中国、EV離れは米国だけではない中国でも 高級EV「華人運通」操業停止表明
中国政府は笛吹けど踊らぬ景気に、中国銀行に対し、期間5年超の最優遇貸出金利(ローンプライムレート、住宅ローン金利の目安)を年4.20%~3.95%に引き下げさせた。
しかし、習近平国家主席の共同富裕論に基づく政策は、これまでに不動産・IT・ソフト・ネット・ゲームなど産業の旗手たちを潰してきた。その国家の幹部たちは習派一色になっており、習氏の顔色を伺う者ばかり、活性化させる人材など存在せず、景気回復は程遠くなってきている。
回復させる旗振り役がおらず、政府主導で動かすにも地方政府は多くのリスクをすでに抱え込んでおり、中央政府がいくら笛吹いても踊らぬ「経済市場」に陥っている。
消費経済悪化は、住宅にとどまらず、EVメーカーにも及んでいる。
地方政府の販売補助金打ち切りによる販売減少、低価格競争の激化などにより、好調を維持してきたEVメーカーは淘汰の波を受けることが予想されている。
こうした中、新興高級電気自動車(EV)メーカー「華人運通(Human Horizons)」は少なくとも半年間、操業を停止すると発表した。
中央政府の購入補助金は2020年までにほぼなくなり、その後は地方政府により続けられてきた。しかし、地方政府は不動産事業低迷による財政難から、継続が難しく、打ち切られてきている。
マンション転がしで膨大な利益を稼ぎ出してきた富裕層も、マンション価格下落で高級車両購入どころではなくなっている。
「華人運通」とは、
2023年6月、中国高級EVメーカー「華人運通」は、サウジアラビア政府機関と56億ドル(約7900億円)相当の投資契約を締結。同社が手掛ける超高級EVブランド「HiPhi(高合)」の開発・製造・マーケティングを同省と共同で進めていく内容となっていた。
同社は2モデルを市場投入しているが、「HiPhi(高合)」の販売価格は57万元(約1100万円)からの「HiPhi X」と、61万元(約1200万円)からの「Hiphi Z」の中国製としては破格の価格となっていた。
今やEV用バッテリーの材料価格は国際相場、N・Coフリーのリン酸鉄リチウムイオン電池にしろ、バッテリー価格は当高価な2元素が必要な3元系より2~3割安価ということだけであり、従来の内燃機車より高価、PHVは電池を多く積み電池主導の動力、しかし内燃機も搭載することから、当然、HVや内燃機車より高くなる。
中国の23年の新エネ車の販売台数、
EV販売台数は前年比24.6%増の668.5万台だったが、PHVは84.7%増の280.4万台とさらに増加率が高くなっている。
23年のPHVの新エネ車に占める割合は29.5%であるが、今年1月に限れば38.9%まで増加している。HVの販売も加えれば、増加台数はさらに増加しているもの思われる。
経済が悪化すれば市場は安価な車両にシフトする。
一攫千金市場の中国不動産市場は習政権により潰され、証券市場はボックス相場で2015年から投資妙味はなくなり、仮想通貨は禁止、マカオや済州島のカジノは中国公安が張り付き監視している。
スタートアップ企業の受け皿だったIT企業のオーナーたちも習政権により吊るし首にされ、沈黙したままとなっている。これまで出てきていた釘は共産党政権により叩きのめされている。
中国には習近平氏しか存在が許されないようで、今や市場開拓者たちはいなくなっている。
元々、習政権は政府機関の幹部には贅沢を廃させる政権、中央・地方政府機関の幹部や高級官僚たちは2000万以上の高級ベンツやベントレーに乗っていたが、1000万円未満のAudiに変わった経緯があり、全人代会議場の駐車場から高級ベンツが消えた。
スクロール→
中国自動車市場 |
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|
2023年1月. |
2024年1月 |
||
|
万台 |
万台 |
前年比 |
シェア |
EV |
28.7 |
44.5 |
55.1% |
18.2% |
PHV |
12.1 |
28.4 |
135.0% |
11.6% |
FCV |
0.01 |
0.04 |
133.3% |
0.0% |
小計 |
40.8 |
72.9 |
78.8% |
29.9% |
従来車 |
124.1 |
171.0 |
39.7% |
70.1% |
総合計 |
164.9 |
243.9 |
47.9% |
100.0% |
・22/12月は感染爆発中ウィズコロナ策導入、高齢者大量死亡月 |
||||
・従来車にはHVを含んでいる。/総計には商用車含む |
||||
・当データはマークラインズ社の公表資料より作成 |
中国自動車販売市場 |
|||||||
万台 |
EV |
前比 |
PHV |
前比 |
新エネ比 |
総計 |
前比 |
23/1. |
28.7 |
-18.2 |
12.1 |
42.5 |
-6.3 |
164.9 |
-35.0 |
23/2. |
37.6 |
43.9 |
14.9 |
98.0 |
55.9 |
197.6 |
13.5 |
23/3. |
49.0 |
23.8 |
16.3 |
84.3 |
34.8 |
245.1 |
9.7 |
23/4. |
47.1 |
103.7 |
16.5 |
144.5 |
110.0 |
215.9 |
82.7 |
23/5. |
52.2 |
50.4 |
19.4 |
94.4 |
60.2 |
238.2 |
11.1 |
23/6. |
57.3 |
20.5 |
23.2 |
93.0 |
35.2 |
262.2 |
4.8 |
23/7. |
54.1 |
18.4 |
23.9 |
77.0 |
31.6 |
238.7 |
-1.4 |
23/8. |
59.7 |
14.4 |
24.9 |
72.8 |
27.0 |
258.2 |
8.4 |
23/9. |
62.7 |
16.2 |
27.7 |
64.4 |
27.7 |
285.8 |
9.5 |
23/10. |
64.6 |
18.8 |
31.0 |
80.2 |
33.5 |
285.3 |
13.8 |
23/11. |
70.2 |
13.5 |
32.3 |
89.5 |
30.0 |
297.0 |
27.4 |
23/12. |
82.5 |
32.2 |
36.4 |
93.0 |
46.4 |
315.6 |
23.5 |
23計 |
668.5 |
24.6 |
280.4 |
84.7 |
37.9 |
3,009.4 |
12.0 |
|
|
|
|
|
|
|
|
24/1. |
44.5 |
55.1 |
28.4 |
135.0 |
78.8 |
243.9 |
47.9 |
・22/4・5月は上海ロックダウン。/新エネ比は前年同月比 |
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・ 22年の春節休暇は1/31~2/6日、23年は1/21~27日、24年は2/9~17日 ・ 前比は前年同月比/新エネ比は新エネ車の前年同月比 |