再びパリ緊張 AK-47で武装男が郵便局占拠
先般、パリで発生した新聞社とユダヤ食品店の襲撃事件、アルカイダやイスラム国が関与したとされるが、ベルギーでも襲撃計画を企てていたイスラム国関係者宅を警察が急襲した。
16日、フランス・パリ(Paris)北西のコロンブ(Colombes)にある郵便局で武装した男1人が2人を人質に取って立てこもった。過激派による襲撃事件との関連性は不明だという。
警察関係筋によると、郵便局からは数人が逃げ出した。また男は、手投げ弾とカラシニコフ(Kalashnikov)自動小銃で武装しており、支離滅裂なことを言っているという。
郵便局周辺は封鎖され、上空にはヘリコプターが飛び、地上には治安部隊が配置されている。
以上、AFPなど参照
<カラシニコフ(AK-47)とは>
欧州には、どうしてこんなに自動小銃が氾濫しているのだろうか。カラシニコフ(AK-47)は自動小銃とも軽機関銃とも呼ばれる1947年に旧ソ連で開発され、旧ソ連圏で生産された小銃。構造が簡易で世界一屈強とされ今だ現役。
<欧州と中東>
欧州は北アフリカとは海で隔たるが旧植民地、移民受け入れなどで往来も頻繁。中東とは地続き、旧ソ連圏は平和的に解体したが、旧ユーゴだけは内戦を得て2008年分裂した国家が誕生した。しかし、中東では1948年イスラエル国家が樹立してから戦争状態がどこかで続いている。
中東各国には、イスエラルと運命共同体の英国と米国が中東戦争では支援し、旧ソ連圏が反イスラエルのアラブ諸国へ武器提供をはかってきた。その上、アラブ各国には石油利権があることから旧宗主国(植民地にしていた国)もちょっかいを出す関係にある。紛争のたびに大量の武器が欧米や旧共産圏から中東にもたらされてきた。
列強・覇権国と西アジア・中近東・北アフリカ諸国
|
|||
|
植民地国
|
安定度合
|
|
インド
|
イギリス
|
安定
|
ヒンズー教
|
パキスタン
|
イギリス
|
安定
|
イスラム教
|
アフガン
|
イギリス・ロシア
|
不安定
|
イスラム教
|
イラン
|
王国
|
安定
|
イスラム教
|
イラク
|
イギリスとフランス
|
不安定
|
イスラム教
|
シリア
|
フランス
|
不安定
|
イスラム教
|
ヨルダン
|
王国
|
安定
|
イスラム教
|
レバノン
|
フランス
|
安定
|
イスラム教とキリスト教
|
パレスチナ
|
イギリス
|
不安定
|
イスラム教
|
サウジ
|
王国
|
安定
|
イスラム教
|
クエート
|
イギリス
|
安定
|
イスラム教
|
首長国連邦
|
イギリス
|
安定
|
イスラム教
|
イエメン
|
イギリス
|
不安定
|
イスラム教
|
エジプト
|
イギリス
|
安定
|
イスラム教
|
チュニジア
|
フランス
|
安定
|
イスラム教
|
リビア
|
イタリア
|
不安定
|
イスラム教
|
アルジェリア
|
フランス
|
安定
|
イスラム教
|
モロッコ
|
フランス
|
安定
|
イスラム教
|
・中東から西アフリカにかけ支配していたオスマン帝国は1920年のセーヴル条約により実質壊滅、列強国による石油利権獲得が台頭して統治に至る。
|
また、イスラムには宗派間の争いがあり、大金持ちとなった中東産油国の王国やイランからは、一方の宗派の武装勢力へ膨大な資金と武器が供給され、終わりのない内戦が続いている。
こうして中東には武器が溢れており、その武器が旧ソ連や米国がギブアップして徹底したアフガニスタンやアフリカの反政府勢力に流れ、内戦に明け暮れる混沌した状況を作り出している。
旧ソ連圏が崩壊したことによりアラブ諸国は、国家間の争いはほぼなくなったものの、宗派間の争いに化け、イスラム原理主義のアルカイダなど超過激派が台頭、中東の紛争地に横断的な勢力を保持している。このように宗派間の争いは、より陰湿で長期化複雑化させている。
特にイラクは、米軍が撤退するに当たり、少数派のスンニ派(元強権政治のフセインはスンニ派)を排除した多数派のシーア派政権を誕生させてしまい、スンニ派勢力の不満が爆発、その若者たちを糾合したのがイスラム国であった。
また、米国は撤退に当たり大量の武器をイラク軍に供与したが、イラク第2の都市モスルでの一件のように、イラク軍の守備隊が反政府勢力の攻撃を受け、簡単に武器弾薬をそのまま放棄し逃げ去り、膨大な武器弾薬がイスラム国の手に渡っている。
当然、こうした60年70年続く中東の争いでの武器が、地続きの欧州へ流れ込んでも何ら不思議ではない。欧州各国にしても以前のような東西の壁や緊張感があるわけでもなく、陸上や海岸線からの流入を防ぐこともできない。
最近では、欧州国籍のアラブ人や白人たちさえイスラム国に大量に参戦(80ヶ国ともされる)、
帰国した欧州人の母国では、パリ事件のような事件を企てる可能性など危惧されており、より欧州の治安は不安定化しているといえる。
現在、イスラム国攻撃に、被害の少ない空中から攻撃しているのは、アメリカ・イギリス・フランス・サウジアラビア、アラブ首長国連邦、ヨルダン、バーレーン、カタールなどである。それにイランはイラクのシーア派政権を守るため、イスラエルは防御のための先制攻撃として独自に空中攻撃している。
サウジなどの産油国はスンニ派であるが、米国と仲良しで絶対権力者の王様や首長が統治する国であり、原理主義勢力を排斥している。
空からの攻撃にもギブアップしないイスラム国の軍資金は、産出される原油の密売による資金を持ち(日に3億円稼いでいるとされているが、いまや原油価格暴落で半減しているものと見られる)、誘拐した欧米人たちから巨額の身代金(家族が支払っている)をせしめているとされる。
アメリカのシェールガス主導の原油安政策は、ウクライナ問題を抱えるロシアを経済的に窮地に追い込み、今のところアメリカの目論見は成功している。原油安が続けば、イスラム国も窮地に追い込む可能性が高い。金の切れ目が縁の切れ目となり分裂していく可能性が指摘される。
ただ、アフガンでのタリバン勢力の財源は山岳地帯の麻薬栽培、裏社会の販売ルートが確立されており、欧米は断ち切れないどころか、自国で麻薬を蔓延させている。
(これも中国が化学物質による合成麻薬の巨大産地となっている。生産量を拡大させれば、アフガンやメキシコ・中南米の麻薬産地は大打撃を受けるのだが・・・、デタラメで危険過ぎる中国の危険ドラッグの大消費国は欧米日となる)
今や、欧州各国、特にマフィアの母国であるイタリアでは、麻薬や非合法売春など地下経済まで自国経済の規模として算出する有様となっている。
アフリカでもナイジェリアで極悪非道の限りを尽くしているボコハラムに至っては、身代金のほかは、軍資金がどこから流れているのかも不明となっている。
宗教・宗派・原理主義の争いが耐えない世界に、キリスト教者の白人たちが、その場限りの正義と称して軍事的に侵攻しても、中途半端で撤退、そこに残された大量の武器が内戦を拡大させている。
もしも白人世界がこうした地域に侵攻するならば、旧ユーゴのように徹底して侵攻し、内戦を完全に終結させる必要があるが、すでに当該地域へは、あまりにも武器がもたらされ、それが他国へ溢れ出しているのが実情。弾薬が尽きるまで内戦は続こうが、欧米はじめ世界中の武器商人たちが弾薬を当該地域へ売り込んでいるのも事実である。
コメントをどうぞ