体験型施設として営業を開始した。
館内は地上2階、地下2階の計4フロアで構成され、古代エジプトをイメージした空間や、不思議な感覚を体験できる展示などを備えている。
通常の美術館とは異なり、来館者が作品に触れたり、絵の中に入り込んだような写真を撮影したりできることが特徴。高尾山口駅に近い立地もあり、高尾山観光の立ち寄り先として親しまれてきた。
9月10日付の朝日新聞によると、開館からの来館者は延べ200万人以上に上る。家族連れや観光客など幅広い層を集め、八王子市高尾地区の観光施設として30年間営業を続けてきた。
館長の体調と後継者不在が背景に 営業継続を断念
施設公式サイトは9月8日、11月30日をもって閉館することを告知。30年間にわたる来館者や地域関係者への感謝を伝えた。
公式の閉館発表では具体的な理由を説明していないが、9月10日付の朝日新聞は、館長が体調を崩し、後継者がいないことを閉館の背景として報じている。
また、10月27日付のタウンニュースの取材では、館長が自身の体調面などを理由として閉館を決断したと説明。閉館に寂しさを感じながらも、長年にわたって来館した利用者との思い出を振り返っている。
朝日新聞の取材では、館長は経営が良好な時期に営業を終えるという考えも示している。このため、今回の閉館を売上不振や経営破綻によるものと断定することはできない。
閉館後の運営法人の事業継続、従業員の処遇などについては、現時点で確認できていない。
作品に触れる体験型展示、年1~2回の修復を継続
同館が長年にわたり重視してきたのが、来館者自身が展示に参加する体験型の美術館という考え方だ。
館内には、遠近感や大きさの錯覚を生み出す「エイムズの部屋」や、空中に立っているような感覚を楽しめる「空中神殿」などの展示が設けられている。
施設の公式ギャラリーには、奈落の谷底に架かる橋を渡るような「一本橋」や、鏡を利用した不思議な空間など、写真撮影と体験を組み合わせた作品が紹介されている。
作品に触れることを認める展示方法は、維持管理にも手間がかかる。同館は9月の閉館発表で、来館者が触れることで傷んだ作品について、年1~2回の修復を続けてきたことを明らかにした。
作品の保存だけを目的とするのではなく、来館者が体験することを重視した展示方法を30年間維持してきた点も、同館の特徴となっている。
視覚研究の分野からも評価 日本色彩学会が見学会を企画
高尾山トリックアート美術館の展示は、観光客向けの娯楽施設としてだけでなく、視覚や錯視に関する研究分野でも注目されている。
日本色彩学会関東支部は10月1日、同館の閉館を受けて会員向け見学会の開催を案内した。
同学会は、紙に印刷された図形などでも体験できる錯視とは異なり、実際の空間を必要とする錯視については体験機会が限られると説明。同館を大規模な空間型錯視展示の施設として評価している。
閉館によって、高尾山口駅周辺の観光施設が一つ減るだけでなく、大型の体験型錯視展示に触れる場所が失われることになる。
ただし、展示作品が他の美術館へ移設されるのか、保存されるのか、あるいは公開を終了するのかについては、現時点で具体的な発表を確認できていない。
運営法人は株式会社フェイス 法人番号も確認
同館の運営法人は株式会社フェイス(東京都八王子市、法人番号2010101003394)。同社の採用情報では高尾山トリックアート美術館を事業所として掲載しており、所在地は経済産業省のgBizINFOに登録された法人本店と一致する。
法人の所在地は東京都八王子市高尾町。高尾山口駅周辺で観光・娯楽施設を運営してきた。
今回確認できたのは、同社が運営する高尾山トリックアート美術館の閉館であり、株式会社フェイスの解散や破産手続きなどが行われたことを示す情報は確認できていない。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名 | 高尾山トリックアート美術館 |
| 所在地 | 東京都八王子市 |
| 運営法人 | 株式会社フェイス |
| 法人番号 | 2010101003394 |
| 開館 | 1996年4月 |
| 来館者数 | 累計200万人以上(報道による) |
| 施設構成 | 地上2階・地下2階の計4フロア |
| 最寄り駅 | 京王線高尾山口駅 |
| 閉館予定日 | 2026年11月30日 |
閉館は11月30日 建物の今後は未定
同館は11月30日まで通常営業を予定しており、公式案内では営業時間を午前10時から午後6時、最終入館を午後5時30分としている。木曜日を休館日としているが、祝日などは営業する場合がある。
2026年11月時点の通常入館料金は、大人1,650円、中高生1,150円、小学生800円、4歳以上の幼児600円となっている。
閉館後の建物の用途や跡地の利用計画については、公式発表で具体的な案内は確認できていない。
30年間にわたり高尾山観光を支えてきた体験型施設の営業終了により、高尾山口駅周辺の観光施設の構成は変わることになる。ただし、周辺商業施設への経済的影響や来訪者数の変化を示す具体的な試算は確認できていない。
今後は、建物の利用方針や展示作品の取り扱いなどが確認事項となる。
※2026年11月2日時点の確認情報。累計来館者数は報道に基づく。閉館理由は施設公式発表と館長への報道取材を区別して記載。今回の閉館は株式会社フェイスの倒産・廃業を意味するものではない。





