アイコン 中国8月の工業生産3.4%増、利益21.5%増 41産業分類別推移


中国国家統計局が発表した8月の工業利益は前年同月比21.4%増と、4ヶ月ぶりの増加となった。過剰生産能力と過当競争に取り組む国家的な取り組みが成果を上げつつあることを示している。
それによれば、1~8月の工業利益は前年同期比0.9%と回復してきている。
 
国家統計局が10日に発表した8月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比▲2.9%低下となったが、低下幅は半年ぶりに縮小していた。

政府が経済全体で過剰生産能力の削減を進めていることが背景にある。ただ、工業生産の伸びは減速し続けており、企業収益へのプラス効果は相殺された可能性がある。

 しかし、今後を予想すると、中国の工場や鉱山、公益事業の利益見通しは低迷し続ける国内需要や米国の関税措置を巡る不透明感に覆われたままとなっている。

トランプ対中関税は一部を除けば、3月から20%(麻薬フェンタニル制裁関税)、4月までに145%を上昇、5月12日の米中協議で現行30%(麻薬分+一律関税10%分)まで落ちているが、別途棚上げされている24%分は協議延長となっている。

昨年の米国の対中関税は低く、今年1月誕生のトランプ米政権の対中関税の急増という外圧と、景気刺激策として続けてきた政府のインフラ投資も減速、内需も不動産不況の長期化が多くの関連産業を低迷させ、連れて消費不況、失業率上昇、総体的な購買力低下という悪循環に陥り景気減速を加速させ、中国の成長は7~9月(第3四半期)にかけて減速している。

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中国の内需不振やダンピング輸出も輸入する外国の規制強化があり、国内では鉄鋼やセメントなど主要工業製品の需要も一段と厳しくなる可能性が高い。

中国勢にとって原産国主義にとる米関税の恐怖は、ベトナム・韓国などからの迂回輸出が難しくなるなか、中国勢は製造基地そのものをインドネシアやベトナムなどの東南アジアへ進出を加速させており、一部、部品部材・原料のそうした進出国向けに増加しようが、国内経済は付加価値を僅かしか伴わず、経済の悪化原因ともなっている。

中国の経済規模は大きくなり過ぎ、中国からの余剰生産物の輸出は輸出相手国の企業の生産活動に大きな影響をもたらすようになってきており、海外の対中輸入規制も拡大し付けている。

やはり、中国にあっては14億人の内需パワー型による経済成長への転換が求められている。

中国の過剰生産問題は自動車でも問題となっており、国内でも熾烈な低価格競争に政府が適正価格にするよう要請(実質命令)するなど、最近は淘汰される自動車会社も多く、また、欧州でも関税を大幅引き上げにより中国製EV輸入の抑制を図っている。(米国は中国製自動車に対して100%関税をバイデン時代に発効させている。)

中国国内では、景気回復策の一環で、政府が購入補助金を付けたことにより好調だった国内自動車販売も、販売台数は過去最高を更新しているものの、現在はこうした過剰生産、低価格競争により淘汰される企業も多く、今では経済回復の足かせになってきている。
2022年の中国自動車メーカーは約300社、現在は100社余りに減少しているが、3200万台市場だとしても多い。中国の自動車メーカーは民族系と外資系の大手がひしめき合っており、50社以下まで早期に減ると予想されている。

BYDも国内外でお叱りを受けたのか競争激化で計画通り売れないのか、昨年の世界販売台数は427万台から今年は550万台を計画していたものの、現在では460万台の販売目標まで 下方修正している。

経済回復は低迷期には国家がインフラ投資で下支え必要があるが、中国の場合、2010年のGDPと2024年を比較しても倍成長しており、リーマンショック後の新幹線・高速道路網構築のような巨額の国家投資であっても、現在では建設コストも大幅に上昇し、

中国は資本主義経済でありながら、共産党特有の計画経済を取り入れており、投資が分散化し、ここぞというときに国家投資が掛け声ばかりでできなくなっている。国家財政問題もはらみ
不動産関係では政府が景気回復のために講じている売れ残りマンションや過半進捗のマンション工事物件の中央政府と地方政府による強制買い入れによる、流通物件を減らし、政府系主導で販売もしくは賃貸し、景気回復を図る策も同じことを何年も言い続けているが遅々として進んでいない。

習氏不動産開発企業に対する・国民に対する三条紅線の劇薬投薬の影響が市場に広がった2021年初からすでに4年と8ヶ月を経過したものの、不動産回復はその兆しさえ見えてこないどころか、今年8月は中古マンション価格が前月比で主要70都市中69都市で下落、前年同月比では70都市全部が全滅して下落している。

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↓2025年8月の利潤は5.8%。
8月単月の工業利益率では昨年は関税の影響はほとんどなく、今年は関税の影響がありながら利益率が0.8ポイントも上昇しているのは、昨年は国内では販売価格競争激化、海外ではダンピング輸出を横行させた結果が出たものと見られる。


スクロール→

  総合営業収入、営業コスト、利益/億元

中国

16   

17月  

18月 

売上高

経費

利益

利益率

2025/6.

667,791

571,214

34,365

5.1%

 前年同期比

2.5%

2.8%

-1.8%

 

2025/7.

780,703

668,042

40,203

5.1%

 前年同期比

2.3%

2.5%

-1.7%

 

2025/8.

896,231

766,610

46,929

5.2%

 前年同期比

2.3%

2.5%

0.9%

 

 

 

 

 

 

 258月単月

115,528

98,568

6,726

5.8%

 248月単月

111,711

95,853

5,536

5.0%

  前年比

3.4%

2.8%

21.5%

 

 

↓非鉄はレアアースの輸出規制強化(4/2)512日以降の輸出緩和により持ち直してきている。電子製品や機械類も回復してきている。ただ、家庭用品や繊維、化学品は低迷が続いている。


スクロール→

中国、202518月の企業利益 3ヶ月推移

産業

前年同期間比

1~6月

1~7

1~8

合   計

-1.8

-1.7

0.9

産炭

-53.0

-55.2

-53.6

石油ガス生産

-11.5

-12.6

12.4

鉄金属鉱業

-36.2

-33.7

-30.3

非鉄金属鉱業

40.2

39.1

33.9

非金属鉱業および鉱業

-0.6

1.6

-3.1

鉱業の専門業務および補助業務

51.6

11.1

2.2

その他の鉱業産業

0.0

 

 

農業および副業食品加工産業

22.8

14.5

11.8

食品製造

1.8

2.8

1.8

酒、飲料、精製茶

-2.1

-2.8

19.9

たばこ製品産業

1.8

1.9

0.9

繊維産業

-8.1

-6.5

-7.0

繊維および衣料品、衣料産業

-12.9

14.2

-17.9

革、毛皮、羽、およびその製品や靴

-8.7

-9.0

-9.2

木材、加工、竹、ラタン、茣蓙等

-10.3

-9.7

12.4

家具製造

-23.1

-15.2

-16.7

紙製品および紙製品

-21.4

-21.9

-18.8

印刷および記録メディアの複製

-1.0

-4.0

-5.2

文化と教育、芸術、スポーツ用品等

-16.1

-12.9

-13.4

石油、石炭ほか燃料加工産業

 

 

 

化学原料および化学製品の製造

-9.0

-8.0

-5.5

製薬製造

-2.8

-2.6

-3.9

化学繊維製造

-2.8

-6.6

-2.6

ゴムおよびプラスチック製品

-2.8

-4.0

-4.6

非金属鉱物製品

-5.4

-5.6

-2.2

鉄金属製錬加工および水素産業

1,369.2

5,175.4

 

非鉄金属製錬加工

7.8

6.9

12.7

金属製品産業

7.0

3.4

0.5

一般設備製造

6.5

6.4

5.8

特殊設備製造

4.4

3.2

6.9

自動車

3.6

0.9

-0.3

鉄道、海洋、航空宇宙、輸送機器製造

39.2

36.7

37.3

電気機械および設備の製造

13.0

11.7

11.5

パソコン、通信、ほか電子機器製造

3.5

6.7

7.2

計測器製造

9.2

6.6

4.6

その他の製造

-12.7

-13.5

-9.5

廃棄物資源の統合的利用

33.5

22.9

34.8

金属製品機械修理

-2.5

6.1

4.6

電力、熱の生産および供給

5.6

6.3

13.0

ガスの生産と供給

-5.6

-6.4

-8.7

水の生産と供給

-12.8

-11.4

-7.3

 

 


スクロール→

日本、1~8月の国・地域別輸出額/財務省

2025

億円

シェア

米国

134,260

18.8%

西欧

79,825

11.2%

中国

121,443

17.0%

アジア(中国除)

263,997

37.1%

その他

111,936

15.7%

合計

711,461

100.0%

 

   成長を止めさせた小泉純一郎政権時代から続く所得政策、一方、中国では賃金上昇、輸出

増、内外需好調で経済発展し続けてきた中国。

ただ、中国は第一次・第二次米中貿易戦争による外需問題に加え、内需は禁断の3期目を目指し国民受けすると錯覚した習氏の自慰行為「三条紅線政策」により徹底的に破壊され舞踏さんバブル崩壊、手が付けられない状態まで追い込み、連れて国民の不動産投資や金融投資の被害も大きく消費低迷、店員など消費状況と直結する若年労働者の失業率は18.9%(8月、算出方法改定後の発表再開の2023年12月以降で最高の若年失業率)まで上昇し、消費・購買力の低下を助長させている。

中国は長年の慣例により首相は内政中心、主席は軍事・外交を司ってきたが、習氏は共青団出身の李克強氏がいながら敵視し完全無視、内政も主導し不正腐敗退治の名目で対立者を粛清させ続けてきた。3期目では6奉行すべて習派一色にし、鈴を付ける者もいない独裁政権を樹立している。

その独裁の結果、軍の最高幹部クラスで、習氏は前任者たちを粛清し、自らが指名した最高幹部になった軍人たちが、昨年から軒並み不正腐敗で摘発され失脚、習勢力以外の共青団などの巻き返しが生じている可能性が高くなっている。

習氏の政権もロケット共に宇宙の彼方へ飛び立つ日も案外近いようだ。


スクロール→

日本と中国のGDP (名目)IMF版 視覚錯覚

超円安策水膨れ GDPとドル換算GDPの実態

 

日本

中国

 

兆円

百億ドル

兆元

百億ドル

1990

461

318

1.9

39.7

2000

535

496

10.1

1220

2010

505

576

41.5

613.8

2015

538

444

70.4

1130.7

2020

539

505

100.6

1510.3

2022

560

426

123.3

1830.7

2024

609

402

134.9

1874.8

 2000年比

13.8%

-19.0%

1235.6%

53.7%

 2010年比

20.6%

-30.2%

225.1%

205.4%

 2020年比

13.0%

-20.4%

34.1%

24.1%

 

 

 

[ 2025年9月29日 ]

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