― 福岡西部クリーンセンター場所・一時停止劇を斬る ―

水入りの土俵、タクマ山の胸中はいかに

土俵は整い、行司の声はかかり、軍配の行方もほぼ見えた――はずだった。
ところがである。令和七年九月二十六日、「福岡西部クリーンセンター場所」なる一番は、無情にも「水入り」。まるで大相撲で白鵬が寄り切り寸前、観客が拍手の手を上げかけた瞬間に「取り直し」と言われたようなものだ。
タクマ山の“勝ち名乗り寸止め”
前施工のタクマ山、ここまでの取り組みは順調そのものだった。
出口調査は揃って「勝利確実」の太鼓判、マジックも点灯。勝ち名乗りは時間の問題でもあったのだ。
だが土俵中央で決め手を放つ直前、突如として試合は止められた。
観客席の相撲ファンからは「えっ、なんでここで!?」とため息の大合唱である。
西方カナデビア海の“望み”
一方のカナデビア海。ここまでバタつき気味で、どう見ても軍配が上がる気配はなかった。
だが、「水入り」となれば話は別。土俵は仕切り直しとなり、負け濃厚だった取り組みが“ノーカウント”。
奇跡の逆転劇を夢見るには、これ以上ない展開である。
水入りの裏に何がある?
そもそも「水入り」は、大相撲では力士が膠着し、互いに動けなくなった時にのみ許される。
だが今回の中断はどう見ても“膠着”ではない。むしろタクマ山が一方的に攻め込んでいた最中だった。
となると、この「水入り」、果たして行司(=行政)の英断か、それとも観客の目をそらすための“妙手”か。
土俵の外で飛び交う声
「この場所、最初から勝敗は決まっていたんじゃないのか」
「いや、土俵外の思惑で仕切り直しにされたんだ」
相撲ファンのささやきは止まらない。勝敗よりも、“土俵の裏”で交わされる駆け引きこそが、この大一番の見どころなのかもしれない。

タクマ山が勝ち名乗りを受ける日が来るのか、それともカナデビア海が意地の逆転を果たすのか。
「一時停止」という言葉の軽さに比べ、この水入りの余波はあまりに重い。
観客席に座る我々は、次の取り組みで軍配がどちらに傾くのか、固唾を呑んで見守るしかない。
JC-net・日刊セイケイ編集長・中山洋次





