アイコン 貿易戦争 中国301条報復リストが与える米国への影響

 

 

1、中国の報復リストは14種類106品目
2、リストには、大豆やトウモロコシなどの農作物、自動車や航空機などの輸送機器、ウイスキーやたばこなどの嗜好品と幅広い品目。
3、米国からの輸入額は500億ドル相当/昨年実績(米国と同額)
4、追加関税賦課は25%(米国と同じ率)
5、発動時期は、米国が発動してから。

<米国の農業団体への揺さぶり>
中国商務省が発表した関税対象品目には、大豆のほかにもトウモロコシ製品、未加工の綿花、牛肉、たばこなどトランプ大統領の支持基盤である農場地帯で主に生産される農産物が大量に含まれている。
先般の鉄鋼制裁では、中国側が米国から輸入している豚肉や果実・ワインなどを報復課税し、すでに実施している。
昨年、米国産大豆の3分の1は中国に輸出され、その輸出額は合計140億ドル(1兆5千億円)に上る。そうした大豆の多くは、米大統領選でトランプ氏が勝利した州で生産されている。
すでに米国では、畜産や農業の各生産者団体がトランプ政権に対して貿易戦争反対の狼煙を上げている。

スポンサード リンク

<米自動車業界>
中国は昨年、米国からの自動車輸入もカナダについで2位だった。中国は現在輸入自動車に25%の関税をかけており、25%追加賦課された場合、50%の関税になることから、また、自動車部品までそうした追加関税をかけられた場合、GMだけでも米国産と中国合弁生産を合わせ400万台初突破の404万789台販売しているが、価格が上昇すれば価格競争力をなくし、中国市場を失うことにもなりかねない。因みにGMの米国での販売台数は299万9,605台だった。
ただ、米自動車業界は中国への輸出車を、車種にもよるが米国からではなく、ほかの海外工場から中国へ輸出する可能性も高い。それでも、米国工場の稼働率が大幅に悪化することになる。代賛できる市場はない。

<ボーイング社に与える影響>
アメリカを象徴する米ボーイング社の航空機、同社は昨年、世界各国に引き渡した航空機の26%にあたる202機を中国へ引き渡し、今後20年間で7,240機、1兆1千億ドル相当の航空機を中国に販売すると予想されている。
ライバルの欧州エアバスは以前から中国で組み立てている。ボーイングも昨年末、組立工場を中国に完成させたばかり。ここでも航空機部品が今年から大量に米国から輸入されることから、中国が航空機部品にも課税賦課した場合、価格が高くなれば中国側が引取りを拒否する恐れやボーイング社が利益を大幅に損ねることになり、今後の中国側からの発注にも大きく影響する可能性も高い。

<中国側の歩み寄りもむなしく・・・>
中国は昨年、米製半導体を105億ドル輸入しており、中国は米国の301条発動を回避するため、米国側へ100億ドル分増加させてもよいと発言していた。(トランプ政権は対中強硬派ばかりになり、現状交渉もせず制裁へ動いている)
しかし、米製半導体は、多くが中国進出の米国企業(アッブルやデル)の製品に組み込まれており、同じく組み込まれている韓国のサムスン電子の半導体を代賛して輸入させることには無理があると見られる。ただ、汎用性が高いDRAMなどは輸入拡大可能。
米国はこうした中国で生産される準米国製の携帯電話・タブレット・パソコンなど電子製品については、米国の消費者に直接関係することから301条リストから外している。
当然、中国は我が身を犠牲にしても、米トランプ政権にダメージを与える品目を選ぶことになる。特に共和党支持団体の業種は狙い撃ちされる可能性が高い。

・・・お互い、話し合いで解決すべきところだが、これは貿易の名を借りた戦争、御託を並べ一方的にもう一方に対して戦争を仕掛ける。勝っても負けても多大なる犠牲が出る。アフガンやイラクのように底なし沼に引きずり込まれることにもなりかねない。
 

スポンサード リンク
[ 2018年4月 5日 ]

 

 

 

関連記事

 

 

  • この記事を見た人は以下も見ています
  •  
  • 同じカテゴリーの記事です。
  •   
スポンサード リンク
 


PICK UP


PICK UP - 倒産