ガタフィ大佐の次男釈放/民兵組織 リビア
まだ、混乱が続くリビア、大きくはイスラム勢力のトリポリ政権と世俗派のトブルク政権に分かれるが、トリポリ派は2016年10月国民合意政府がクーデターで政権掌握している。しかし、今年5月27日にはトリポリ市内で民兵同士の戦闘があり、双方で52人が死亡する大規模な衝突であった。(今回の民兵同士の激しい衝突は、新トリポリ政権が市内の民兵すら、まだ掌握しきっていないことを意味する)
2大政権だけではなく、ベンガジやトゥアレグ族など各地に武装した地域勢力や種族がおり、それに加えISやアルカイダも活動しており、リビア全土を纏め上げることは、ほとんど不可能な状態となっている(・・・イラクと似てきた)。
そうした中、リビアの旧独裁者、故ムアマル・カダフィ大佐の次男で、デモ隊を虐殺した罪に問われ2011年11月から拘束されていたセイフイスラム・カダフィ(44)が釈放された。被告を拘束していた西部ジンタンの民兵組織「アブバクル・アルサディク旅団」が10日、交流サイト「フェイスブック」で発表した。
2016年4月、リビア東部のトブルク政権(世俗派)は、セイフイスラムに恩赦を与えた。同年7月、被告側弁護団はこの恩赦を根拠として釈放を請求。ただ、国連(UN)や欧州(EU)が支援している新統一政府(国民合意政府、GNA)は、人道に対する罪の疑いが指摘されているセイフイスラムに恩赦法を適用できないとの判断を示していた。
リビアでは、トブルク政権が、トリポリを拠点とする統一政権の承認を拒否しており、国家の分断が続いている。今回の釈放は、ガタフィ死後もガタフィを支持する武装勢力「緑のレジスタンス」が存在していることから、さらにリビアがグチャグチャになる可能性もある。
<カタールとの関係>
カタールはトリポリ政権を支持していたが、クーデターで負けた国民救済政府側を支援している。サウジは世俗派を支持しており、現トリポリ政権の国民合意政府によりリビア再統一をはかりたいサウジにとって、カタールは目の上のタンコブ。
カタールは、食糧の8割を輸入に依存しており、その輸入がほとんど閉ざされたことから、対岸のイランが食料を緊急空輸のほか船舶で緊急輸送している。
両国がより結び付きが強くする中、ロシアがイラン・カタールへ急接近し、湾岸諸国をさらに混沌とさせる事態に。
イスラエルが敵とするイランは米国も敵とする。サウジがイランと国交断絶をしたのはイエメン問題、サウジ支持政権とイランが支援するフーシ派(イスラムシーア派)の政権が戦闘状態にあり、サウジ支持政権にGCC(湾岸協力会議、カタールも出兵)が出兵させ、サウジは空爆も行っている。イランに対する米国のスタンスとサウジのスタンスは異なる。
王政サウジ中心の中東勢力問題、北アフリカ問題は、宗教宗派問題などいろいろ絡み難しすぎる。
米トランプがサウジやイスラエルを歴訪し、今回の国交断絶の種を撒いたとされる。国内外にばい菌ばかり撒き散らす家族経営の不動産屋の延長線上のホワイトハウスとなっている。
原油価格は、カタール問題だけではなく大産油国リビア問題でも上下する。
リビアのゴチャゴチャ |
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俗称 |
組織 |
支援国 |
備考 |
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世俗派 |
リビア国民代議院(トブルク政府) |
エジプト、UAE、仏、米、英、ヨルダン、ロシア、チャド |
国際認証 |
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新トリポリ派、イスラム |
国民合意政府(リビアの夜明け、統一政府) |
米、伊、UN<EU |
トリポリ分裂勝利派 |
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旧トリポリ派、イスラム |
国民救済政府 |
スーダン、カタール、トルコ |
トリポリ敗退派 |
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テロ集団 |
ISIL、アルカイダ |
イスラーム・マグリブ諸国のアル=カーイダ機構(AQIM) |
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地方武装集団 |
ベンガジ革命派シュラ評議会 |
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デルナのムジャーヒディーン・シュラ評議会 |
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アジュダービヤー・シュラ評議会 |
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ガートのトゥアレグ族民兵 |
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緑のレジスタンス |
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旧カダフィ派 |
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自治確立 |
キレナイカ |
原油産地 |
エジプト隣接内陸部 |
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・ガタフィ駆逐後、2012年7月反政府勢力は統一暫定政府を樹立したが、組閣できず分裂、世俗派が2014年7月トリポリからドブルクに移動してトブルク政権樹立、イスラム勢力はトリポリ政権樹立。トリポリ政権は2016年10月クーデターで国民合意派が政権掌握。なお、旧宗主国はイタリア。 |
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