アイコン 米金融不安 欧州へ飛び火 クレディ・スイス倒産の危機再来 ジャンク債王


SVBの破綻原因は、SVBの特殊性にある。
シリコンバレーのスタートアップ企業やベンチャー企業に対して主たる投融資を行っており、米国のスタートアップ企業のスポンサー的存在となっていた。
しかし、新コロナにより既存企業の投資が減退、スタートアップ企業の資金ニーズは大幅減少、 一方で、そうしたスタートアップ企業にはESGを推進する新興企業が多く、世界中からSVBへの投資が増加していた。
SVBは、新たな融資先が限定される環境下、多くの流動性資金を抱え、安全資産の米国債を大量保有した。

ところが、米金融当局は、バイデン大統領の巨額新コロナ経済対策(1.9兆ドル))により、高インフレが発生、その後、露制裁も加わり、さらに物価高=高インフレら、その退治にこれまで金利を大幅に引き上げてきた。
そのため安全資産であるはずの米国債の金利が急上昇、SVBが所有する米国債価格が急落して、資金調達のため売却したことにより大きな損失を被った。

 

スポンサーリンク

一方で高金利により経済低迷、GAFAMなど大手企業は人減らし、投資も減らすばかり、SVBの顧客(多くのスタートアップ企業・ベンチャー企業が主)の資金需要が年度末(12月)にかけ上昇、預金の引き出しが急増。その支払いにSVBは手元流動性資金では足りなくなり、所有資産=国債を売却して資金調達した結果だった。
その国債売却により大きな損失が発生、第4四半期決算が発表され、それが公表されると、一部の債権者=預金者たちが引き上げにかかった。
そのたSVBは再度資金不足に陥り、今回の破綻となった。

SVBの破綻は、安全資産たる米国債が破綻原因という極めて深刻な問題を露呈した。これを受け3月13日のNY証券市場では、投資家から不安視された米銀7行が20%以上値下がりして一時売買が停止されるという事態に陥った。

米金利が4.75%まで上昇したのはリーマンショック前であり、それ以来、経済界も金融界も大きく変貌している。この間、低金利であった。戦後、経験もしたことのないような地政学的な問題も生じている。
インフレ一つにしてもこれまでの手法では対応できない要因をいくつも抱えている。
すべては、グローバル化した世界にあり、アメリカ№1主義に舵を切ったトランプ前政権とバイデン政権の政策に起因している。裏を返せば、中国の一帯一路軍事覇権戦略=借金の漬物国化、軍事力の強化、ウイグル人弾圧、台湾侵攻の危機なども№1主義の原因となっている。

高金利が続けば続くほど企業は、財務内容が脆弱な部分から崩壊しだし、連鎖して健全な部分まで朽ちてくる。
投資ファンドも多くのリスク企業への投資分を販売商品に組み込んでおり、一つが破綻すれば連鎖して多くの投資ファンドが危機に陥り、現行の金融システム自体に危機が及ぶ可能性も高くなる。

金融市場を未曾有に拡大し続けてきた米国、各金融機関が複雑に絡み合っており、FOMCの金融政策が金利一辺倒では限界に達していることを今回のSVBの破綻やほかの金融機関の信用不安が物語っている。
金融機関自らでのリスク管理制度では到底対応できるものではない。

金利でさえ1年間で4.5%も上昇、そんな金利にするしかなかった当局に対して、バイデン政権の政策こそが最大の問題ではないだろうか。

(インフレ助長政策となるChips法では台湾のTSMCに対し、米国内に強制的に工場を造らせているが、すでに建設費用だけでも計画より大幅に上昇しているという。その補助金も毒素条項がいくつも盛り込まれており、補助金申請の受付が開始されたものの、TSMCもサムスンも毒素条項に躊躇し、いまだ申請していない。米国内に半導体工場が少ないのは労働コストの高さにあったのだが・・・。Chips法により今後、さらにすべてが高くなり続けそうだ。半導体=産業の米、)

かって日本が米主導の通商交渉において半導体産業やTRONが潰されたような事態が、韓国・台湾に襲い掛かっているようだ。

<火の手が上がった「クレディ・スイス」>
クレディ・スイスGは、証券・投資銀行業務、富裕層向け資産管理業務、資産運用業務が大きな業務の柱。2022年12月期末の総資産は5,743億ドル(約77兆円/134円)。(破綻したSVBの総資産は約28兆円)

<クレディ・スイスは>
2017年、米司法省は危険な住宅ローン証券を証券化・商品化および発行・流通させたとして訴追、58億ドルで合意・和解している。(こうした前科がある)

2021年3月、英グリーンシル・キャピタルと提携して運用していたファンドを運用資産の価値が不透明になったとして閉鎖。グリーンシルは経営破綻し、融資の一部が焦げ付いた。

2021年3月、米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメント(韓国人のビル・フアンが率いるヘッジファンド/野村も28.7億ドル損失)の運用失敗で44億スイスフラン(当時為替で約5200億円)の損失が生じ、経営幹部が辞任した。

クレディ・スイスはリスク大のジャンク債の引受では世界首位、新コロナ+高金利+経済低迷においては、信用不安が付きまとう原因となっている。

<クレディ・スイスの信用不安に対して>
クレディ・スイスGの筆頭株主(37%)のサウジ・ナショナル・バンク(SNB/政府系ファンド)は早々に追加投資は行わないと表明している。

某国がスイス当局にクレディ・スイスGの支援を申し入れている。またクレディ・スイス自身がスイス政府に支援を申し入れたという報道もなされている。

株価下落を受け、同社と当局は事業を分割して一部をスイスのライバル行であるUBSへの売却も検討されているという。

クレディGの株価は3月6日3.00ドル、14日2.51ドルとこの間▲16.4%下げている(金融機関の株価は何かない限り大きくは動かない)。

<SVB破綻では>
スウェーデンや韓国の各年金が投資していたことを発表している。
スウェーデン年金運用機関アレクタは、破綻したSVBとシグネチャー・バンクの2行に対し、約11億ドル投資、株価が暴落しているファースト・リパブリック・バンクにも計9億15百万ドル投資していると発表している。

また、EU推奨のEGSファンド(各投資会社合計で)915本の商品にSVBへの投資分が組み込まれているという。(投資会社の信用不安へ拡大する懸念)
米国の投資ファンドのSVB投資では、インベスコ、フランクリン(以上2社はSVB組込商品販売)、ツーシグマ、DEショー、ルネサンス・テクノロジーズ、ブラックロックなどの名があがっているが現在高は不明。
米金融当局は、SVBに対する預金は保護するものの、投資については保護しない方針を明確にしている。
以上、

インフレ対策の金利調整、銀行破綻という、それも金利対策により米国債価格が下落したことがSVB破綻原因と、FOMC・FRBにとってこれまで考えられなかった事態が発生している。
米国では、2月のインフレ率の総合では伸び率は落ちてきているが、サービスインフレも家賃インフレも上昇し、(賃金上昇圧力+インフレ原因となる)全就業者数も増加し続けている。


 

[ 2023年3月16日 ]

スポンサーリンク
 

 

 


HTML Comment Box is loading comments...



※記事の削除等は問合せにて。

スポンサーリンク
 

 

関連記事

 

 



PICK UP


破産・小口倒産一覧