福岡西部クリーンセンター場所の謎(其の七)

― 見えざる敵 ―
「一時停止の裏で、誰が動き、誰が止めたのか」
その問いに、答えはまだない。
だが、複数の関係者の証言をつなぎ合わせると、“ある構図”が見えてくる。

行政の中で蠢く「慎重派」
福岡市の内部では、計画当初から“慎重派”と呼ばれる一派が存在していたという。
彼らは表向きには「市民理解の不足」「説明のタイミングが悪い」といった理由を掲げてきた。
だが、実際には別の思惑がある。
「このタイミングで進めると、特定の議員筋や地元団体との関係にヒビが入る。」
内部関係者がそう漏らす。
“慎重派”は、市民の反発を恐れたわけではない。
彼らが恐れたのは、“政治的な波紋”だ。

外からの「助言」
一方、市外の関係筋からも奇妙な動きがあった。
10月上旬、凍結通知が出る直前に、あるコンサル筋が“非公式に”市幹部へ接触していたという。
「今の候補地では、今後の広域ごみ計画に支障が出る」
そんな“助言”を口にしたとされる人物は、他自治体の案件にも深く関与している。
つまり、福岡西部クリーンセンターの成否は、単なる一市の問題ではなく、
“広域処理”という利権構造の中で交差していたのだ。

「見えざる敵」はどこにいる
誰が計画を止めたのか。
行政内部の“慎重派”なのか、外部の“利権筋”なのか。
あるいは、その両方が微妙に結びついた結果なのか。
証言の中には、こんな言葉もあった。
「最初に“中止”と書いた文書を止めたのは、市ではない。」
もしそれが事実なら、指示は“外”からだった可能性もある。
「見えざる敵」は、机の向こうではなく、
電話一本で空気を変えられる“どこか”にいる。
動かぬ行政、焦る現場
提案を出す側のメーカーたちは、次第に限界を迎えつつある。
「いつまでも“停止”のままでは、次年度の計画に支障が出る」
タクマ山、カナデビア海、双方の現場で、同じ嘆きが聞こえる。
それでも行政は沈黙を守り、動こうとしない。
理由はただ一つ。
“誰か”がまだ、表に出てこないからだ。
福岡西部クリーンセンター場所の千秋楽で優勝者に総理大臣杯のトロフィーを渡す高市早苗総理の勇姿を観たいと願う今日この頃である。ご安全に!

JC-net・日刊セイケイ編集長・中山洋次





