アイコン サウジの石油精製施設の回復再建には最低でも6ヶ月以上かかる 

 

 

イエメンのフーシ派のドローン攻撃、これまでもサウジ連合軍の空爆に対して、ミサイルやロケット砲によるリャドなどへの報復攻撃を行ってきたが、サウジの迎撃ミサイル網によりほとんど撃墜されていた。しかし、最近は安価なドローン攻撃を仕掛け、パイプライン中継基地など狙い火災などを発生させていた。

攻撃用ドローンは一方通行で飛距離を延ばせ、それに対する要所の防御網をサウジが構築していなかったことが、今回の世界最大の石油精製施設が攻撃を受ける原因となっている。

ドローン攻撃機は低速で低空を飛び、敵国の防御用レーダー網にかからないうえ、攻撃はGPSなどにより命中度は非常に高まり、軽量の爆薬搭載(長距離飛行を可能にする)で目標物を効果的に攻撃できる。
サウジ側は何らかの感知レーダーを要所地の周囲に設置し、感知した場合、ミサイルで撃ち落すか、電波・レーダーの妨害波を出し、飛行できなくするしかない。

今回の石油精製所の爆発での再建は1年以上かかるかもしれない。ほとんど施設の設備はプラントごとの別注品であり、過去の設計図どおりに製造するか、最新整備仕様にするかでも再建期間は異なるが、機器や部材を製造するのには長期間を要する。

生産減分についてサウジは、地下貯蔵所に数千万バレルの備蓄を用いるとしているが、減産が570万バレルとすれば、1ヶ月も持たない量でしかない。
アメリカ、ロシア、イラクなどが増産して穴埋めするしかない。どこまで増産することでサウジ供給不足分のカバーをできるか、しばらく見ていく必要がある。

もしも、米軍がイランを攻撃するならば、イランはペルシャ湾の機雷封鎖を実施、ミサイル大量報復攻撃、ドローン攻撃が行われ、再度、石油制裁施設やドバイなどが攻撃を受ける可能性がある。
また、イスラエルから攻撃を受けているイラクの親イラン派のサドル師の民兵組織も動き、中東全体がこれまで以上に広範囲にグチャグチャとなると見られる。
例え、米軍・サウジ軍・どさくさにまぎれたイスラエル軍が、圧倒的に勝利したとしても、イラク・クウェート・UAE・サウジ(一部紅海側からの輸出あるが、パイプラインを破壊された場合は紅海側も不能)からの原油輸出は、ペルシャ湾の機雷が完全に除去されるまで長期間封鎖され、原油価格は120ドル以上に跳ね上がることだろう。

トランプの失敗は、サウジとイスラエルの意向に沿い、イラン核合意からの離脱にとどまらず、強力な貿易制裁を行ったことだろう。
武器商人のトランプは、カタールに対するサウジ・UAEの国交断絶に際してもサウジに賛同を表明するなど安保音痴をさらけ出すほどの人物(カタールには中東最大の米空軍基地がある)。

トランプは戦争をしたくなかったら、イランを利用してイエメンの和平合意に向け、動くべきだったろう。そうすれば、次期大統領選挙でも高得点を稼げたと見られる。
現実は、イエメンでは米軍の衛星や無人・有人の偵察機による偵察情報をサウジ連合軍の爆撃機や戦闘機に提供し続けている。
しかし、天空からの情報であり、誤爆の山を築き、イエメンの死者数は、2015年にサウジ連合軍が空爆をはじめてから5万人を超えている。
いくら小国であっても一方的に追い詰められた場合、大国に対して窮鼠猫を噛む状態を作り上げるのは当然のことでもあろうか。

日本の太平洋戦争は、フィリピンを植民地にしていた米国が主導して、ベトナムを植民地にしていたフランス、インドネシアを植民地にしていたオランダ、マレーシアを植民地にしていたイギリスなどにより、日本の中東からの原油輸入のシーレンの封鎖を図ったことによるもの。現在のイランの状況と一緒だ。
米トランプが、安直に経済制裁・貿易制裁を日常化しているところにも米国や世界のあらゆるリスク指数が多くさせている。

米WTI原油先物価格は先週末54ドルが17日09時5分現在61ドル後半で推移している。

[ 2019年9月17日 ]

 

 

 


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