アイコン 東九州道で杜撰工事発覚 九地整が内容公表せず書類廃棄 施工:安部日鋼工業

 

 

国交省九州地方整備局佐伯河川国道事務所が、2012年に安部日鋼工業(岐阜県)に5億2867万円で発注し、2012年3月~13年1月までに施工した東九州道(高速道)の元越大橋(大分県佐伯市)の新設工事、破損した部材を無断で使用するなど杜撰な工事が行われたとの情報が寄せられたと西日本新聞が次のとおり報じている。

九地整は、2016年にこの事実を把握しながら詳しく公表せず、調査記録を公文書として登録もせず、書類を廃棄したという。

九地整に情報公開請求し開示された「調査結果報告書」によると、同社は、福岡県内の工場でコンクリート製の橋桁を分割製作した際、桁と橋脚の間に設置する「免震ゴム支承」の位置を桁3本に誤って取り付けた。

再発注すれば納期に間に合わないとの理由で、この部材を含む30以上の部材を油圧ショベルなどで削り出し、再製作した桁に無断で使用。部材1個が破損したが溶接して使ったという。

九地整は2016年に、外部からの通報を受けて事実を把握、専門家を交えた調査の結果、「再使用品の全てが埋設され検証は不可能」だったが、現地調査などから「橋は健全と推測される」と結論付けた。調査の過程で、桁内部の鉄筋を覆うコンクリートの厚さ不足も判明していた。

九地整は、この点を「粗雑工事」と認定して指名停止2ヶ月とし、その理由として厚さ不足についてのみ発表した。

安部日鋼工業は、取材に「既に(厚さ不足の)修補を完了し、厳しい処分を受けた。引き続き信頼回復に努めていく」とコメントを出した。

報告書には、通報者が持参したという破損部材の写真もあった。複数の関係者に見せると「これ以外の部材も壊れていた」と証言。

九地整は2016年8月、同社などに計3回聞き取りを行っており、関係者の一人は「トン単位の力を受ける部材が2~3個割れており、大丈夫かと不安だった。同じ説明を聞き取りにもした」と話す。
これに対し、報告書では、破損した部材は1個となっている。証言が正しいかどうか確認するために、九地整に聞き取り記録の開示を求めたが、廃棄しており存在しないと回答があった。
佐伯河川国道事務所の定める文書保存期間は「指名停止に関する文書」や「事故調査に関する文書」などは3~5年。
廃棄した理由を問うと「本来ありえないが、記録を公文書として登録してなかった。報告書ができた後に廃棄されたと思われる」という。

同様のケースは、佐賀や宮崎の事務所でも確認されたといい、九地整の担当者は「管理が杜撰だったと言われても仕方ない」と話した。
もし、他の部材も破損していた場合、長期的に見れば損傷が広がる恐れがあるとの見方もあるが、安全性に問題ないとの意見が専門家には多い。

その理由の一つは、
2016年4月の熊本地震で震度4以上を経験した後に専門家を交えた九地整の調査が行われ、異常が確認されなかったことがある。

九州大の松田泰治教授(地震工学)は「結果論だが、熊本地震で性能確認もできた。当面は継続使用して問題ない」と話している。
とはいえ、破損部材の再使用などの契約違反が公表されなかった点は疑問が残る。
開示された指名停止に関する資料(下記掲載)では、契約違反も指名停止期間に考慮されているという。
九地整は、「規定に基づき指名停止期間が長い粗雑工事を認定した。粗雑の発表として該当部分だけ公表した」と説明した。

五十嵐敬喜法政大名誉教授(公共事業論)は「再使用品の検証は事実上、行われていない。問題があれば即、人命に関わる重要構造物だからこそ積極的に公表すべきだった。杜撰な公文書管理のせいで検証もできず、疑念だけが残る」と語った。
以上、西日本新聞参照

震度5で問題が生じなかったから大丈夫だという問題ではない。
熊本地震は震度7だったが、その際の佐伯市の震度が5弱だったから当該の橋は大丈夫という論理には結びつかない。(豊後水道寄りの佐伯市一帯は震度4(5弱)、周辺の熊本側は震度3(3~4)だった。(カッコ内は震度7の前震))

佐伯市に近い豊後水道地震帯で過去あった最大M7.5される地震や近くには別府湾を通る中央構造線の地震帯があり、当該の橋は震度5や震度6に耐えられるのかということになる。また、震度5でも直下型や近くの豊後水道で発生すれば橋にかかる衝撃度はまったく異なる。
橋の寿命は50年以上だ。
(地震の予知は熊本地震で破綻している)

共用されている橋、解決策として、別の場所に杜撰工事とされる橋と同じ構造により建造し、耐震性を専門家に見てもらう必要があろうか。当然、九地整お抱えの御用地震学者での検証であってはならない。(費用は全部、国が持っても検証しておくべきではないだろうか)。

<2017年6月2日の九州地方整備局の指名停止>
粗雑工事が判明した下記業者について、2ヶ月間、九州地方整備局発注の一般競争入札の参加資格の停止及び指名競争入札等における指名停止を実施した。
1、指名停止措置業者名: 株式会社安部日鋼工業
  業者の住所: 岐阜県岐阜市六条大溝3-13-3
2、指名停止措置期間: 平成29年6月2日 ~ 平成29年8月1日(2ヶ月)
3、指名停止措置の範囲: 九州地方整備局管内
4、事実概要
 本件は佐伯河川国道事務所発注の「東九州道(佐伯~蒲江)元越大橋上部工(A1~P6)工事」の完成後において、当該工事の橋桁(コンクリート製)について、鉄筋を覆うコンクリートが規格値に達していなかった過失による粗雑工事であることが判明したものである。
なお、当該粗雑工事については、既に平成29年3月28日に修補を完了している。
5、指名停止措置理由
 当該業者たる株式会社安部日鋼工業が佐伯河川国道事務所発注の「東九州道(佐伯~蒲江)元越大橋上部工(A1~P6)工事」において過失による粗雑工事を行ったことは、「工事請負契約に係る指名停止等の措置要領」及び「地方整備局(港湾空港関係)所掌の工事請負契約に係る指名停止等の措置要領」別表第1第2号に該当する。
 従って、本件については、指名停止2ヶ月を適用する。

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<↓元越大橋>
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[ 2019年9月19日 ]

 

 

 


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